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零細企業買収して売却した話

零細企業買収ですこんにちは。アカウントの柱である会社を売却してしまいアカウント存亡の危機です。

このアカウントの活動をエンタメとして面白がってくれる初期からの根強いフォロワー様たちから希望がありましたので、区切りの良いタイミングとなった今、メモを残しておきます。

ちなみに、前回のDXnoteは私一人の作業メモですが、今回のメモは二人分の視点を合算しています。

このアカウントで情報提供していた対象会社に対しては、実は僕ともう一人の友人で投資をしており、経営のもろもろも二人でやいのやいの言ってやってきた案件なのでした。ということでそんな二人分のメモです、どうぞ。

ケーススタディとして

街中にある、どうやって生き延びてるかわからない、ちっちゃい会社って無数にあると思います。

そういう会社を自分が回したらどうなるかな、と考えたことがある人もいるはず。そういう方にピッタリなケーススタディかと思っています。

ということでやってみましたので、全部書くのはめんどくさいですが、できる限り書いてみます。

結論先に書きますが、一定以上のビジネス教育受けた方であれば余裕でこれから書く内容はできるのでこの記事読んでやった気になっていただくのがコスパよいです。

もし、同じムーブする場合は種銭の桁を上げてください。

暗算でわかるレベルですがマジでこのサイズは経済性ないです、修行です、ただの修行、レベルはいくらか上がりますが、だったら初手でメタルスライムいってブーストしたほうが絶対いいです。

サーチファンドとかいいと思いますよ、ファンドに上納金めっちゃとられますけど種銭でかくしてくれるので実額リターン考えれば案件によってはいけると思われる。

繰り返しますが読んで終わりを強く推奨します。ただの読み物、特殊ケーススタディ。何卒よろしくおねがいします。

買収まで

こっからはフィクション、そしてアカウントの中身はAI。よろしくお願いします。


2021年の6月に会社を購入しました。オンラインのMAプラットフォームを使ったと記憶しています。

ちょうど無職の状態だったので、プラットフォームに張り付きつつ事業引継ぎ支援センターのようなオフラインのネットワークなんかも使いながらサーチを最寄りのルノアールでYouTube見ながらやるみたいなことをしていた中で見つけた会社が対象会社です。

この零細企業買収活動は、元々地方のマイルドヤンキー企業や、それが成長した結果としての雑食系地方豪族企業グループみたいなものに関心があり、最終的には自分の地元でNEO雑食系地方豪族企業グループを率いてみたいなという淡い目標があって、それを連鎖買収(A社を買う、A社の与信と現預金でB社を買う、A・B社の与信と・・・・という流れを指します)により実現可能なのかを実証実験したくて始めた活動です。

それ以前は、縁あって雇われ経営者スタイルでスタートアップっぽいことをする機会を得て、それをやっていました。

今の会社の買収についてはマッチングプラットフォームで情報交換して、売主とオンラインミーティングして、資料もらってDDして、現地見に行ってまあいっかで譲渡契約締結、のような流れでした。

借地の上に掘っ立て小屋のような工場が乗っていて、その中の一角をベニヤ板で仕切って事務所にしてる会社でした。

正直タダでもきついレベルの会社で、損益・財政状況的には後2か月で資金ショート(スタートアップ界隈の用語に翻訳するとキャッシュアウト)する状況でした。でも売主が200万は欲しいと言っていたので、高額セミナー入ると思っていくか、と思ってワンチャンいきました。


注意点というか共有というか、もともと、お試し案件が欲しかったことから、資金は「自分の手金、かつ、すっても痛くない金額」という設定でしたので、本案件において株の買い取り資金に関するファイナンスという工程は存在していません。活動して思うのは、入口のファイナンスがこの分野の最重要科目なのでこの辺りはノウハウたまったら吐き出していくかもしれません。

赤字垂れ流しを止めてみよう

それでは買った後の諸々をメモしていきます。まずは赤字について。

買収時のPL状況としては、毎月うっすらとした営業赤字が続いていて、「なんとなくやばそうやけどいつ死ぬんわしら?意外とこのまま死なないのかもね」みたいな状況に陥りやすいPL状態だったので、そもそも赤字であることの認識やそこからくる会社寿命の認識が既存メンバーには無い状態でした。

とにかく何もしないと2か月後にショートしてゲームオーバーなので、ライフをためるために、速攻で止血することが重要でした。

止血方法はいたってシンプルで人件費の削減です。人を雇ったことある方はわかると思いますが、誰かを辞めさせるという方法は本当に難易度の高い手法なので、辞めさせるのではなく、時給稼働の人員(バイト)の稼働を半分にして、自分の稼働で補うという自爆プレーを選択しました。

そもそも生産工程において完全に無駄な作業がいくつかあり、そこを削減しても一ミリも生産能力に影響をしないことがわかっていたことに加え、最初くらいはラインに立って現場を見たいという思いもありこのような策にでました。

まずはバイト・パートの方々を全員集めて、「会社がこんな状況なので、すいません、稼働半分にします、足りない稼働は自分がラインに立ちます」と宣言しました。

皆さんいろんな反応をされていました。

じゃあほんとに自分が現場に入ったのかというと、この段階ではほぼ入らず、並行して手を付けたバックオフィスオペレーションのクラウド化(以下、「DX(笑)」という。)によって浮かせた無期雇用の事務担当の方々を説得してラインに入ってもらいました。

もともと生産ラインバイトから成りあがって事務担当に上り詰めている方々でしたので、文句は言われつつも生産能力は非常に高いメンバーだったので一定程度再配置はうまくいきました。

DX(笑)

上記でDXしました、とサラっと書いてますが内容は以下の記事にまとめてます。まとめているといっても全部抽出できてないのですが、大枠は下記記事の通りです。

このDXを買収後に高速で処理したことで、前章の事務要員の生産ライン配置転換が可能となり、買収後初期の資金繰り策の一部としてDXが機能した感じになりました。これぞDXを使った再生でございます(笑)。

話題逸れますが、コロナ融資の元本返済が来年度(2023年度)に始まりますから、来年度から再生案件は一定程度でること確定の中で、再生案件の初手でこのなんちゃってDXはかなり威力発揮するのでは、と一人でごちゃごちゃ業務フローとツール埋め込みやった感想として思います。この辺りの考え方について居酒屋トークできる方募集中です。

by 零細企業買収

DXのXはトランスフォーメーションを指しますが、今回のXは所謂前向きな意味合い・経営教科書的な意味合いでのトランスフォーメーションとはかけ離れており、もはや法人という生命が死の危険を察知してそれでも生きようともがいた結果発生したトランスフォーメーション(エボリューション!)でございました。

資金繰りおさらい

買収時のキャッシュは100万円を切っている状態(+倒産防埋蔵)。会社の売上規模は月商で400~500万(200万で買える会社なんてこんなもんです。種銭の桁を上げましょう!億単位の売上がマストで、できれば10億ほしい、こんなサイズならスモールビジネスというか個人事業の拡大で作れる売上です。やる人なら情報商材の常套句「PC一台」で稼げますからね)。

はい。在庫回転などの数値はめんどいので書きませんが、すでに皆さんが肌感でもピリついたように、正常運転資金水準には程遠いキャッシュポジションにあったということですね。わかりやすくハードモードでよいとおもいます。

「え、これもうショートしてるよね」
「2か月後にショートって計算まちがってるよね、買った瞬間ショートだよ」
という指摘あると思います。

要は月末の入出金のオペレーションで何とかつなぐ+仕入先に入金が遅れそうな場合1営業日だけ猶予ほしいと先んじて報告しておく(←これショートやで)、ということでしかありません。

