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ダイアリー

 体調がすこぶる悪い。すこぶる悪いと、思いたいだけかも知れない。
 気持ちが鬱屈としている。払いきれそうもないカードの請求や、市民税、国民健康保険、水道代、その他諸々。毎月月末になるとお金の心配ばかりして、気分が滅入っている。いつもどうにかなるのに、いつも不安感を抱いている。杞憂とは少し違う気がする。
 いつからこんなことになったのか。わたしが悪いのはわかっているのだけれど、わたしが悪いのなら処罰すればいいのだけれど。わたしの処罰ってどうしたらいいんですっけ。
 在宅で働きたくて仕事を探す。求人の説明文を読んでいると、新しいことを始めることに恐怖して求人サイトを閉じる。仕方なく外に出て、身体に染み付いている前職の仕事をこなす為にアルバイトに行く。
 数時間拘束されて、今日は与えられた仕事も碌にできずに帰ってきた。帰りの電車では隣に座る女性にもたれ掛かられて、その温度に触れながらじっと座って泣きそうだった。
 他にもがんばっていることはあるけれど、まだ結果が得られない。「少しずつ」いい傾向ではあるのかも知れないけれど、そのテンポを受け入れられるほどの余裕もない。家事をして、仕事に行って。休める筈の時間も、心身休めない。
 小説を書きたい。一日中そのことだけを考えて、頭をひねって悩んで、文章を紡いでいたい。
 本を読みたい。没入して、物語の中に入って現実を忘れたい。
 精神衛生の為に、わたしは小説を書いている。明日は心を整える為に物語を綴りたい。最高の小説を作り上げたい。次こそは、といつも思う。もう書けない、といつも思う。それでもわたしは書いている。
 一月が風のように過ぎていく。
 つい先日モデルをした写真たち、早く見たいなと思う。服を脱いで、カメラを見つめるわたしは一体何になれたのだろうか。
 わたしを見つめる。わたしは、わたしを見つめる。何ができるだろうか、できることが人より少ないわたしに。
 自分にできることをひとつずつやっていく。生きていくには辛いことがたくさんあるけれど、なんとか前に進んでいかなくては。明日を迎え入れる準備はできてない。毎日、できていないことのひとつだ。
 今日は寒かった。帰り道、摂氏0度の突風がわたしの頬を削っていった。わたしはなす術もなく冷たい風を受け入れる。コートの前をかけ合わせて、コンビニで煙草を買って、なんとか家へ帰ってきた。
 わたしは失った頬の温度と、しもやけでボロボロの手を眺めてソファに横たわっている。薬が効いてきて少し眠い。
 元気がないんです。不安なんです。わたしと世界の境界線がひどく曖昧なんです。ごめんなさいごめんなさい、わたしは何とか存在しています。これが今日のわたしの日記。

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