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「私たちの関係性に、名前は要らない。」 リオルナ流パートナーシップのあり方とは?ー #rioruna インタビュー

Instagramで「#rioruna」というハッシュタグを検索すると、メイクやファッションを自分たちらしく楽しむ、ふたり組の写真が溢れています。

アパレルデザイナーのRunaさんとアパレルブランドに勤務するRioさんは、自分たちの関係を「恋人とか友達とか、カテゴライズしなくていい」と語ります。その考え方は、どのようにして生まれてくるのでしょうか?

ふたりが築く「関係性」や「自分自身の愛し方」について、ふたりなりの価値観を語ってもらいました。

相羽瑠奈 / Runa(写真右)
1996年・群馬県生まれ。自らデザインを手がけるファッションブランド「アール(RRR)」のディレクター。学生時代にブランドを立ち上げ、独自のカラフルなファッションで若い世代を惹きつけている。インスタグラムでは8万人以上のフォロワーをもつ。 Instagram:@una_monster

リオ / Rio(写真左)
1996年・愛知県生まれ。独特なヘアスタイルとアイメイクにこだわりを持ち、年に3回以上は髪型を変える。80年代カルチャーとレディー・ガガ がだいすき。渋谷のラグジュアリーブランドに勤務している。
Instagram:@riomonster

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服のテイストも好きな音楽も違う
趣味の異なるふたりの出会い

ー ふたりともファッションのお仕事をされていますが、「ファッションが好き」というのは自然と仲良くなったポイントだったんですか?

Runa:いえ、服はそれぞれ好きなのですが、全然テイストが違うんです。趣味は合わないよね。
Rio:そうなんですよ。見た目もファッションも何もかもが違ってたから、最初は絶対気が合わないって思ってました(笑)。出会いは、あるパーティーで。お互い人見知りだからそんなに話さなかったんですけど、帰りの電車が一緒になったんです。2人きりだから「話さなきゃ・・・!」って。
Runa:私は「ちょっと怖そう。」って。でも、話してみたらめっちゃ優しくて。何だか話していて心地いい人だなと感じたんです。

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ー ふたりのファッションは「 #rioruna 」のハッシュタグ追っていくだけでも楽しいです!友達から始まって、どういう風に関係性が変わっていったのでしょう?

Runa:私たち、今の関係性が始まってもうすぐ2年なんです。ずっと友達だったので、大きく変わったことはないかなぁ。ただ、リオの前に、ずっと彼氏がいたんですね。彼とは2年以上付き合ってて、その間ずっとリオに惚気も悩みも、全部話してたんです。彼との関係性が、うまくいかなくなったときも。
Rio:それを、相談相手として聞いていたんです。その話を聞いているうちに、一気に仲良くなりました。正直、「この気持ちは何だろう?」って感じて、バイセクシュアルの友達に話したことがあって。「瑠奈と一緒にいると、なんかもう、きゅんとするの。」って言ったら、「好きなんだね。」って言われたんですね。そこで、「ああ、好きなのかぁ。」って思ったんです。その頃、瑠奈と一緒に旅行に行く約束をしてて「ちゃんと気持ちを伝えなよ!」って背中を押してもらいました。
Runa:その旅行の時、クリスマスが近くてリオがプレゼントをくれたんですよ。それが、なぜかすっごく嬉しくて泣いちゃって。「あぁ、もうこの人と一緒にいたら幸せ〜。」って思ったんです。
Rio:号泣してましたね。「泣いちゃったよ、どうしよう〜!」ってあわあわしました(笑)。

ー 恋愛的な「好き」と友達としての「好き」は別で考えていましたか?

Rio:元々、恋愛の「好き」と人としての「好き」の違いが特にないタイプなんです。だから、瑠奈という"人間”に興味を持ったんです。人間として大好きだったら尽くしたくなるから、誕生日プレゼントをあげたり、会いに行ったり。
Runa:職場がお互いに原宿だった当時は、休憩中に毎日のように会いに来てくれて。女の子だから“友達”でいなきゃとか、それ以上に仲良くなっちゃだめっていうのが、お互いになかったかもしれない。この関係性になる前から、「リオが彼氏だったらいいのに〜!」ってふざけて言ってたんですよ。

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恋人とか友達とか、カテゴライズしなくていい
ひたすらに相手が愛おしいから

ー ふたりとも、恋愛対象は男女問わずですか?