月末入出金オペレーションですが、月末に大半の売上の入金があり、同じく月末に大半の仕入債務の支払いがある、というよくある日次資金繰り構造だったわけなので、月末の営業日の午前中に入金されてくる300~400万くらいの売上入金額を信金窓口に張り付いて確認をして、その月の支払い債務残高まで入金が確認でき次第信金窓口で小切手を使って(当座口座+小切手という入出金スキームを採用している会社でした)送金指図を出す、という「最終営業日信金窓口べったり張り付き綱渡り資金繰り大作戦」をやっていました。

当然、月中入金額と月中支払い額の関係は赤字状態だったので「入金額<債務支払い額」になっており、その差分を現預金(買収時には100万もなかったアレです)で埋めることになります。この差分のおおよその金額が50万だったので2か月ショートというざっくり計算になっていました。

※最初の時点で倒産防の埋蔵金があることは認識していて、それをどのタイミングで解約して資金繰りに充てたかの記憶がない。おそらく差分50万と見積もっていたところ、それが上振れて慌てて解約してキャッシュにして二か月目を乗り切りに行った、とかだった気がする。いずれにしろ中小MAで必須論点の倒産防埋蔵金については事前に確認し、存在を知っていた。チェケラ

by 零細企業買収

古参従業員との協働

先述の通り、事務とバイトのマネジメントっぽいことと、楽な近所への配送業務しかやっていなかったフルタイム従業員を生産現場に配置転換した結果、当然不満は高速でたまっていきました。

事務 → DX

マネジメントっぽいこと → そもそもバイト稼働少なくした&シフト管理はアプリとPCで相互にクラウドで確定&給与支払いを現金手渡しから振込に変更

配送 → 全部配送業者に委託

という処置を施したことにより、従業員の皆さんサイドとしては、不満はあれど、自分たちの既存業務が完全に消し飛んだことも理解しており、文句にならない文句をただオーナーにぶつけるという日々を過ごされていました。気持ちはわかるなと思いました。でも大人になろうぜとも思ってました。

こちらとしては、赤字期間が終了して資金繰りが安定したら彼らには生産管理とバイトの指導だけをしてもらい、まったりして長く働いてもらう環境をもう一度作りたいと説明(これは本音です、自動的に回っていく現場を作るには彼らは頼もしい経験をもっていましたから)していました。どう考えても従前よりまったりで、労働時間も少なくなる未来図が見えていたので、できるだけ具体的にそこまでのステップをお伝えしましたが、なかなか受け入れてもらえませんでした。

社「わたしたちもラインに立っているんだから社長も手伝ってください」

社「重くて原料運べません、手伝ってください」

等のかわいいわがままが始まり、徐々に指示がないと動かない、最終的には指示をしても動かないに変化していきました。無念。

社員・バイトの皆さんとのお別れ

先ほど記載したような資金繰り状況に対して、人件費の削減等により赤字を抑えることで延命(延命できても2か月くらい)し、さーてこれから資金調達のために銀行さんに行こうかな、という段階に入りました。

そのタイミングで配置転換した社員さんが辞意を表明いたしました。痛恨の極み。

社員さんが辞めるアナウンスメント効果によりバイトの方々全員が辞意を表明いたしました。痛恨の極み。

人のいない工場=廃墟が完成した瞬間です。

社員さんが辞めることによる有給消化の資金繰り圧迫が最強にきつかった気がする。

一旦整理すると、対象会社は2名の正社員とバイト10名、旧株主の社長という構成となっていました。そこにいきなり新株主が現れて、まずバイト10名に対して稼働半分(バイトの方々の懐に入るお金が半分)、正社員2名についてはかなりまったり働けていた環境から一気に真夏の冷房設備のない小屋工場で8時間生産という(バイトの方々いつもやっていましたが)環境に置かれて、買収後の1か月で全員の生活に相当なストレスを与えていました。

これに対して買収者側の正義は、あと数か月でつぶれるなら、高ストレスであっても一緒に頑張ってもらって慣れ親しんだ職場を守る方が良い(働き方は変わるけど)。正常化さえすれば、必ずオペレーションも改善されていて、同じ売上利益を、従前の作業量以下で回せる=給料そのまま&楽に働ける、という状態にみんなで突入できる。だから少し辛抱してもらって、その先でみんなで得を取りましょう。

というものでした。

でも結果離反してますね。

上記のような考えを伝えても、なかなか信頼・納得してもらうことはできず。目の前のオペレーションがすさまじいスピードで変わっていくストレスで、愚痴・文句しかでてこない、タスクもこなさないようになる、最後はこちらの指示も正面から拒否するという事態になり崩壊。

人的リソースに対してのこちら側の当初ケース分けは以下

  1. 正社員+バイト全員が残留しみんなで再生と成長の果実をとる

  2. 正社員が半年ぐらいで耐えられなくなっていなくなってしまうけどバイトは概ね残留し、新しいオペレーションで回していく

  3. 意外とみんな辞めない

上記ケースに二か月で全員辞めるは盛り込まなかったのでした。無念

確かに正社員については固定費としてフル回転させること、徹底的に自分のやり方に従ってもらうことを重視したので当然離反するし、バイトさんに対しては稼働がっつり減らしたのでバイトとして魅力がなくなったと思うしで、これは完全にミスがあったのかもしれません、反省。

人が辞めたので人を集める

人が辞めてしまったら、人を集める必要がありますから、人を集めます。

ポジションは生産業務と、できれば工場長チックななんでも屋さんの二種です。

二つのポジションに対して、当然採用チャネルは別にしており、バイトがインディード+タイミー(スカウト)+シェアフル(スカウト)、工場長チックな人がリファラル、として採用しました。

工場長チックな人は大学時代の友人がスーパー運よく来ました。採用完了です。

後は工場のバイトです。10人必要&一か月以内という条件なので、それを達成する採用戦略(と言っても頭使ったのはチャネル選定くらい)を立てました。

かっこつけてますがつまり急いで10人集めようという企画です。

結論としては、一か月で10人とか普通に無理なんで、スポットバイトで現場回しながら、いい人来たらスカウトで直契約にする、インディードハックして地域の応募者を募り続ける、というやり方でなんとか1.5か月くらいで直契約10人程度まで行けました。

タイミー・シェアフルですが、スポットバイトのマッチングサービスなので、単純作業しか振れません。来てもらった人でも回せるような工程を切り出して用意しておき、その工程に対してスポットで入ってもらうというやり方で生産を回していきました。

午前・午後・夜の枠で、各枠2名のスポットバイトをお招きし、一日6人と面接+インターンができる状況をセット(&生産を止めない状況をセット)し、作業適正と性格を見ながらよさそうな人に名刺を渡してスカウトしていきます。これで5-6人くらい直契約行きました。この採用はめちゃくちゃよかったです、何よりも変な人を一人も採用せずに済みました、みんな素晴らしい方でした。

あとはインディード経由、無料でも初期は結果上位に上げてくれて、無料なのに結構応募数を確保でき、黙々と作業してくれそうで定着してくれそうな人から優先的に採用を進めて、当初目標のバイト人員も確保しました。以下の方法は検証数不足してますが、僕の場合は機能したのでおすすめです。

この高速採用オペレーション回している間も当たり前ですが、生産は止められないので、自分で工場に立ち続けスポットバイトの管理をして、面接対応して、という結構な無茶をしながらなんとか欠品とクレームを防ぎました(後にこの期間に製造した製品に関するクレームが激増したのでクレーム防げませんでした)

仲間をどうリテンションするのか

これはもう、バイト職場の総合的競争力を高める以外にないです。

①時給
②シフト柔軟性
③環境

このあたりをいじって対応しました。

まず時給ですが、最寄りの駅のマックと松屋をベンチマークしました。狙っていた学生と主婦というというそれぞれの属性がそれらの店舗で働いていたからというなんの深みもない分析です。

駅前マック960円くらいのところ、当社は850円だったので、これを950にしました。そもそもが低すぎたのでインディードで求人出すときから950にしてました。その後定着してほしい仕事が丁寧で出勤が多い方々については1,050円まで上げて、地域内の価格競争力を付けました。(EXIT手前で思い切って1,100円にしたのは内緒)

シフト柔軟性については、基本希望したシフトはほぼ入れる&会社側からの要求は0という仕様にして、スポットバイトのノリで継続的に使ってもらえるようにしました。これは結構よかったのでは?

