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誰かに届ける、じゃなくて

仕事をするときはいつも「ターゲットはだれだ?」と考える。

それは文章を書くときだけじゃなくて、イベントの企画をするときも、メディアやコミュニティを立ち上げるときも。企画はいつだってターゲットありきであり、それなしでは何ひとつ決められない。ビジネス脳としては大変重要なことだ。

それゆえ、note で文章を書くぞという時だって、「ターゲット」なる読者像を明確にイメージできないと書き出せない状況に陥ってた。あの人に届けたい、そのために書かなければ、と。

だけど、改めて考えてみた。独り言を自由に繰り広げるnote はちょっと勝手が違う。今のフォロワーさんが一体どの文章をきっかけに私に興味を持ってくれたのかは分からないし、後悔から数年後、時差でじわじわとヒットする文章もある。

どんな記事を読みたいと思ってくれているのか、そもそも新規の文章を読みたいと思ってくれているのか? すら分からない。だからこそ、フォロワーの方の期待に応えようとすると出だしから迷子になる。雑多な私のnote は映画も料理も暮らしも子育ても、全部ごちゃまぜで。筋となるテーマがあるわけでもないし。

てなわけで、note の壁打ちを密かな生業としている(!?)友人、成瀬夏実氏に相談した結果、なんとなく閃いた。

誰かに読まれる、読んでほしい、じゃなくて、「自分が忘れずにいたいこと」をテーマに書けば良いのだと。誰かを変えたり、誰かに届けたりするためではなく、自分が大切なことを思い出すために書けばいいんだと!

たぶん数年後にはすっかり忘れているであろう、今を生きる自分が感じ取った瑞々しい感情や、はっとした閃き、孫まで受け継ぎたい我が家のレシピ、巡らせた思考、ぶつかった壁、好きな映画の感想………。
そうした徒然なることを、お買い物メモみたいに慌てて書き留める。過去の自分に届けたい、よりも、未来の自分に覚えておいてもらいたいこと。

誰ともひとくくりにはできない読者像から開放されて、なんだか随分と楽に文章が書けるようになった。私ったら、未来の自分のために頑張れるタイプの人間だった(いまさら)。

十年後の私が今の自分に感謝していますように、という願いは、まさにここから叶いそうな気がしている。ありがとう、なっちゃん!


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