Runa:うーん...。特に意識したことがなかったのですが、リオに出会ってから、仲良くなっていく人との間に性別は関係ないかな、って思うようになりましたね。まだ中学生ぐらいの頃は「女の子は男の子と付き合うのが一般的」と思って、男の子と付き合うじゃないですか。周りもそうだったし、それが普通だと思っていたから、男性と付き合ってたっていう感じです。
Rio: 私は元々恋愛する上で、条件に性別がないんです。学生の頃から「恋愛は男女でするものだ」 ということに違和感がありました。仲良くなるのに性別も何も関係ないじゃん、って。だから「恋愛感情って何なのかな?」って未だに思っています。

あえて定義で言うと、パンセクシュアルかな。私も人に会った時に「この人男の人だ」「女の人だ」とか認識しないから、わかります。純粋に「人間」って。

Rio:そう、それです!本当に、相手が男性か女性かって関係なくて。人!
Runa:私は男女っていうことは認識してるかも。リオは女性だし、前の彼氏は男性だなって認識して関係性を選んでるから。
Rio:おお〜、そうなんだ。私は、人だもんなぁ。Lady Gagaが好きなのですが、彼女に出会ってから「あ、別になんでもいいんだ。」と思えるようになって、気持ちがすっきりしました。

ー 周りには、お互いをパートナーとして伝えてますか?

Runa:はい。友達、親、会社の人も皆、リオが私にとって“大切な存在”だと知っています!お母さんとリオは、私がいないところで一緒に飲んだりしていて、めちゃめちゃ仲良し。
Rio:私も、瑠奈との関係性については“特別な人”ということを伝えています。ファッションの業界には、そこまで差別的な概念はないからいいのかも。言いにくい雰囲気もないし、逆に何か特別意識して言わなきゃ、ということもないし。生きやすいな、って思いますね。
Runa:あ、でも私自身はたまに相談されますよ。私とリオの関係性に気づいている子がいて。SNSのDMでやり取りしたり。やっぱり、周りの目を気にしちゃうみたい。

ー ふたりの関係性は、既存の言葉では表わせないんですね。周囲は「恋人」とか「友達」とか、つい分かりやすいラベルを貼りたくなっちゃうかもしれないけれど。

Runa:家族でもあるし友達でもあるし、恋人でもあるような。一緒にいて誰よりも気を使わずに落ち着ける、なくてはならない存在ですね。2人の共通認識として、そうあることが心地いいので、関係性をわざわざカテゴライズしなくてもいいのかなぁという感じ。
Rio:そういう意味では、東京でよかったなって思う。私は愛知出身で、瑠奈は群馬出身なんですけど。東京は特にいろんな人がいるからこそ、いい影響を受け取ることができるし、考えを変えていける。正解は、ないのかなって。

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「やるじゃん、ウチら!」
違いを認め合えているから、一緒にいるのが楽しい

ー お互いをパートナーだと思えるような関係性を築くようになって、感情の変化や影響を受け合っていると感じることはありますか?

Runa:私は、相手に「触れたい」って思いますね。歩いてるとき、腕とかお尻触ったり(笑)。
Rio:なんだろ。愛おしい。変なことしてても「可愛い!」ってなっちゃう。とにかく「好き!」「可愛い、好きー!」って。友達として仲良くなった時から、「好き好き」って感じだったんです。存在自体が、大好きです。
Runa:あと、音楽も全く違うジャンルが好きなのですが、知らないうちに相手の聴く音楽を覚えてますね。それが、ちょっと楽しい。趣味が合わないと色々な面を知れるから面白いんです。お互いの好きなことが、それぞれの知らない分野ばっかりだから。
Rio:合わないことが、嫌だとも感じなくて。むしろ「なにそれ、教えて」って。私は、瑠奈と出会ってからこれまで着なかった色を着るようになったななぁ。泊まったりすると、服を貸し合ったりするんです。たまに瑠奈がスタイリングを組んでくれたりします。