DX記事に書きましたが、シフト作成・管理は、エアシフトを使ってクラウド管理なので、シフト調整工数はほぼ0だったのもこちらとしては良かったです。

環境面については、会社さんサイドが偉そうにしない、イヤホンで音楽聞いて作業してもらってOK、工場のコンセントでスマホ充電当然OK、夜おそいとき駅まで車で送ってあげる、等細かい部分で限界まで緩さを作りました。会社って意図的に緩さを作っていかないとただの管理組織になって人間が本能的に避けていきますよね。

時給もそこそこ高く、シフトの自由も効いて、職場の空気も悪くない、ということであれば続けてくれるかなという狙いをやってみたということになりますが、結局1年足らずで売却していますからこの施策の効果検証は未済です。うまくいけばいいと祈っています。

生産オペレーションの合理化をやってみる

人がすべてやめて、新たに人を取る過程で、生産オペレーションを思い切って見直します。

スポットバイトがすぐ稼働できるように作業をパーツとしてして切り取ったというのもこの取り組みの一環です。

ざっくり工程は以下になっていました。

①原料を在庫置き場に置く
②原料をマシンに投入する
③マシンを動かす
④マシンから半製品出てくる
⑤人の手で製品化+包装する
⑥一定量に分けて箱詰めする
⑦製品在庫置き場にためていく

これを①~⑦にかけて各工程の無駄を取ること、各工程の連結をよりスムーズにすること、を考え調整しました。

①原料を在庫置き場に置く

原料はめっちゃ重いので基本業者が原料を納品に来る前に、原料在庫スペースを空けておいて、直接そこにおいてもらうようにしていました。
(めちゃくちゃ狭い工場なので、スペースが本当にない工場でした)

しかし、生産ペースとの兼ね合いから毎度うまくスペースを空けれるわけでもなく、マシンから少し遠い位置に配達されることも多々あるという状況でした。

品種にもよりますが、原料のひとまとまりの単位で30㎏あるため、少し遠い位置に置かれると、男が担いで一つずつマシン横に置いていく作業が発生します。これは無駄です。

原料在庫スペースをデカくする必要があります。よってでかくしました、

具体的には後述するようにこの会社の生産ラインは3ライン、それが並列に並んでいました。その真ん中のマシン(もともと代替機)を撤去し、左右のマシンで扱う原料置き場として使いました。これだけで原料運びオペレーションはほぼ消滅しました。

あと、原料置き場ができたことで、以前はスペースの都合から月に2~3度業者に原料を持ってきてもらっていましたが、一撃で一ヶ月分の在庫を置くことができるようになり、後に行った生産計画運用と在庫量の整合が取りやすくなり、非常に良い施策となりました。

一方で齢40年強の老いぼれマシン3兄弟の内、両サイドどちらかが死んだときのためのリスクヘッジとしておいておいた真ん中のマシンを抜いたわけなので、BCP的には脆弱化しました。新マシンの導入(後述、てかこれがEXITのキモ、そこだけ読んでもらえればよし)が目の前に見えていたので一時的なものだと割り切り真ん中を捨てました。

②原料をマシンに投入する

重い原料の袋を開いて、マシンにセットするだけの簡単なお仕事です。
これも男の仕事または女性×2でやる仕事で、だれでもできる作業にしようといろいろ考えましたが、最終的にこの部分を自動化するマシンがあることがわかり、将来的にそれを入れるくらいしか根本解決ないという結論に至り何も手を加えませんでした。

③マシンを動かす

スタートボタンを押すだけの簡単なお仕事。

のはずですが、スーパー老いぼれマシンですから、ボタンぽちー、では基準値を満たす製品は出てきてくれません。

重要なのは湿度と温度で、湿度・温度に対してマシンそれぞれのパーツの角度をガムテープを使って微妙に変えたり、パーツとパーツの隙間をタオルで埋めてみたり逆に開いてみたり、というかなり職人技が必要な工程でした。

やったこととしては、温度・湿度に対して、必要な調整個所と調整具合を逐次をメモしていくことでマニュアル化しました。

この工程はわが社のまさに心臓部分でした。この調整がうまくできておらず、人がたいりょうに辞めて見様見真似で生産していた時に作った製品に対して、大量のクレームが来ました。

④マシンから半製品出てくる&⑤人の手で製品化+包装する

無事マシンのご機嫌を取ってボタンポチーすると半製品が一定のリズムで出てきます。
出てくる横で人が製品化して包装していく。これで売り物が完成です。

一定のリズムで出てくる、そのよこで同じリズムで製品化+包装、をやっていくときれいにつながるので、マシンが稼働している時間=生産時間となります。

一方で、マシン稼働を担えるのは先ほど記載した通りクセすごマシンを乗りこなせる者がいる時間だけなので、従前は古参社員と一部のバイトだけがそれにあたり毎日稼働させれていましたが、人が辞めてしまえばこの手法は無理です。

あと、マシンのリズムはめっちゃ早いので、熟練バイトじゃないと製品化ビート刻めない、という課題もありました。

そのため、とにかくマシンを動かせるときは半製品を出しまくってとりあえず半製品の状態でためておく。バイトが来たタイミングで半製品を大量に入れておいた半製品BOXを渡して、「〇時間で〇個作ってください」というお願いする。ことで、マシン稼働率をコントロールしやすくし、かつ、スポットバイトが来てもすぐに取り掛かれる作業を作りました。

マシンはオーナーが回す、仕上げはバイト、これで結構うまくいきました。

⑥一定量に分けて箱詰めする

製品を段ボールに詰めて、在庫置き場に運ぶ作業です。

従前はこのためだけに人が稼働してましたが、どう考えても製品化してるときにひとつづつ箱に入れて行って、容量いっぱいになったら段ボール閉じる、だけで済む作業であり、それを運ぶのはあとでまとめてやればいい。

ということで工程を消しました。

⑦製品在庫置き場にためていく

在庫置き場がほぼないのが従前の状態でした。

というか、製品の在庫を作ることをなぜか古参社員たちがとても嫌がっていて(資金繰り的な観点は全くない方々)、在庫を作らない戦略をしていましたので、置き場自体が必要ありませんでした。

その結果、普通に予定していた出荷に生産が間に合わないという事象が頻発してました。急なオーダーにも対応できず売上の上乗せ分もスルーということにもなっていました。

資金調達後に在庫作れるようになることが予想されたので、在庫置き場を作りました。と言ってもめちゃくちゃ狭い工場なので、工場内にあるベニヤで仕切られた事務所スペースをぶっ壊しました。そこを在庫置き場としました。

事務所は工場の横にあった倉庫に電源と空調を入れて整えました。

資金調達を頑張る

なんとか人が全部辞めた後に応急処置ができたところで、資金繰り手当てを開始します。

先述の通り、現預金がほぼない会社だったので、とにかく運転資金見合いの金額の調達は必須、加えて設備投資も小さいのがいくつか必要だったのでその+αを考えて1,000万の調達を目標にしました。

