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猫ちゃんの引っ越し、海外へ!


一念発起

犬に比べて猫は基本手がかからないものですが、留守番にさせる際は頭を悩ます。ほとんどの猫ちゃんは外出が大嫌いだと思うが、うちの子も例外ではない。ペットホテルまで連れていくのが億劫で、2、3日であれば留守でも問題ないかもだが、それ以上だとペットシッターや友達に頼んだりしていた。
海外出身なので、コロナ明けてから少なくとも年に1回長期間(?)日本を離れることがあって、(子供が生まれてから、子育てのお疲れの後に猫ちゃんのお世話も負担に感じられたりして…)今回は実家からのオファーもあり、いっそ猫を実家に預けてしまおうと一念発起に!

ということで今回は帰省に合わせて、台湾に猫を連れて行くことに。ネットを調べても、猫ちゃんの海外移動に関する情報はなかなか無く、やっと見つけた数少ない記事は大変参考になったので、そのための準備や手続き、費用について自分の実体験も綴っていきたい。

注意書き

本記事はあくまで2024年1月に台湾へ猫を連れて渡航した筆者の実体験による内容で、渡航時期や渡航先によって必要な準備、手続き、費用などは変わるので、必ずご自身で動物検疫所、渡航先領事館、渡航先の動物検疫所、航空会社などの最新の情報を確認するように

1. 渡航先への輸入手続き確認

まずは渡航先の領事館にペット輸入について確認することに。ここで台北駐日経済文化代表処のサイトを参考させてもらった。

抜粋すると、以下のような規定がある。

  • 生後満90日以上

  • マイクロチップを装着する

  • 輸入する30日前~1年の期間内に、狂犬病不活化ワクチンの予防接種を受ける

  • 輸送予定の少なくとも20日前までに、申請人は「輸入検疫同意書」の発行を申請する(「オンライン、または書面」だが、基本オンラインが便利)

  • 「輸入検疫同意書」を申請する際に、下記書類が求められる

    1. 獣医師が中国語または英語で以下の事項を記載した狂犬病不活化ワクチンの予防接種証明書(コピー):犬・猫の品種、性別、年齢、マイクロチップ認識番号、予防接種年月日、接種した不活化ワクチンとその種類を必ず記載する。

    2. 申請人の身分証明書

    3. (特に書いてないが、)利用する航空会社と便名も必要

  • 輸送前に、日本の動物検疫所に「動物検疫証明書」の発行を申請する

  • 到着後、台湾側で発行された輸入同意書(コピー可)、日本の動物検疫所が発行した動物検疫証明書の正本、税関申告書を添付し、検疫の申告を行う(#「動物検疫証明書の正本を添付していない場合、当該犬・猫は日本に返送か殺処分される」とのこと。読むだけでコワい)

上記はあくまで直行便でペットを一緒に持ち込む場合の規定だが、ペットを別途で貨物として輸入する場合や、輸送途中に狂犬病非清浄国を経由した場合などは、他の書類を提出したり、隔離検疫を行ったりする別の処置も必要とのこと。

一つ大きな発見は、日本から台湾に直行する場合、なんと、隔離検疫が要らないとのこと!日本は狂犬病清浄国で助かった。

上記ずらりと規定が多いように見えてしまうが、場所ごとに分ければやることが明確で、順番としてまずは動物病院に行くことに。

2. 動物病院にてワクチン接種

筆者の猫はペットショップから購入した際に既にマイクロチップは装着されていたが、まだの場合は狂犬病不活化ワクチンの予防接種の際に一緒に獣医の先生にお願いしよう。

マイクロチップについて注意事項が2つ:
①予防接種証明書に「マイクロチップ認識番号」の記載が必要で、マイクロチップ装着が先である順番に気をつけよう。
②マイクロチップ装着後に日本獣医師会に情報登録の申請を行う必要があるようで、別途登録料(1000円程度?)と登録完了通知書の到着期間を見積もっておこう。

狂犬病不活化ワクチンの予防接種についても注意事項が下記:
輸入する30日前~1年の期間内に受けさせよう。
②病院によって「予防接種証明書」はすぐに発行してもらえないので、発行のリードタイムを病院に確認しよう。ちなみに、筆者の場合は一週間要した。
③病院側に発行してもらう「予防接種証明書」が英語か中国語で記載
④「予防接種証明書」の必須記載事項(犬・猫の品種、性別、年齢、マイクロチップ認識番号、予防接種年月日、接種した不活化ワクチンとその種類)は獣医さんと確認しよう。(国・地域によって違ったりもする)
⑤実体験となるが、「予防接種証明書」に獣医さんの印鑑だけでなく、動物病院の印も求められたので、できれば両方押してもらおう。
#台湾では特にない規定だが、ネットの記事を見る限り、国によって血液検査を求められることもあるようで、渡航先の条件を再三確認しよう。

