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戦隊ヒーローのお面の価値

なんでこれを買ったんだろう?
って、お金を払った後で思う事ありませんか?


僕はあります。


小学校3年生の夏、
戦隊ヒーローのお面を
地元の花火大会で買った時に思いました。


地元の夏祭りの花火は
家の玄関を出て南側を向けば、
ぎりぎり見えた。


車が通ることはめったにない道なので、
キャンプ用の小さなイスをアスファルトに置いて
遠くに見える打上げ花火を見るのが、
僕の花火大会だった。


なぜか、ある年は
珍しく親が花火大会を見に連れて行ってくれました。


近くでスターマインが「どどーん。」と
連続して鳴り響き、夏祭りの楽しさを教えてくれる。

あっと言う間に楽しい時間は過ぎて
まわりにいた他の家族連れが帰宅に向かう。


親も帰路に付くために、
僕と弟の手を握る。


車に向かいてくてくと歩いていると
カラフルな露店が並んでいる1つに
お面屋さんがあった。


なぜだか、ものすごく欲しくなったが、
手を握って歩いているので、
止まる事はできない。


どんどん前に進んで行く。


どうしても、
戦隊ヒーローのお面が欲しくって
気になって仕方がない。


握っている手を振り払って、
「〇〇のお面が買いたい。500円頂戴!」
と親に言う。


今まで何かが欲しいとだだをこねた記憶はない。
(記憶がないだけで実際はしていたかもしれない。)


どちらかと言うと、何かを買ってと言っても
買ってもらえない事ばかりなので、
欲しいと言わなくなった気がする。


スターマインの効果なのか、
この日は違った。


親はすぐに財布から500円を取り出して
僕に渡してくれた。


車とは反対方向に走る。
お面屋さんに一直線で。


店のおじさんに
欲しいお面を伝え、
500円玉を渡す。


お面を受け取った瞬間、

「なんで、これを買ったんだろう?」

ものすごく、自分の行動がわからなくなった。


数秒前まで落とさないように
強くにぎりしめていた500円玉


その500円玉と交換した
戦隊ヒーローのお面が
羽毛のように軽く感じた。


ひとりでとぼとぼ車に向かって歩きながら、
「なんで、これを買ったんだろう?」
をずっと考えていた。


夏祭りの夜、
500円玉の価値を
戦隊ヒーローのお面は教えてくれました。

感謝。ありがとう。お面。

ではまた。

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