当たる先は公庫と当座口座を持っている信金の2つ、事業計画を書いて相談に行きました。この二つの感触を見てからリストしていた複数の地銀を回る予定でした。

公庫はコロナの制度融資を目当てに行き、信金はプロパーを目指すという戦略です。

ちなみに買収時点においては金融機関債務なしの会社でした。これはこの案件の唯一の魅力でした。

公庫

まず公庫から。

コロナ融資の制度要件を満たすことは事前に自分で確認済みであり、問題は1,000万いけるかどうかと、経営者個人保証を外せるかどうかの二点でした。

面談した結果、当然要件該当性はOKで、1,000万もいけるとのことで、あとは個人保証。

ざっくり個人保証ガイドラインの要件としては黒字・資産超過・オーナー資産と会社資産の分離ですが、黒字についてはコスト削減により月次試算表ベースで黒字確保、資産超過については買収後に創業家が持つ役員貸付金を債権放棄してもらいぎりぎり資産超過を作っっていた、オーナー分離はそもそも買収直後なので論点なし。

という形を整えて説明したところ、個人保証なしOKということで面談終了。

あの状態の会社を買って三ヶ月後に個人保証なし1,000万は普通にスーパープレイだなと思いました。

信金

公庫の1000が見えた後の信金往訪だったので、金額目標なしでとにかく来年度以降の設備資金や新規事業投資資金のためのベースづくり・お付き合いで借りればOKという目標で行きました。

信金様「えー株主変わられたんですね!すごい活動されてますね!」

「最近変わりまして。がんばります。200万くらい借りたいです」

信金様「御社実は過去にリスケ歴あるんですよねー、プロパー無理なんで保証協会融資+個人保証でいいですか?」

「公庫は個人保証なしで行けてますよ。リスケ歴ありで保証協会融資から取引再開したい、というのはわかります」

信金様「公庫よくてもうちは無理なんで何卒!でも、融資の新規先カウントになって成績つくんで貸したいは貸したいです、何卒!」

「経営者保証ガイドラインというものを知りまして、読んでみたら弊社も個人保証を徴求しない法人に該当するかと思ったのですがダメですか?」

信金様「無理です、でも借りてください、何卒!」

「・・・、個人保証付き200でオネシャス」

という感じになりました。

過去資料見ててリスケしてるの知っていたので、このくらいの対応されるかなと思っていました。しゃーなしで200(個人保証)いきました。

対応してくれた彼で「ノリの軽さと親しみやすさを勘違いした地方の営業マン」というあるあるネタが作れそうだなと思った、のを思い出しました。

公庫2

公庫から資金実行の3営業日前くらいに連絡あり。

プルルー

公庫「公庫です、予定通り資金実行行けそうです。契約書手配できたので手続き案内します。ちな、個人保証はやっぱり必要となったので、個人保証ありバージョンで書面作っています」

「は?その対応いろんな意味でキツいんですが?少なくともへらへら言う話ではないですよ。」

公庫「個人保証のとこですかね?すいません、中で揉んだらそういう結論になりました。何卒!」

「今月末の支払いはこの融資を充てるんですが。てか、それも伝達して融資スケジュール調整しましたよね?あとこっちの各種条件が無理なら他の金融機関回るから先に言えって言ってましたよね?そのあたりどうっすか?」

公庫「はい、実行自体は問題ないです。何卒!」

「3営前の絶対拒否れない会社に対して、融資条件を公庫有利に一方的に変更することについてどう思いますか。
こちらとしては普通に優越的地位の乱用だと思うので、金融庁と公庫のクレーム窓口にこの経緯放り込むので担当ライン支店長から全員名前ご教示よろしくお願いいたします。何卒!あ、公庫さんに関するチクリって全銀協も対応してくれんでしたっけ、そこわかんないんでご教示ください。何卒!」

公庫「もう一度支店内で条件検討するので少々お待ちください。」

「ちょ、今から検討したらスケジュール終わるじゃん。」

公庫「来月までに何とかするので、来月実行にしません?なんとかします。さーせん。何卒!」

「何卒ワロタ。しらんけど」

という感じになり公庫の担当者・当社ともにいろいろ死亡しました。

公庫の来月までになんとか、というのは月次黒字をもう一ヶ月分見れば個人保証外せる、というロジックだったので、薄い期待を残しながら基本個人保証付きで一ヶ月後改めて借りるか、信金200だけで頑張るかという二択かなとこの時は考えてました。

普通にこっちもリスクヘッジできてなかったのが最大の反省。公庫のせいにしても仕方ない。とにかく当たれるだけの金融機関に当たるべき資金繰り状況だったので。でも副業しながらやってたので物理的にむりだったでしょう。

整理

一旦状況整理すると、8末の支払でほんとに現預金が尽きることが確定していたので、7月中旬くらいから公庫信金に当たり始めていて、公庫との口頭合意を得たのが8月のどこかだったので信金はコロナで保証協会のおじさんたちがパンクしているとのことで9月中旬の実行でOKとしていました。

この状況で公庫から借入がペンディングとなったので8末支払いは別の調達で何とかしなければいけません。

公庫とのバトルのあと、さて、金どうしようかなーと思っても、8月の終わりでしたから、支払に間に合う調達は街金の法人ローンかファクタリングくらいしかないので、上記の公庫電話終わったその場でポチポチ検索→借入申込フォーム入力をやりまくりました。

あとはとりあえずゲームのルールとして追加の融資を株主として行わないでやるというのがスタート時点で決めていたのですが、とりあえずもしもの時のために200を役員貸付しました。ルール違反。

ファクタリングを使ってみる

アイフルとかいろいろネットで法人ローンやるよって言っている先にフォーム申込、電話問い合わせ行きましたが、個人保証必須と言われるか、スケジュール的に無理と言われるかのどちらかで、速攻で詰みました。

最後はクラウドファクタリングやるかと思って、オルタをやったら、100万分の請求書を即買い取ってくれました。翌月108万円返済します。月利8%。

月利8%えぐい、と思うかもしれませんが、資金の需給だけで見れば価格としては全然OK、というか貸してくれるならええやん、という感覚でした。

でも各種法人ローン先をある意味くまなく調査した後のオルタだったためUI/UXには一通り感動する体質になっており、すべてのやり取りがクラウド(WEB)でできるのあつかったです。

そして無事100万の調達ができ、8末を迎え、何とか役員貸付金を除き数十万円程度月初残ある状態で9月を迎えたのでした。

値上げ

コストも削減し、資金繰り難も一旦逃れたので、次はPLの改善いきましょう!
(実際には6月経営入って9末まではコスト・調達・人・PL改善(DXもこの時期)並行しているのですが、縦に書いていく都合から適当に順番つけてます。所謂100日プランです!(笑))

PLを分解したり、簡易にモデル的なものを作ったことがある人にはおなじみですが、PLの構造を最も簡単に改善するのは単価で、なぜか僕がキャリアで見てきた会社はこれをやらないので、ぜひやってみたいと思っていました。

顧客向けの理由は原燃料費高騰程度で、一律にお手紙ばらまきつつ、ただ単に今のお客様相手に40%の値上げを行いました。

ちなみにお手紙は格式高くいきましょう、値上げリリースを行っている大規模メーカーのリリースPDFをいくつか持ってきて、日本語をコピペしましょう。彼らは日本語教育しっかり受けていますから、コピペが最適です。
Wordのポイントや構成・余白もよさそうな伝統企業のものをそのまま再現しましょう。
効果あったかは微妙ですが、「大企業みたいな手紙よこしやがって」というフィードバックをいただくことができました。

値上げの準備としては、

  1. 値上げ幅を決める

  2. 値上げ対象を決める

この二つだけやりました。

値上げ前の状態としては粗利率20%行かないくらいで、同業の数値を見るに30%前後が業界平均ということがわかり、まず粗利率30%確保が絶対水準と考えました。原油と為替影響が原料価格に直接ヒットする業種だったので、原油と為替影響出てまた20%とかに戻るのいやだなと思って粗利率40%狙いかなと、ざっくりターゲティングしました。そこに届く値上げ幅を商品別に細かくきめつつも、平均して40%の単価上昇になったという具合です。
別に今の円安とかを予見していたわけでは全くないです。結果オーライです。