余談その一
外出が久々でストレスたまっていたのか、肛門から体温を測る時に猫ちゃんが怒って獣医さんに爪を出してパンチ…獣医さんの手が出血したハメに陥ったので、合わせて爪切りをお願いした。

後にオンライン申請時に必要となるので、証明書関連はもらえたら、ひとまずスキャンしておこう。

3. 航空会社にペット搭乗の確認&予約

渡航先の「輸入検疫同意書」の発行を申請する前に、利用する航空会社にペットが搭乗することを伝えよう。

航空会社曰く、便によってペットは搭乗できないこともあり、搭乗できる便にも枠がある。(枠が埋まることはそうそうないと思うが…)筆者の場合はだいぶ前に飛行機チケットを取ったが、猫も一緒に乗せることを決意したのがその後で、最悪便を変更することもあり得る。
一応その便はペットを乗せることが可能だが、その際に聞かれたのは、品種、年齢、状態、及びケージのサイズと重さ。航空会社の規定は政府規定より厳しい場合もあったりするため、航空会社に確認しよう。
#一例だが、実際利用したエバー航空のリンクはこちら。品種によって輸送できなかったり、輸送可能期間が制限されたり…やはり命を預かるわけなので、慎重が伺える。

初めて電話した際に飛行機用のケージを持っていなかったので、その場で予約確定できなかった。ケージについても規定があってサイトを確認するようにと言われた。幸いことに、妻の同僚が猫を香港から日本に連れてきた経験者であって、当時使ったケージも用済みなので譲ってもらった。

余談その二
うちの子は気持ち大きめでケージに入れるか心配だったが、まったく問題なくてよかった。また、CIAOのおかげ(笑)かもしれないが、すんなり入ってくれて安堵した。
#参考までに、同様のケージのリンクをここに貼っておく。

ケージのサイズ&重さを測って再度航空会社に電話して、枠があるとのことで予約確定、やっと一件落着に。

4. 渡航先の「輸入検疫同意書」の発行を申請

輸入する20日前までに、申請人は「Online Application System for Dog/Cat Import Permit」から申請する。
サイトは中国語と英語のみとなっている。

ここは予防接種証明書・身分証明書のデータをそろえて、アップロードするとともに、必要事項を順に入力していって提出する。
提出後は照会番号を発行してくれるので、メモしておいて、サイトでステータスを確認できる。(自分はステータス照会のために何回このサイトをアクセスしたのだろう笑)
審査終わったら、メールで「輸入検疫同意書」を送ってくれる。

万が一不備などがあればメールでお知らせしてくれる。前述の動物病院の印の話もメールでもらって、慌てて病院に駆けつけた。
ここで注意してもらいたいのは、処理している職員の方は普段空港税関で働いている方々だそうで、こちらがメイン業務ではない。何か不備があって修正したとしても、早レスを期待しないほうが良い。
病院印の件で実家に頼んで直接電話してもらったが、電話に出なかったり、出ても担当者不在だったり、折り返し電話が来なかったり…修正は当日行ったが、実際許可下りたのは数日後だった。

5. 日本からの輸出手続き(動物検疫)

さて、無事に渡航先から「輸入検疫同意書」をもらったら、今度は日本の動物検疫所に「動物検疫証明書」の発行を申請する。

検疫を行うには、出国7日前までNACCS(動物検疫関連業務)で申請する。

順に必要事項を入力し(確か英語のみだった気がする)、手元にある証明書関連はすべて添付しよう。(筆者の場合、マイクロチップ登録完了通知書を当初添付しなかったが、後にメールが来て求められた。)

このサイトでの申請は入力する情報が多く、一時保存もできるため、書類は揃っていなくても、ひとまず入力してみることをお勧めする。わからないことがあれば、メモしておいて確認しよう。
筆者の場合、マイクロチップ装着が何年も前の話だったので、マイクロチップのメーカーや装着位置がわからず、マイクロチップ登録完了通知書に記載の問い合わせ先に確認したり、獣医さんに聞いたりしていた。

申請をオンラインで提出した後、内容に不備がないかチェックしてくれる。日本で実施した狂犬病ワクチン接種の有効期間は一年とされていることも、NACCSの方に指摘された。

その後メールで連絡が来て、検疫の日時の予約を行う。
基本渡航当日で良いが、検疫所があいている時間が限られるため、時間外の便などの場合は、事前に行うことも可能。
一例だが、羽田空港の輸出検査窓口は第3ターミナル隣のCIQ棟(第3ターミナルから、エレベーターによっていけないこともあるため、事前に地図を確認しよう)内にあり、受付時間は8時30分~17時00分となっており、一番早い時間は8時30分。
筆者の場合、飛行機は朝の10時半で、出発時間の2時間前までにチェックインカウンターで手続きをするようにと航空会社に言われて、当日はギリ間に合うかダメか曖昧だった。航空会社に相談したら、まずはチェックインカウンターに寄ってから検疫に向かい、また戻って手続きをしても良いことに。

