読書記録&雑記(2020.4)

4.3 アガサ・クリスティー著/青木久恵訳『そして誰もいなくなった』(2010,早川書房)*

4.7 辻村深月『ツナグ』(2012,新潮社)

4.7 米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』(2011,新潮社)*

4.7 梶井基次郎『檸檬』(2013,角川書店)*

4.9 米澤穂信『満願』(2017,新潮社)*

4.9 川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(2010,講談社)*

4.9 丹羽健介編『文學界』第74巻 第5号(2020,文藝春秋)*

4.10 中村文則『去年の冬、きみと別れ』(2016,幻冬舎)*

4.10 芥川龍之介「地獄変」(『地獄変・偸盗』1968,新潮社)

4.11 村上龍『イビサ』(1995,講談社)*

4.12 ドストエフスキー著/江川卓訳『地下室の手記』(1970,新潮社)*

4.13 江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(2005,集英社)*

4.19 ショーペンハウアー著/鈴木芳子訳『幸福について』(2018,光文社)*✿

4.21 高階秀爾『近代絵画史(下)』(2017,中央公論新社)

4.24 リルケ著/松永美穂訳『マルテの手記』(2014,光文社)*

4.26 デュマ・フィス著/永田千奈訳『椿姫』(2018,光文社)*

4.26 原研哉『日本のデザイン』(2011,岩波書店)*

あまり「リアル」を感じさせてしまうようなことは語りたくないし、例えば生活感のようなものも、自分から醸されていることに気づくと途端に嫌悪感で泣いてしまいそうになる。なんというか、離れた存在でありたいと思って生きているのだ。だから、あまりこういう話はインターネットはもちろん、日常会話ですら一切しない。ただ、なんとなく、今日は、という気分で、これは推敲をしないと決めている雑記だから。だから、記してみようと思う。

私は桜という植物に対して強い思い入れかある。それは執着や、因縁と言っても過言ではない。

桜は、美しい。その散り際まで、美しい。その美しさは儚さに担保されているし、その美学は必ず日本人の根底にあると、そうであってほしいと願っている。一言でいうと、「あはれ」なのだ。

数年前の春、調子を崩していた。頭も体もぐちゃぐちゃな状態だった。そんな時、部屋の窓から桜がずっと見えていた。なにも読んだり話したりできなくても、それを眺めていると心がすうっ、と落ち着いて、惨めな気持ちになった。窓を開けることすらできない自分と、青空の下咲き誇っている桜。感傷的過ぎるかもしれないけれど、その当時はまだ青くて、簡単に言えばそういう時期で、時代だった。

その時の感情はとても痛いものだったし、できれば生涯感じずに生きていきたいけれど、それを忘れてしまえば私もまた、「同じ」になってしまうと思う。違った、尖ったやつでありたい、とかではなく、薄暗い過去や記憶を無理やり美化して忘れて生きやすいように生きていくことはしたくない。喉元過ぎれば熱さを忘れる。それは良いことなのか、悪いことなのかわからないけれど、ちゃんと処理できるようになるまでは、なるべく高い鮮度を保って記憶していたい。だから、思い出す。何度も、何度も、桜を見て、撮って、喉に熱湯を流し込む。一種の自傷行為みたいなものだ。私は桜という植物に対して強い思い入れがある。忘れないように、毎年毎年その花弁で身体を切り刻んで、まただらしなく生と季節を更新していく。

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