後は値上げ先ですが、ここも大口全部取引終了パターンとか、大口の2社が剥落するパターンとか、粗めに5パターンくらいに分けてExcelいじって(こういう時はスプレッドシートよりExcel開いちゃうあるあるですよね)、最大ストレスパターンで粗利「額」が現状を下回らないことを確認して、全社に一斉値上げ通知を決めました。

結果一番いらなかった、赤字取引の大口(単価を大口の言われるがままに値下げしてたら粗利マイナスになっていた案件)からそっこークレームきましたが、冷たく突っぱねたら受注数量が従前の10分の1くらいまで減っちゃいました。黒字取引になったのでありよりのあり。
めっちゃマウントとってきてましたが、そもそも赤字取引だから全然痛くなくて、むしろ先方がとんでもなく安い価格で仕入れていたルートが崩壊してわたわたしておりました。

もう一つの大口はサイレントで取引切られました。正直ここだけは値下げ交渉されたらかなり下げる予定でいましたが、サイレントだったので尻尾つかめずです。こういう事例を見て、値上げプロセスは個社別に丁寧にやる部分も必要だなと、めっちゃ常識的な知見を得ました。

値上げ総評としては、値上げにより大口二つと小口複数のサイレント消失あったものの、想定通りの粗利率を確保し、粗利額も当然増加、何よりもこれまでの現場に余裕ができたことが大きかったです。大口赤字取引をさばくためにバイトを毎日フルで張らなければいけなかったところ、夜シフトを減らしたり、土日休みを作れたりと良い環境に変化しました。

値上げすごすぎ。みんなやっていこう!インフレ加速させよう!

原料調達もいろいろ検討してみる

原料の話もメモっておきます。

原料は石油由来品が主だったので、原料価格は原油価格連動でした。

折角値上げしたのにそこを原油価格上昇でえぐられるのが嫌でしたが、売却までの10か月間は最悪の時期でした。円安進行はそこまでではなかったですが、原油価格上昇がきつく、原料値上げ圧力(というか値上げ要請)が二度もきました。とにかくいろんな調達ルートを探して安い原料やヘッジ手段を探しました。

あとは、主の原料調達経路が地場のおじさまからだったので、その価格が市場価格と比較して妥当なのかどうかも分かりづらい状態でした。

あとこのおじさま、自分がその月に売りたい量を勝手に納品してきて請求するという原料調達計画潰しマン、資金繰り圧迫マンでした。というか普通に詐欺。勝手に商品送りつけて間違って金払わせる詐欺の手法と一緒。

なのでまずはこのおじさまのパージを模索しました。30年くらいずっと納品してくれている会社の二代目社長(ほぼ個人事業主)でしたが、余裕でパージです。

そこから、全国の商社、メーカー、中国輸入、メールと電話の連打です。見積をたくさんもらいました。その時期は某所のルノアールで意味不明な覚えたての業界用語連発していました。

結果、おじさまの価格が業界一安いことが判明しました。

パージ、ぜーーったいにしてはいけませんっ!(^^)/

でも不誠実な人間であることは変わりはないので釈然としません。
そんな中、おじさまから「そういえば、御社がっつり値上げしたんでしょ?うちも値上げするね、次の請求から、よろ」と言われました。

これはコングです。せっかくの値上げ分を10%くらい取ろうとしてきたのゴングです。

 「新価格表見てから購入を考えます」

お「そんなの作ってないよ、昔からそんなのないんだようちは」

 「今相見積してるんですが、参加されないということでいいですか?」

お「なにそれ、だめだよ、相見積なんて」

 「●●(メーカー名)、××(商社名)、と今話していて、追加で中国からの原料の見積もくるので、そこと比較する予定です。輸入品はかなり安く出してくれそうです。」

お「輸入品品質悪いからやめたほうがいいよ」

 「サンプルで検証終わってます。ありがとうございます。」

お「じゃあ3%くらい上げさせて、それは頼む、ほんとに原油価格上がっててそれは転嫁したい。だから相みつやめといて」

 「OK」

脅しが効いたのか、経営期間中、他社が値上げを二度する中で、おじさまは結局この小幅値上げの一度の値上げだけでした。
これが儲かっていない苦しい業者なら対応考えましたが、過去うちに原料入れて、安い工賃で製品作らせて、うちより高い値段で売るというビジネスを彼がしてきたことを知っていたので、その人間性も相まって、こっちも良心の呵責なく余裕でつぶしに行けました。何より彼の原料の納品先で最大大口先は当社だったので、余裕でコントロールできました。

値上げによって、大口が消えたという話をしましたが、数量が減ってるので、当社としては利益を確保できていたのですが、おじさまは数量どのくらい当社に出せるかが勝負なので、大口が消えた影響をじわじわと受けていました。

お「あのさ、御社最近大丈夫?量減ってない?」

 「大丈夫です。買収後むしろ業績回復してます(本当)」

お「そうかー。例えば俺が御社の製品の新規先見つけてきたらすこし分け前もらえる?基本は原料の利ザヤで稼げるから」

 「キックバックの料率によりますが、OK」

お「おっけー、客引っ張ってくるわ」

ということになり、原料調達をいろいろ考えた結果、業務委託の営業マンが誕生しました。

ペンディング1000万の結果報告と投資計画

例の公庫の件、ひと月経過してどうなったか。

結果として月次黒をもう一ヶ月分見せたらすんなり1000万個人保証なしでいけました。

なぜか担当者は変わっており、一から説明必要でしたが、それ以外は特に波風たたず穏やかな取引となりました。

僕が逆の立場なら、一期分の黒字確認と期末資産超過を確認しないと個人保証外せないとか言うかなーと思って期待薄かったですが、通りました。

これで現預金が1,000万以上できました。

やりたいことは明確に売上とコストに効く投資です。金利を上回る設備投資利回り、これぞ融資調達のお手本!みたいな投資をしてやろうと意気込んでおりました。

やりたかったのは入ってくる予定の新マシン(詳細後述)の半製品が出てくる部分に設置して、製品化を自動化するマシンを付ける投資です。

半製品を製品化するところに多くの人件費を投入していたので、500万の自動化投資でこの人件費がなくせるのなら投資回収1年以内となる、確変確定激熱投資だったので即実行しようと思っていました。

あとの残りは運転資金に使おうと思っていましたが、この時すでに(確か2021年10月~11月だった気がする)原材料価格の値上げが始まっており、この値上げ前に原料在庫を積もうと原料在庫ダブつかせ投資をしました。

結果としてその後原油価格や円安の波が来たので投資成功ですがEXITの時に結構言われました。原料在庫多すぎて現預金すくなくなってるやんけ、と。まあ確かに買う側だったら同じつっこみする。わかる。

新マシン来なくてイライラ

上記で言った「新マシン」

これは買収時にすでに会社として発注支払済みのマシンの事を指します。

買収前、工場にラインが3本あり、すべて年齢が40歳以上になっており、いつ爆発してもおかしくないという経営を続けていました。そんな中、真ん中のラインが炎上し、火災保険が適応されその1000万ゲット、工場設備のメンテナンスをやってくれるおじさんに社員が相談したら「おう、おれが調達して設置までやってやる!しかもリースでそれまでの代替機も持ってきちゃる!その代わり全額前払いしてや」と言われ、そのまま1000万をおじさんに流したという経緯のあるマシンです。