ー ふたりが醸し出す空気、深いところで繋がってる感じがします。

Runa:本当に、唯一のパートナーっていう感じです。彼女だったり、お母さんだったり、友達だったり。お互いに、色んな役割を持ってる。好きなものが違うだけで、お互いを認め合ってるから「合う」って思えるんだと思う!
Rio:最初から「違う」ってわかってるから、無理に相手に合わせることもしないし、逆に合ってるのかもしれないですね。

ふたりとも、相手に「こうあってほしい」って求めない。でも、違いを認め合うって難しいじゃないですか。

Rio:相手にどうしてほしいというよりも、「自分がこうしよう」っていう気持ちでいるからかもしれないですね。でも、努力って思ってないです。普通に、そうできているのかも。「自分がこうすれば、こうなるから、それでよくない?」みたいな。うまく自分でコントロールしてる気がする。
Runa:でもこんな人、なかなかいないと思ってます。パズルが隣同士なんだなって。
Rio:やるじゃん、ウチら!

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ー 素敵!心地よい関係性でいるために、何かルールとかありますか?

Rio:私は言葉で、気持ちを全部言います。「あ、きゅん!」って。
Runa:それ、めっちゃ言うよね(笑)。「きゅん。」って言う。
Rio: もっかいやって。今、可愛かった。
Runa:やんなーい!
Rio:「好き」って言われて嫌なことって、絶対ないと思ってて。だから全部伝えます。あと、気分の波とかはわかるからその時はそっとしときますね。女の子は、生理前とかってあるじゃないですか。特別にしてることはないけど、そういうのがわかるから、汲み取ってます。
Runa:わかってくれるんですよ。私、生理前が結構辛くなっちゃうんですね、精神的に。その時は、ずっと側にいてくれて有難いな、って思います。

ー そういう時って、どういう風に自分で対処してるんですか?

Runa / Rio:いや、対処できてない。
Runa:できないので、本当に辛いときは一週間くらい実家帰ったりすることもありました。会社の人もサポートしてくれて。そうなってる時って「迷惑かけてる。」っていう気持ちにもなって絶望的だから、本当に何もできなくて。それも全てリオはわかってくれて、一緒にいてくれます。
Rio:短時間で、気分の良し悪しが繰り返されるんですよ。すっごいけらけら笑った直後に号泣して、「えっ!?今、笑ってたよね?」って思ったり。
Runa:それなのに、落ち着いて「大丈夫だよ〜」って言ってくれるので「切り替え、早っ!」って、私が思う。普通、そんな対応できないですよね。誰よりも、全てをさらけ出してる相手だなって。

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それぞれの「自分」と向き合いながら
ふたりで、掛け合いながら生きていく

ー 辛い時って、自分が嫌になったりすることもあると思うのですが。ふたりは、自分のことを愛してあげられてますか?

Runa:リオと一緒にいるときは「好き」って思えてると思います。一人で悩んでるときは「ああ、本当に自分が嫌。」ってなっちゃうけど。一緒にいるときは楽しくて。
Rio:自分のことは、好きでいるべきだと思ってて。自分が一番自分を知ってるから。「自分、大好き!」とか、そういうのじゃなくて。Gagaに「Love yourself.」って教えられているから、自分自身が1番に自分を愛せるようになろうって。
Runa:うん、なんか自分を好きにならなきゃって。自分のこと好きになれなきゃ幸せになれないと思うと、愛してあげられる自分でありたいなと思います。

ー 仕事の悩みもシェアしていますか?

