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ジョン・コッター氏の「企業変革の8STEP」とは!

昨年からDXという言葉をあらゆるところで見かけるようになりました。又、近年の働き方改革、そしてコロナ禍に伴いより一層企業変革が叫ばれるようになりました。皆様の会社ではどうでしょうか。時代にあった形に変革が進んでますでしょうか。おそらくですが企業変革が進む企業とそうでない企業にわかれるるのではないでしょうか。

今日は1988年にハーバードビジネスレビューで掲載されたジョン・コッター氏による企業変革のための8STEPを題材に記事を作成したいと思います。論文自体は30年近く前のものですが、その内容は全く色褪せず、今でも多くの人に繰り返し語り継がれています。会社の変革を成功させる方法を学び、自身の会社にも照らし合わせながらぜひ参考にしてみてください。

STEP1:変革の危機意識を高める

変革に対しての危機意識が全体に浸透していなければどんなにいい変革の方針を示しても実現には至りません。経営陣は全員、管理職は75%、一般社員なら50%以上が変革の必要性を認識している必要があります。とは言え、最初から全員が変革が必要だなんて思うはずがありません。日本人は現状維持を好む傾向にあり、変化を嫌う習性があるからです。なので初期は社員だけではなく、経営陣の中にも今のままでいいと考える人が大半でしょう。只、変革のためにはこのような人たちを巻き込んで行かなければなりません。ではどうやってこの人たちの危機意識を高めればいいんでしょうかここでのポイントは現実を直視し、企業の懸念や弱点、問題をオープンにすることです。自分たちの置かれた立場がどれほどひどい状況で、なぜ今変わらなければならないのかを何度も何度も語りかけることです。変革初期段階の失敗例としてよくあるのが危機意識の醸成を怠ることです。この状態のまま変革を進めると現状満足派が障害として立ちはだかり変革がうまく進みません。危機意識の醸成を怠らずに危機意識を高めきってから変革に入っていくことが非常に重要です。

STEP2:強力な推進チームの結成

リーダー一人では企業変革を実行しきることは困難です。チームを編成し変革を進める必要があります。チームを作る際には3つポイントがあります。

①適切な人材を選ぶ

これは主に四つの要件を意識して選ぶことが重要です。

1.ポジションパワー。なるべくトップに近い人間がチームに参加している必要があります。変革は多くのステークホルダーを巻き込むためチーム内にポジションの高い人が属している必要があります。

2.高い専門知識。変革における課題に対して専門能力や職務経験が豊富である必要があります。

3.信頼感。高い評価を受けている人材を集める必要があります。評価の高い人間の言うことは真剣に受け入れられるため、変革の実行段階で各部署への交渉などもスムーズに進みます。

4.リーダーシップ。変革は困難を伴い通常も仕事も何倍もリーダーシップが必要とされています。リーダーシップをもった人間かを重視しましょう。

②信頼関係を築く

チームがうまく機能するためには相互の信頼関係が欠かせません。変革を実現した企業は相互信頼に時間をかけていることが分かっています。会社から離れた社外でチームビルディング用の時間を2日から5日とりましょう。とある企業での成功例を挙げると5日間の時間を取り、最初の2日をかけて自然の中で共通のアクティビティであることや山登りをし、関係性を深めその後3日間かけて価値観などの相互関係と変革について時間をもちました。このように時間をかけて着実に信頼関係を作っていくことが必要です。

③共通の目標をたてる

相互に信頼できていれば率直に意見を述べる関係性になります。共通の目標を腹を割って話しましょう。共感的に誰もが納得できる目標を持つことで変革の原動力になります。

STEP3:ビジョンの策定

変革チームが出来上がったら、変革のゴールであるビジョンを立てることが重要です。変革は労力が大きく障害も多いので、乗り越えた先にどんな世界が待っているのか、自分達はどうありたいのかが明確でなければ変革に取り組むモチベーションはだんだんと下がってしまうでしょう。優れたビジョンの特徴は3つあります。

①イメージしやすい。将来どのようにありたいかがはっきりと示されている。

②実現が望まれている。社員・顧客・株主など全員にとって長期的利益につながる。

③実現可能。現実的で達成可能な目標が設定されている。

④方向性が示されている。意思決定をする際の基準になる方向感が表れている。

⑤柔軟である。個々の役割や状況に応じて解釈できる程度の柔軟さが必要です。

⑥完結である。多くの人に伝わるようにするために、5分以内で説明できるとものが理想です。

STEP4:ビジョンの伝達

次のSTEPとしてマネージャーや現場までビジョン伝達することが重要です。経営者がビジョンを掲げてもほとんどは意識されることがないようなケースもあります。そういった状況にならないためにどうやってビジョンを伝達すればいいのでしょうか。これには7つポイントがあります。

①様々な手段で伝達する。全社会議、経営会議、事業会議、社内報たち話など様々な方法で伝えていくことを模索する。
②繰り返し伝えること。何度も何度も繰り返し伝えること。
③双方向のコミュニケーション。上から一方的に指示するのではなく対話をしながら浸透させていく。
④簡明さ。専門用語を使わずわかりやすさを意識する。
⑤比喩、例え、実例を取り入れる。                    ⑥リーダーが模範を示す。リーダー自身がビジョンに向けて自ら推進していく。
⑦言行不一致の対応。ビジョンを掲げる時によく起きるのが言ってることとやってることの不一致です。積極的に問題として取り上げ、改善していくことが必要。

STEP5:社員をサポートする

STEP4までで社員は変革に対して前向きになっています。社員の気持ちや自発性を下げないように障害を取り除いていくことがポイントです。ここでいう障害は主に2つあります。