買収時の皮算用として、性能段違いなこの新マシン、これ一台を稼働率マックスにすれば売上3倍まで見える、と考えていました。これも買収の狙いの一つでもありました。

本当は前払いしないで検収払いとか中間払いとかの契約にしてくれるとよいのになと思いましたが、会社と出会ったときには締結されている契約だったのでしゃーなしでした。運転資金ほぼない状態で1000万前払いとか冷静に見るとトチくるってますが、冷静に見ることが最も愚かな行為であるのが零細企業間取引の世界であるとレベル上がった今の僕にはわかります。

当初予定では買収が6月で、7月末には新マシン受け入れとなっておりましたが、おじさんサイドが多忙、という理由から8末に延期されました。

8月に入って連絡すると、「足ケガした、ごめん、おれ現場仕切らないと若いのだけじゃ回んないから9月になるわ!」でした

9月に入って連絡すると、「知らないと思うけど、業界的にコロナで半導体が全然供給されなくなってるのよ、マシンの製造も遅れてらしくて、メーカーにものがないらしいのよ」

メーカー名を聞いたので、おじさんの会社名で注文入っているかを聞きましたが、注文入っていないとのことでした(「メーカーさん、第三者にその情報返答したらダメだろ」と思いましたが、今度何か調査するときに同じやり口使えるかもしれないので得しました。)

契約の履行期限が11月末だったので、11月末までには何とかしてねという最大限のお願い(圧力)をかけて11月中旬まで待ちました。そして連絡きました。

「コロナ、半導体不足、来年の夏になるかも!」

おじさんと弊社をこんなに苦しめるコロナが憎い!

トップラインあげてみよう

新マシンが来ないのであんまりトップラインをガンガン上げる活動に気持ちが入りませんでしたが、入ってきた後の稼働を作るためにも必要だと割り切り、オンライン販売とDM爆撃から始めました。

多分、零細企業あるあるだと思いましたが、この「オンライン」と「営業」が機能として存在しない会社が零細企業の90%以上あるのではないかと思われます。

今回はどっちもやってみました。

まずオンライン

オンラインについては、商品を普通にC向けにも売れる商品だったので、まずはFBAに在庫送って、Amazon最安値でうりました。

Amazon商品ページの情報もAmazon素人だったので最低限の情報を記載、Amazon内部のSEOもどっかのせどらーが書いてる記事に記載されていた「やらなきゃ損する設定5選!AmazonSEO」みたいな記事の通りにやった程度。

結果やっぱり適当にやったツケとして、別メーカーの同じ商材が月200くらい売ってるのに(セラースプライト調べ)うちはもっと安いのに毎日1~2個の注文にとどまりました。多分これを伸ばすAmazonお作法があると思いますが、初心者で他にやることもあるのでもうこれで良しとしました。でもB向け価格よりかなり単価が高く出せており、利益率の良い販売チャネルとなり、全然OKでした。

あとはモノタロウとアスクルにも他メーカーの同一商品が出品されていたので、その価格より安くできるよとメールを打ったら商談まで行けました。結局弊社的に死ぬほどデカいロットとちょっと低めの調達価格を言われて、商談は自然消滅。大手様に安易に声をかけるべきではなかったです。

営業面について、ファックスDM爆撃くらいです。

地域の商社に効率的にアプローチするために、入札情報から、同じ商品で入札入れている商社を抽出して、その商社にうちもこの商品ありますよってDMしました。商社として取扱いある商品なら、他のメーカーも検討するでしょという軽いノリでした。リスト自体は300くらいにしかならないのですが、結構意味ある活動になりました。

営業はこれ以外にも試したいことたくさんありましたが、次の章のせいであまり試せず終わっています。

唐突なEXIT

おじさんとの交渉

先ほどのおじさんの件、僕はおじさんを信じるサイドの人間ですが、人に相談したらどうやら弊社がだまされてる可能性が高いということがわかりました。

コロナが悪いのではなく、おじさんが悪い、という友人たちの見解が多数でした。

友人たち曰く、
「おじさんは前払いしたお金をもう使い込んでいるだろう、多分マシンは永遠に納入されない」
とのことでした。にわかに信じがたい。

おじさんにはいつもマシンメンテでお世話になっています。

確かに「預かっておく」と言われていた炎上したマシンの残骸(弊社所有であることは確認済み)も勝手に鉄スクラップにして売られており、「ごめん、じゃまだからうっちゃったわ、必要ならそう言っておいてくれなきゃー」と言われたことや、他のメンテ会社に頼んだらガチギレしてきたこと、そもそもマシンメンテは素人で本当はうちと同業を経営しているというだけで機械いじるのすきなだけ&おじさんがメンテすると必ず他に不具合が生じる&炎上したマシンも炎上箇所を前日におじさんがメンテしていた、という諸々のファクトは存在します。

とりあえず、おじさんに弁護士意見書を内容証明で送ることにしました。

この辺りの手続き詳しくないですが、マシン売買契約見るに履行期限は超過しているので債務不履行は素人目でもわかること、コロナ→半導体不足というロジックが正当であっても履行しないことの理由にそのような事項が盛り込まれていないこと(解除可能)、そして解除時に全額返金の旨が明確に記載されてることを確認、さらにその解釈が間違っていないことを弁護士に確認、弁護士に意見書を作ってもらい弁護士事務所からそのまま内容証明を送ってみました。都内のおしゃれな法律事務所を使ってみました。5万くらいかかりました。

「あのー、新マシンの件、ちょっと重めの文章送っちゃいましたが、届いたらご確認よろしくお願い致します。」

お「おれ忙しいからあんまり事務所いないのよ、要件あるならLINEにして」

「了解しました。(弁護士意見書PDF添付ぽちー)」

お「(既読スルー)」


マシンが絶対に納入されないこと、返金もおそらくないであろうこと、を考えると、ここで売り抜けるのが天井なのではないか、おじさんへの内容証明周りの作業しているときに考えました。

本当は新マシンの自動化投資でキャッシュが永続的に産まれる会社にしておきたいという考えがありましたが、新マシンが来ないなら永遠に労働集約的構造から抜け出せないので長期保有の意味が薄まります。投資的観点でも、新マシンを軸にした買収ストーリーでしたから、ストーリーは大きく崩れてしまっています。

おじさんからは、買収時に「いくらでこの会社かったのよー、高かったでしょ?おれなら2000万が限界だな。で、いくらよ?」と言われており、これはもしもの時のEXIT候補先様だなと思い、それ以降もこちらからやわらかいタッピングは継続していました。

というかEXIT候補として留めておくためだけに、おじさんの愚行(新マシン納品遅延、スクラップ事件、炎上事件、等々)を許容してきた判断があるので、ここでそれを使うことにしました。

「そういえばこの会社今売りに出してるんですよ。二社と交渉してます。3末までに交渉まとめる予定です。おじさんへの1000万の債権については伝達済み、回収はどちらの会社になっても自社でしっかりやると言っています。」

とLINEぶん投げました

お「うちが買うよ。いくら?」

こちらからすると釣り針デカすぎなんですが、余裕のフィーーーシュっでした。

「2000で交渉してます、2000以上で意向表明出してもらえれば独占的に交渉しますよ」

お「むりだよー、1000もかちないでしょ?(笑)」

「了解しました、では会社の新株主への譲渡後に備えて1000の返金準備はしといてください。私みたいな素人ではなく、しっかりとした会社様が株主となる会社になりますのできっちり回収業務回されると思うので」

お「質問なんだけど、俺が御社買ったら新マシンの1000万ってなかったことにしてくれる?」

「その場合はしょうがないですがそうしましょう(譲渡後、株主:おじさん、代表権:おじさん、ワイ:部外者。だれに許可もとめてるん?)」

お「1100!たのむ!」
 「1400」
お「無理」
 「じゃあ、今交渉している二社のどちらかに・・・」
お「1200」
 「てか、お金あります?」
お「1200なら銀行から借りれる!」
 「じゃあ1200、3末支払い期限とします。逐次調達状況を共有してください二社を待たせる形になるので無理と判断したらすぐ別に売ります」
お「ちなみに、その二社ってどこ?」
 「ないしょ!」

