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”YOLO” の効能

気づけば、2024年を迎えて一ヶ月が経とうとしている。はて、今年の目標はなんだったかな? と思い返す。私には、去年ぐらい前から漠然とした焦りがあった。それは「理想の自分」や「目標」を見出すのが、昔に比べてすごく苦手になったこと。学生時代から常に自分の理想の姿や「こうなりたい」という気持ちを恥ずかしげもなく日記にぶちまけて、それをすべての機動力にしていた私は、この状況にとても戸惑っていた。ない。目標が、目指すものが、指針がない!

コンパスを失った途端、急に不安になる。二人の子どもを抱えながら、フリーランスとして生きる人生。毎日やらなければいけないことに追われているし、仕事も締切もあるし(ありがたい)、そのために必要なインプットも山ほど。だけど、ほんの少し先。例えば、5〜6年後の未来を見据えたときに「自分がどこに向かっているかわからない」「自分が成長できているかがわからない」という状況はじわじわとストレスだ。もしかして、そんなことをぐるぐる考えてしまう時間の余裕のせい(ヒマなだけか?)とも思った。わりと濃厚な説。だけど、小学校の入学を前にワクワクと毎日を過ごす息子が、4歳の誕生日を指折り数える娘が、なんだかずうっと羨ましい。

少し前、これからしばらく自分のモットーを ”YOLO” にしてみようと思った。

”You Only Live Once.(人生は一度きり)” という言葉の頭文字を取った ”YOLO” という言葉は、ひと昔前に流行った言葉だけれど。大好きなポッドキャストで「 ”人生は一度きり” ではなく、 ”あなたは一度しか生きない” と言われるとちょっと受け止め方が変わるよね」ということを話していて、全身が撃ち抜かれたような気がした。私は一度しか。たったの一度しか、この人生を生きることができないのか…!

そんな発見が私をやる気にさせた。ぼやぼやとした毎日を抜け出すぞ、と。いつかやれたらいいなとぼんやり考えていたことを小さなことから大きなことまで洗い出した。「人生のうちに一回は生で観てみたいよね〜」なんて思っていたライブだって、検索すればすぐに来月の公演が見つかった。はい即予約。そうやって、なんとなく後回しにしてきたことを具体的に掲げて、掲げるやいなや叶えていく作業。それは今を後悔しないようにハチャメチャなことをするというのとはちょっと違う、とても慎重な作業だった。自分がこれからも自分でいられるために、今まで避けてきた道を歩くようなこともあった。

フットワークが軽いってそれだけでなんだか楽しい。自分の未来にモヤがかかっているときこそ、この荒療治は効くということもわかった。その理由はシンプルで、”YOLO” の先に何があるかは、分からないのが当然だから。例えば「一人でバーに行ってみる」。緊張しながらちょっと外から覗いて一度通り過ぎ、心の中で覚悟を決めたらまた戻って、重たい扉を開ける。振り絞った勇気の先に、新しい交友関係やなんでもない会話が広がる。もちろん毎日のようにできることではないけれど「私ってこんなこともできるんだ」「面白い出会いがあるもんだ」って。初めて気づいたり思い出したり。そのどれもが暮らしや生活にじっと向き合っている日常ではなかなか見えないことだった。

”YOLO” の向こう側にある自分のことは分からない。だからいい。人生36年目の冬にそんなことを考えた。私は、私に、飽きていたのだな(そういうことか)。

丸くなってみる、尖ってみる、始めてみる、やめてみる、諦めずに頑張ってみる。そうやって新しい自分に挑戦していく。どうしたって、私はこの人生を一度しか生きられないのだから。

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