6. 渡航当日

空港移動、検疫、チェックイン

緊張しながらも待ちに待った渡航当日、子どもも一緒に行くので荷物が多い上に猫ちゃんのケージ。さすがに乗り換え必要な電車移動が無謀すぎるかと思い、朝7時のハイヤーを頼んだ。

余談その三
移動手段についてタクシー会社の空港定額プランや新興サービスNearMeなども検討したが、最終的に選んだのはvip-limoの空港定額サービス。大型車指定しても他社さんより少し安い程度だった。
#初回利用時、クーポンコードに「VIPZOAW9Q8」を入力すれば、さらに10% OFFが適用される。

出発前に、ケージに防水シーツを敷いて、CIAOを使って猫ちゃんをケージに誘い込んだ。
ペットフードや水をケージの中に用意するかどうかは諸説ありだが、台湾まではそこまで長くないため、筆者の場合は特に用意してなかった。(結局それでも防水シーツはびしょびしょだった。)迷う方は獣医さんにも相談したほうが良いだろう。

さて、空港に到着したら、すぐにスターになる。だって珍しいもの!特にこどもたちに大人気(笑)。
一度チェックインカウンターに寄って、8時半を前に検疫所に向かって、ぴったり8時半に呼ばれた。電話で確認したときは30分程度と言われたが、実際は15分程度で終わって英文の輸出検疫証明書が発行された。
輸出検疫証明書に「犬・猫は輸出前の180日間または出生後一貫して日本で飼育されていること」の記載が必要だが、検疫側で確認しようがないため、誓約書みたいな書類にサインして返す。
輸出検疫証明書を取得したら、先方の依頼もあったので、写真に撮って台湾側の動物検疫所にメールして、事前チェックしてもらうことに。
その後チェックインカウンターに戻り、諸々書類を提出し、航空会社所定のペット搭乗確認書を記載し、ペットの搭乗料金を支払った。
ここで「頑張れ」と念を送り、貨物として預けてしばしのお別れ。

余談その四
検疫終わったらケージにシールが貼られるが、筆者の場合日付が前の日だった。朝一番だから検疫側で印の日付の調整はまだされていなかったかと推測するが、チェックインの時に突っ込まれて若干混乱していた。朝一の方は検疫所で日付をダブルチェックしよう。

入国

約4時間の飛行後、台北に到着し、急いで手荷物受取所に。
まずは税関に着いたが、猫を持ち込んでいると言うと、申告書を書くことに。

余談その五
申告書に「見積価格」という項目があり、どう書くか悩んでいると、「猫ちゃん何歳?」と聞かれ、「もうすぐ9歳です」と返したら、「じゃ、100元(当時レート換算で約500円)で」との意見をもらった。年取ったら価値激落ち…

動物検疫カウンターは手荷物受取所の隣で、猫ちゃんが入っているケージはすぐ目に映った。
用意した書類一式を担当者に見せ、その後消毒液のスプレーをかけた布が渡され、ケージの消毒を行う。エビデンスが必要なのか、その様子を担当者が写真に撮っていた。
消毒が終わると、猫の体重測定マイクロチップの読み取りを行う必要があるが、逃げ出し防止のために検疫の作業部屋に入った。体重測定に関して、大人しい子であればそのまま体重計に乗せても良いが、うちの子にその自信がなかったので、抱っこしたまま合計体重を測り、そこから私の体重を引くことに。
最後に、またエビデンスなのか、猫を抱っこしたままツーショット写真が撮られる。
そして手数料100台湾ドル(当時レート換算で約500円)を支払い、輸入検疫証明書及びペット登記の書類をもらって検疫はおしまい。
#おつりが出ないので、事前に100元の台湾紙幣で用意する必要あり
#再度ペットと一緒に出国する場合は輸入検疫証明書及びペット登記の書類が必要となるようで、大事に保管するようにと言われた。

そして検疫書類を税関に提示し、税関を通り、Sweet Homeへ!

朝6時半頃からケージに入れ、家に着いてケージから出られたのが現地時間の午後3時を過ぎていた。
日本と台湾で距離が近くても、ケージに閉じられる時間が割と長いため、事前にケージに慣れさせ、ペットの状態など獣医さんとも相談し、しっかりと対策しよう。

まとめ&実際かかった費用

あくまで一例だが、かかった費用はトータル約6万円。
#費用は動物病院や航空会社によって違う

筆者の場合、12月上旬に決意して、運良く(?)無事1月末の便に乗ることができたが、やはり簡単なことではないので、もっと余裕をもって計画して頂きたい。

最後に、ネットで同様な情報が少ないためこの記事を書いたが、ペットの航空輸送は命にかかわるリスクを伴うため、そもそも連れて行く必要があるのか、慎重に検討頂きたい。

家族であるペットを大切にしよー


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