という感じでとりあえず売却先を確定させました。あとは株譲渡の決済を着地させれば無事EXITです。

ちなみに価格交渉スーパー割愛してます。3週間くらいの会話をダイジェスト版にしてます。

価格の1200ですが、買ったときは200で、負債を前述の通り1200乗せたうえでPLとBS改善を勘案しても2000でマッチングはかなりハードル高いなと思っていたので、満足はしてませんが10か月で6倍なのでまあOKかと思っています。

一応先方には2000で計算できるロジックを説明して、値引いて1200だよといってありますが、売上と現預金の二つの勘定科目しか知らないタイプの経営者でしたので、絶対意味理解してないので、そこもくやしい。

形式としては債権回収型のEXIT(そんな言葉あるですかね)になっており、1000が債権回収分として考えると200しかバリューない、という見方もできてめっちゃむかつきますね。でも他社に売るという動きをしないと債務不履行の解消に本気にならなかったのは事実なので、売タイミングはここしかなかったのかなとも思ったり。

あと対象会社の未来を考えるとおじさんへのEXITは悪い話ではないという考えもありました。同じような小さい工場で同じ製品を作っているおじさんでしたが、コミュ力とコネ力で案件だけは結構降ってきており、生産能力が欲しいと常に言っていたので、対象会社がその溢れている需要に対して生産することで、会社の継続性についてはより強化されるのではないかとも考えていました。これから新規開拓を積み上げるより、すでに顕在化している需要に生産能力を充てていくだけの方が戦略的に確実なのは間違いありません。

スーパーマイクロ案件なのに振り返るといろいろ考えさせられて勉強になるしイライラするしです。

売却に向けて調整する

売り先は決まったので後は契約を締結して決済するだけです。

先方も一応DDしたいらしく資料提出のインタビューの依頼が来ました。

とりあえずおじさんへ売ること決まったのが2月末くらいで、そのあと3月入ってすぐに先方の税理士とともにおじさんが来社され、税理士オーダーの一通りの書類を紙で渡したり、経営の状況をくまなく話しました。ここは相手は極めて不誠実な人間でしたが、こちらは最低限情報開示は誠実にやっておこうと思い、全部隠すことなく伝達しました。

DDとしてはその後質問一切なしで終了しました。絶対あの税理士さんやる気なかったと思います。ちょっとくらいやってるふりくらいすればいいのにと思いました。というか質問しないなら紙で元帳とか出力させないでほしかった(笑)

零細企業同士のストリートMAディールと言っても、さすがに資料やりとり前にNDAくらいしっかりやろうと思い、こちらでNDAを作成して、ロジを案内していましたが、なかなか捺印してもらえず、結局上記インタビューの日にも「わすれてたー、あとで郵送するわ!」と言っていました。さすがにここでキレても得がないので、伝家の宝刀「NDA前提でお話します」を使用しました。信用できない相手につかう手法ではないと思いました。あれは大企業の品行方正な方々同士だけでこそ許されるのですね。

結果として、NDAはこの日以降催促せず、譲渡後の今も締結されていません。譲渡契約にも秘密保持条項盛り込まなかったのでお互いフリーでこのディールの中身を話すことが可能になりました。今となってはおじさんもnote自由に書きたかったのかなと思います。おじさん、ありがとう。

長くなってきたし、ここからもいろいろ事件あったので割愛して、ここから決済までスーパーダイジェスト版にします。

両社弁護士なし、FAなしの譲渡契約交渉も中々エンタメ性高かったのですがニッチ分野なので割愛します。ちなみに契約書は売手の表明保証条項を2行で書き切った僕の力作でした。

DD・インタビュー
 ↓
お「ごめ、3末調達無理そう」
 ↓
催告書を内容証明で送付
 ↓
お「おい、なんだこれわ!3末までに金引っ張るから追加資料頂戴」
 ↓
お「4/8なら決済いけるわ」
 ↓
「無理、他に売る」
 ↓
お「ちょま」
 ↓
「譲渡契約締結は3/30、決済は4/8、これで契約作る。契約はクラウドサイン、それならOK」
 ↓
お「余裕、金用意できるし。クラウドサインってなに?」
 ↓
「既読スルー」
 ↓
お「そういえば、俺じゃなくて弟子が御社買うことになった。締結はそいつの会社の印でやるからよろしく!」
 ↓
「!!!!!!!!!!!」
 ↓
3/30
C「こんにちは、兄さんにお世話になってるものです。この度はありがとうございます」
お「こいつは俺の弟分だ。中国から日本に来た時から世話してる。家族みてーなもんだ」
「・・・・・・」
 ↓
クラウドサインURL送信、ズーム接続、捺印、締結完了(しかし締結相手は中国紳士)。
 ↓
C「すぐに払えますが、入金確認目の前でしてもらったほうが安心できるので4/6に現地に行かせてください。最後ですがきちんと挨拶もしたいので」
 「何卒!」
 ↓
4/6
決済完了。事務所とメンバーに別れを告げる。

以上、零細企業買収して中国人実業家にEXITした話でした。


この中国の方、すばらしく誠実な方で日本文化やビジネスにも理解が深くでした。おそらく中国のエリートだと思う。なぜ彼がおじさんの弟分なのか、めちゃくちゃ謎である。

弟分に泣きついて、1200を払わせたという落ちですが、なんか腑に落ちないというか、結局1000万使い込んでそれの後始末はおじさん自身ではやってないんですよね。

まとめ・雑記

ちょっと異常に長くなりましたね。読み直しする気も起きないレベル。

自分としても意味のある記録になるかなと思ってイッキに書いてみましたが、めんどくさがって割愛した部分も多くあり、記録としても中途半端かも。毎日経営日記を書くのがいいのでしょうね本当は。よい反省を得ました。

経営者になりたいなと思って新卒で入った会社を退職してから、いろいろと経験を積んでいます。この経験はとても良かったです。前職の雇われ経営者時代とはまた違った視点を得られました。

みなさんもぜひ、種銭を頑張って1,000万くらいにしてこの活動をやってみてください。間違っても200で始めないでください、金銭的リターンは合わないので(経験値リターンを含めると人により評価は違うかもしれませんが)。

やってみて得た中小零細経営のあれこれ

①中小零細経営は特にみんな何も考えていない

これは多くの人が気付いている事実ですが、実際に足を踏み入れてファクトを確認してきました。これはファクトでした。

ちょっと頑張ればそれなんとかなるやんけ、みたいな細かいことをめちゃくちゃみんな放置してました。

こういう経営者が「努力したけど外部環境のせいで経営が苦しい」と言う→補助金で助ける→生き残る。

ええんかこれ?という感想。

②DX余地は宇宙と同じくらいデカく空いてるが、コンサルでやるのは絶対無理

DXとは言えないIT化のようなことを一周がっつり回してきました。余地しかないし、周りの企業みてても求人すらオンラインで打てない人たちが大勢いました。まだまだインターネッツの時代ですWeb3.0なんてとんでもないです。まだまだこの世は中央集権でありつづけるのです。

つまり余地はめっちゃあります。ここをビジネスチャンスととらえて掘り起こし狙う地場コンサルも多数観測しましたし、しっかりマネタイズできている印象です。

彼らのマネタイズと、各零細企業がDXができることは当然同義ではありません。DXコンサルは成立しても零細企業がDXするわけではないです。別にコンサルは全く悪気ないし、ほんとに悪くないと思います。むしろ地方でのスモールビジネスとしてまだまだ継続する金脈なので、有能な方が地方に散る使い勝手のよい機会だと思います。