①変革反対派の中間管理職。ベテランで優秀な中間管理職であればあるほど今までのやり方にこだわりがあり変革を拒否することもあります。社員はビジョンに向けて前向きに取り組もうとしても直属の上司が反対派では変革の翼はだんだんと削がれていくでしょう。反対派である管理職に対しては丁寧に対応を重ねていく必要があります。強く反対するということは会社のことを考えているということの裏返しでもあります。誠実に対話を重ねて同じビジョンを仲間として取り入れていきましょう。

②既存のシステム。特に人事システムは変革に対して大きな影響を与えます。変革に向けた活動を評価せずに既存の事業をうまくまわすことを評価するような制度では社員のモチベーションも上がりません。変革に向けて推進していく人達をしっかりと評価して報いるなど順次制度の改定をするのがポイントです。そして人事部は官僚的なマインドになりがちなため、改革時には意識的にビジョンに適合するシステムの刷新が必要となります。

STEP6:短期的成果をあげる

ビジョンに対して明確なマイルストーンを設定し、短期的な成果を出すことが重要です。短期的な成果を設定する際にははっきり目に見える成果であること、具体的であること変革の方向に一致していることを意識してみましょう。短期的な成果を上げることで3つの効果があります。

①さらなる投資・協力を引き出す。多大なる投資に対して成果を創出したという信頼感が企業全体に広がり、さらに投資や協力を引き出しやすくなります。反対派の勢力も結果を出すことで協力せざるを得なくなってきます。

②モチベーションアップ。変革推進者たちは取り組みを褒められることとなり、モチベーションアップにつながります。

③計画を微調整する。短期的な成果を数値で確認することで変革の修正が可能になります。そして短期的な成果を上げるためにはマネージメントの要素も欠かせません。マネージメントとは目標設定し目標に対して計画を立て、そのために組織を整え目標達成までのプロセスをコントロールしていくことです。リーダーシップがあったとしてもマネージメントがなければ変革は一時的に成功するものの、安定して成果を出し続ける形ではなくなります。逆にマネージメントばかりでリーダーシップがなければコスト削減などの成果は出るものの大きな方向性を変える変革は成功しないでしょう。リーダーシップとマネジメントの双方が機能するからこそ大きな方向性を示し、人々を引っ張っていきながら裏では計画を練り成果が出るようにデザインすることができるのです。バランスを意識して変革を推進していきましょう。

STEP7:更なる変革の推進

短期的な成果を上げれば社内の信頼は高まりさらに投資や人材供給が活発になります。変革に向けたチームも複数体制となることもあるでしょう。ここでのよくある失敗パターンは短期成果に安心して変革がスローダウンすることです。短期的な成果に満足して一息つくのではなく、そこからさらに推進できるかはとても重要です。変革に向けたチームが複数になる場合はリーダーやマネージャーへの権限委譲うまく行いながら全体統括としてトップは更なるリーダーシップが必要になります。勝って兜の緒を締めよ、という感覚で変革を推進していきましょう。

STEP8:改革の企業文化を浸透させる

改革前の企業文化から改革に向けた企業文化へ切り替えましょう。企業文化は一瞬で変わるものではありません。変革を掲げ、一定の成果を出した時こそ企業文化を変えるタイミングです。これには大きく4つのポイントがあります。
①変革の成果が出ていること。成果が出ているからこそ新たな組織文化が認められます。
②議論や対話を繰り返す。既存の企業文化を否定して無理やり変えるのではなく、議論や対応しながら徐々に浸透させていきましょう。
③時には反対勢力を排除する。このフェーズに来ても反対勢力になる場合は影響度に合わせて排除する選択もあります。
④後継者選びも文化を反映する。新たな企業文化に沿って後継者を選びましょう。企業文化は企業の基盤となり、変革が一時的なものではなく中長期的に持続するものになっていくでしょう。

まとめ

さて、企業変革という言葉自体はよく見かけますが、実際それが進んでいる会社は一体どれくらいあるでしょうか。

私自身、この企業変革を経験しました。M&Aによる変革でした。その時はまだ20代、変革の渦に巻き込まれた印象がありましたが一言でそれを表現すると”しんどい日々”でした。

特に先輩社員の愚痴や変わることへの恐怖。経営陣が一気に変わったことによる顧客離れ、それはそれは苦痛の日々だった印象です。

それから10年が経ちました。今の印象として”あの時企業変革を実施していたからこそ今がある”と実感しています。あらゆる無駄を削除し、組織の基盤作りを行い、正しいスタイルを形成するこができたのはあの時の変革がもたらしたモノだと確信しています。

私の経験で企業変革のハードルは何かと言われたら、それは”既得権の破壊”をいかに勇気をもって進めることができるか、だと思います。

日本人は変化を嫌います。そしてせっかく手に入れた今のポジションを失うことへの恐怖がそれを拒みます。そういう意味でこの変革に向けた一番の壁は企業における既存の幹部だと私は思っています。

”働き方”

”DX化”

”アフターコロナに向けた変革”

今企業は岐路に立たされています。消費者のニーズがここ1年で大きく変わりました。その変化を的確に捉え、顧客にとって今まで以上に必要な存在になるためには大なり小なり変革が必要でしょう。

まずはその必要性を経営陣がわかっているか、そしてその必要性を認識しているか、さらに強い意思をもって企業変革を進めることができるか。

今の決断がおそらく10年後の自社の状態を大きく左右するでしょう。と私自身、自社の方向性を危惧するとともに、自身の役割を見つめ直す時かなと感じています。







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