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やりたい仕事か、得意な仕事か。どちらか迷うなら。

先日、とある後輩から「好きなことを仕事にするべきか、得意なことを仕事にするべきか」という相談を受けた。

個人の自由が尊重される(あるいは自己決定が強制される)現代の社会人なら、一度は通る話題だ。私も転職時期はよく考えたものだ。

本気になれることを仕事にしろと言われるが。

実際どれくらいの人が、好きなことを仕事にしているのだろう。
どのソースが信頼に足るのか分からなかったが、とりあえずその手の話に強そうなマイナビの調査によると、好きなことを仕事にしている人は39.8%らしい。

これが多いのか、少ないのか。個人的には、まぁそんなものかなぁという印象。やっているうちに好きになった、というパターンは結構あるだろうなと思う。
とはいえ、逆に言えば約6割の人が好きなことを仕事にはしていないということだ。「好きなことを仕事に!」という謳い文句が流行る中、どちらの側面を見るべきか、社会人経験の短い新卒社員が迷うのも分からないでもない。

得意なことの中から楽しいことを見つけるとコスパがいい

冒頭の話に戻るが、私は彼の問いに対し「自分は得意なことの中から、一番楽しそうなものを選んでいる」と答えた。

実のところ、私は子供の頃から結構要領が良い。初めてのことでも人より早くできるようになるし、老若男女その場に合わせて話を変えられるし、特に状況把握能力が高いようで事態収拾を図るのがどうも素早い。
生まれつきの愛嬌で人好きするわけではないが、かわりに頭を使って上手くやるのが人と比べると得意な方だと自負している。

一方で、上には上がいることを中高大と突き付けられていたので超エリート企業で活躍できるとは思っていないし、そもそもワーカホリックでもない。あと、飽き性ゆえ一つの技術を極めるのも苦手なので、技術者は向いていなさそうだなぁと思う。

そうなると、自分が一番うまく働けるのは、ある程度勤務時間の融通がきく環境で、対人の調整タスクが多い部署となる。実際、今まで営業とマーケティングの仕事をしたが、なかなか性に合っているなと思った。

これが「得意なこと」の話だ。
営業なんて大体どこの販売会社にも仕事はあるので、じゃあ今度はどこに行くべきかという話になる。そこでようやく私は「やりたいこと」を考える。

私の場合、やりたいことはすなわち「ワクワクして、もっと勉強したいと思えること」だ。
それに合致するのが、歴史と医療だった。なぜその組み合わせ?と思われるかもしれないが、それはまた長くなるので、とりあえずその二つを勉強するのが好きなのだ。
で、今までの3社中最初の2社は医療関係、3社目で歴史関係(!)の仕事を経験することができた。

最後に「やらなきゃいけないこと」

実は、その3社めをこの3月末を以て退職することになっている。経緯への言及は避けるが、その過程で実は私も冒頭の後輩と同じことを考えていたのだ。

2週間考えた結果、至った結論は
「歴史が社会の役に立ってほしいとは思うけれど、突き詰めるとそれは自分が歴史を好きだからだ。だから、正直自分で好きに歴史を勉強していても自分の欲は満たされる。でも、医療は(医者でもない自分が)ただ勉強しているだけでは何も変わらない。今まさに医療を必要としている患者さんがいるし、明日もこれからもずっといる。だから今私は仕事にしなければ。」である。
なかなか腑に落ちた。
だから、やっと巡り合えた大好きな歴史の仕事を離れることに今は何の未練もない。


そういうことだから、もし「やりたい仕事が見つからない」という人がいれば、私は「じゃあ、とりあえず自分が人よりなんかうまくやれるな、と思うところでお金と時間を稼げばいい。いくつか選択肢が見えたら、その中で一番面白いと感じるものを選ぶ。それでも絞れなかったら、その仕事がなくなったことで困る人のことを考えてみる。一番苦しくなったところへ貢献するといいんじゃないか。」と答えることにしている。



※カバーはUnsplashKarl Fredricksonさんの写真より


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