Rio:仕事面ではもうリスペクトしかないです。結構近くで見てきてるから、大変なのも知ってるんですけど、それを一切外には見せないんですよ。こんなに浮き沈みの激しい人間なのに、一歩外に出るだけでちゃんと笑うんですよね。
Runa:自分自身の性格もデザインにしたりしてます。最近は、私が浮き沈み激しいから、ウェーブのフリルやツーフェイスをモチーフとした服を作りました。誰もそうは思ってないと思うけど。やっぱり悩んだりもするから、リオには相談します。自分をコントロールするのが難しいことがあって。だからそうなっちゃった時、ノートにネガティブな気持ちやちょっとポジティブな気持ちを、全部書いてます。最近は、本読んだりしてちょっとずつ自分で消化しようとしています。
Rio:瑠奈は、ちゃんと向き合える。だからこそ、苦しんでいる時も多いのかなって。ふたりで落ち込んでしまうと大変なので、瑠奈が辛い時は出来るだけ私は引き上げようと思っています。「アイス食べる?」って!Gagaが「人間には、現実逃避も必要だ。」って言ってたから!どうしても辛い時は、現実逃避すればいいんだなって。私は自分の感情を消化しきれない時は、向き合うことをやめるから。本当に真逆ですよ。

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ー 方法は正反対だけど、ふたりとも自分なりの向き合い方をしているなって。一緒に生きることが、よりお互いを支えているんですね。幸せが伝わってきます。ふたりにとって、愛って何でしょう?

Runa:何だろうな。確かに、今はとっても幸せですね!
Rio:辛いことも半分ずつだもんね。
Runa:でも、楽しいことは2倍だよ!
Rio:なんか、いない状態の想像ができないかもしれないです。水みたいなものかも。生きていくには、絶対に必要なもの。細胞レベルで、相手のことを「好き」って言ってますね(笑)。だから、きっとこういうことが、愛なんだと思う。
Runa:うん、リオがいない世界は寂しすぎる。一番、ありのままの自分でいられる相手です。お互いにそう思えているから、奇跡。いつか、結婚式もしたいなって話しています。「一緒にウェディングドレス着たい!」って、よく言ってるよね。
Rio:日本は、結婚できるのって10年後くらいなのかな...?でも「結婚したい!」っていうよりも、自分の未来の話に常に瑠奈がいるし、瑠奈の話の中にも常に私がいるから、何となく今が続くだけなんだって思っています。

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ー ふたりは今、心地のいい関係性を自分たちで決めることができているんですね。最後に、自分自身や大切な人との関係性について悩んでる人がいるとしたら、何を伝えたいですか?

Runa:私たちみたいな関係性を、選んでいる人もいる。今いるその環境は、全てじゃない。自分に合う、心地のいい場所を見つけて欲しいなって思います。
Rio:「絶対に、一人じゃないよ。」っていうのは伝えたいですね。あなたがいる世界はそんなちっちゃいものじゃない。今は、周囲の中にいる自分しか見えてないと思うけど、そこを一歩出るだけで、きっと変わるから。

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相手との違いに壁を設けず、その差を楽しむふたりの間には、心地の良い掛け合いが生まれていました。誰かが決めた形にはまるのではなく、自分の正直な気持ちで、自分たちなりの関係性を紡ぐ。恋人だから、友達だから幸せではない。RunaとRioのふたりでいるから幸せ、なのだと。

一緒にいることで「ありのままの自分でいられる」とふたりは何度も口にしていました。それは「どんな自分も受け入れてほしい」と甘えてのことではなく、お互いの差異を前提に認め合いながら、互いに自立していることを前提にして関係を築いてきたから。お互いにそう思えていることは奇跡のように尊いことではないでしょうか。

お互いの存在を通じ、自身にも正直に向き合うことで、尊重し合える関係性が自然と築けているのだと教えてもらいました。


Interviewer / Writer:Asuka Otani
Editer:Yuri Abo
Photographer:Qianwei Yang

REINGは「自分との関係性を、大切に築く人」が集まる場をつくっています。好きなものを、自信を持って“好き“と表現できる場所。“好き“で選んだ関わりが自身を紡ぐ強さとなり、世界をもっと鮮やかにしてくれるから。インタビューでは、自分自身と向き合いながら関係性を紡ぐ人たちの生き方を通じて、自分らしい“好き“を見つけるヒントをお届けしています。


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