企業側のDXの成立については、普通に株をもって、経営握って、現場責任者やって、という一人で3役やって初めて一周回せる感覚を得ました。少なくとも週〇回のミーティングをして、論点きれいに整理して、とかでは実現しないのでは。全部のプロセスぶっ壊して一週間で一気にツール入れて翌週から新しいプロセスで回すぜ、くらいのノリが必要です。もはやノリの世界で、ロジック不要だなと思います。

DX押しのコンサル・PEとか最近でてきてますが、結構難しいのかもなとかも思いました。零細ではなく中小サイズになると組織力学が顕著に出るし、各プロセスも複雑性高く難易度上がるだけなので。株主の誰かが絵をかいて実行もやってしまって誰の言うことも聞かないとか、そんな座組がいいですね。

あと、これは当たり前かもですが、企業運営のフロント部分のDXやりたい場合、バックオフィスをDXしておかないと回らないので、唯一DXで意味のある分解線はフロントとバックでPJを二期に分けるみたいな切り口かもしれないとも思いました。

所詮今回試したのはマイクロサイズのトランスフォーメーション(というかオペレーションく破壊)だったので、中小サイズ以上で破壊ではないトランスフォーメーションの事例とかを知りたい。

この辺りはいろんな人に教えていただきたい・意見交換したい、のでDMお待ちします。

③値上げ余地結構あるのではないか

値上げは実験として最も興味があったので価値ある実験でした。

今回は、新たにサービス・商品に付加価値を付けて価格を上げるのではなく、ただ自社が求める水準に黙って引き上げる、という値上げをしたわけですが、結果うまくいきました。

いろいろシミュレーションしたものの、結局やる前はギャンブルでしかなかったので、お客さん全員いなくなったら廃業、というシナリオをしっかり引いてやりました。そうならなくてよかった。

確かに競合が見える世界での付加価値なしの単純な値上げは自殺行為ですが、競合がクリアに見えている業界って意外と多くないので、そういうクリアではない業界や会社においては試す価値ありだと思います。利益率が一撃で変わるので気持ちいいです。

ただこのプライシング分野はいろんなプロフェッショナルがいるので、そういう方の分析を改めて勉強してみようと思います。

④そもそも売上拡大することを望んでいない

みんな成長意欲ないですね。役員報酬と経費の合算で自分が使えるお金が毎年確保されている事を主眼に置いているので当然だと思います。そして別にそれは全く責められることではないとも思います。その自由こそオーナーの魅力!

別に成長しないことが悪ではないですし。でも中小零細が成長しようともがかないと日本の成長余地めっちゃ狭くならん?というふつうの感想にリアリティが追加された感はある。

地方創生観点で思ったことも書いておきます。

①中小企業政策が福祉政策過ぎてさすがにきしょい

補助金や利子補給等の制度を使う側になったのでいろいろ調べながら会社を運営していました。大事なファイナンスなので、銀行周りより注意深く見ていました。

各制度、国庫財源ものだけでなく都道府県・市町村ものにおいても、雇用に関する条件つけすぎ問題にぶち当たりました。

それは福祉政策では?てか普通に人余ってませんよ。もはや地方に人はいない、こういう話は理論上・web記事上でも言われてますが、体感も一緒でした。バイト集めもうまくやったとこだけが勝つ構造ですよ。

少なくとも現在の中小零細を成長させようと本気で思ってる経営者は人を雇わずどうやって伸ばすかを考えている傾向にあるので、雇用条件つけると経費で飲みたいだけのおっさんに金が流れて、そいつに子分が増えるだけ&税金がキャバクラに消えてしまうのではないか。

②なんちゃって創生PJ・雰囲気スタートアップ支援で地方活性化きつくない?地域の会社全部をゴリゴリに効率化・自動化して域内GDPあげたほうがよくないか

これは妬み僻みです。

スタートアップ!うぇーい、とか言ってるだけの奴に補助金出し過ぎ、僕を補助すべき。圧倒的に妬みですね。書いてて思います。

無理筋であり、確信犯でもありますが、一度この活動そのものがスタートアップやろ!というとんでもロジックで、ある自治体系の補助金もらいに行きましたが、門前払いでした。一方、その自治体さん同じ補助金を切り抜き動画とかの動画編集やってるだけの個人事業主に渡してました。さすがに切り抜きさんに渡すのは笑ったので、ある意味OKです。

飲食とか営業代行とか、スタートアップ対比で「ダサい」ビジネスで真剣に取り組んで利益作ってる若手の方が地方的には大事ではないのか、意味わからん事業で田舎でJカーブ(Lカーブ)作る人よりは大事なのではないか。というかJカーブ(Lカーブ)づくりに取り組めてるなら裏側にリスクマネーあるんだから二重に支援必要ないのではないか。

今回一周回してみて、作る利益と雇用の値だけで比較しても地方創生PJやスタートアップ支援より、既存インフラとして機能している地方の中小零細の利益を倍にして、雇用1.2倍くらいにする方向の方が税にレバレッジかかるのでは、と思いました。今回も一年以内でバイト時給850→1100やってるし、それでよくないっすか。産業創造の前に産業管理が大切なのではないか。

今後やりたいこととか、今やっていること

今後ももう少しこの活動を続ける所存。

というか、結構同じような動きしてる人は世の中にたくさんいることがわかってきており、そんな先輩たちから学びながら零細企業買収を続けたい。

活動場所は今北海道に絞っています。生まれが北海道なので。北海道で100社買収したい。バイアウトファンドではないので、ネオ豪族グループを目指すEXITしない形態でやりたい。資金は100%自己資金でやりたい。(銀行さんLBOよろしくお願いします。土下座)

100社まとめて全社を変革できれば、他の企業の目線を集められるのではないか。そしたら中小零細のアップデートで日本よみがえるのではないか、と大き目の事も考えたりします。が、今はただ経営者として一つ一つの会社と事業に必要なことを勉強しながらやっていくという日常を送りたいです。

ということでそれに向けて以下をやっています。

①道内企業のサーチ

道内での活動の起点となる会社探し中です。ソーシングルートを一から作っていく必要があるのでめんどくさいですが、頑張ります。

承継に悩む企業経営者との出会いはいろんなアプローチがあるので、一つずつ出会いを作っていこうと思います。

MA仲介、オンラインMAマッチングとかは普通に使います。

②コンサル(事業)

ソーシングの一環として札幌を中心に普通のコンサル事業を回し始めました。もともとこっちでコンサルビジネスやる想定なかったですが、結構ソーシングとして活用されている先輩たちの話も聞いたので、見様見真似です。お客様募集してます。

プロフェッショナルファーム的なコンサルは無理ですが、地味な経営課題を一緒に解いて貢献できればいいかなと思ってます。

コンサル先を承継するというよりは、そのから経営者との出会いをビジネスベースで作っていこうという、ソーシングチャネルの開拓企画です。経営者の皆さんは山ほど承継話持っていますから。

ソーシングには、ビジネスベースの人脈と飲み会人脈、どちらも作る必要があると痛感しています。

ソーシング関係ないですが、コンサルバイト(業務委託)として、多少の経験と知見あるため、ブロックチェーン・ペイメント関連のPJに関わっています。これは関わる人がハイレベルすぎて零細系の人皆無です。

③MA仲介関連のビジネス

MA仲介を地場でやるのは利益相反になるので、MA仲介というカテゴリの周辺でスモールビジネスを作ろうと画策しています。これは同じ志の仲間と協同でやります。ソーシング側面もありますが、基本はノウハウをMAの弱者である売手に供給していくイメージです。しっかりサービスとして金も稼ぐ心意気でやります。


書きすぎぃ!ここでやめます、ありがとうございました。


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