深呼吸する旅〜信州上田へvol.1
芋づる式の縁起に誘われて
深呼吸学部の遠足で、信州上田まで行った。前の日というか、その日の深夜0時過ぎまでzoomの画面越しにいた人たちが、リアルに、しかも東京ではなく、離れた場所で一緒にいるという不思議。
モモちゃんは、zoomでは小柄な人だとばっかり思っていたけど、背も高く足も長くてかっこいい(お肌ピカピカは実際もっとピカピカ)。思い込みが外されるのは何よりたまらない。いや人間は実に思い込みの生き物なんだね。
対して、リアル初キツ^^
見た目はまんまだが、何だか照れる。なぜだ。
zoomは便利だし、利点もあるけど、わたしはやっぱりリアルが好きだ。同じ空気を吸うことで育まれる何か。ツネちゃんはやっぱりツネちゃんだった、とかわかるのも嬉しい。
今回は、深呼吸学部の仲間であり、リヤカー屋台の持寄り飲み屋店主・吉池琢磨さんが、来年から故郷で農作業を手伝うことになったというので、じゃあみんなで見に行こう!というのが趣旨。
わたしが12年前に初めて移住したのが隣町・東御市。で、一年住んでいるあいだに上田にはよく足を運んだ。だから馴染みはあるけど、引越した時にはもう来ることはないだろうな、と思っていた。それなのに、まさか。
おこちゃんは、「何でわたし行くんだろう?」とぼんやり思っていたけど、何日か前、家族に「上田に行く」とボソッと言ったら、いつもソリが合わず話しもろくにしない同居のお父さんが、若い頃上田にいてしかも高校も卒業したとのこと。なんと!何も知らなかったおこちゃん、びっくり。
一本早い新幹線で楽しくおしゃべりしながら、のつもりが、おこちゃんの深呼吸する言葉「芋づる式の縁起」に深く納得する道中となった。
上田駅で全員が落ち合うと、吉池さんの屋台の常連さんも6名もいらして、御一行は大所帯。午前中は上田の市内を見てからランチ、そして吉池さんの実家の方に移動する、という説明を受けた。吉池さんすっかりツアコンだ。
信州のレトロ歓楽街は謎の面白味
上田城の次に、昭和レトロな印象の歓楽街・袋町をさまよったが、店の数の多さや密集度に、ある意味圧倒された。新宿や池袋ならまだわかる。でも、地方都市でこの充実ぶりはなんだ。客はどのあたりから来るのだろう。
それぞれの看板や、途中のモザイクアートが渾然一体となって、世界観を作り上げている。主張してるのに、調和しているって、なに?面白すぎる。
店で働く女性は、多分どの地域も当てはまるだろうが、もともとは農閑期の副業のような形で入る人が多かったのだろう。冬は雪に囲まれる信州。中でも、上田には人が集まりやすい何かがあるのだろうか。
それにしても、遠い場所で同時に存在している、自分の知らない世界。もっとイマジネーションを膨らませて見なくちゃ、と思った。
VALUE BOOKS、一日いたくなる本屋
その後、amazonでの古本販売を中心に展開している古書店、VALUE BOOKSに行く。モモちゃんがぜひ行ってみたい!と声を上げてくれたので立ち寄ることになった。
実は、わたしもamazonで古本を買うと、この店から来ることが多く存在は知っていた。しかも、納品書の裏にエッセイがあったり、イラストが添えられたり、あとは買取システムが上手くできていたので気になっていた。
そしたら、とても新しい形の書店だった。売れ筋の新刊を置くのではなく、買取に力を入れ、本の再生を見据えて事業展開していた。実店舗は、自分たちの感覚にフィットするような在庫と配置。カフェも併設、近隣の空き店舗となったところをいくつか改装し、一つのコミュニティとなっていた。しかも、若さのノリだけでやるのではなく、通底するものを感じる。
たまたま、スタッフの会話を立ち聞きした。新人らしきスタッフが、「考える」系の本の配架を考えていたようだ。彼は「動線と目線を考えたらこの位置」と思ったらしい。そしたら、先輩(or 店長!?)が、「それもあり。だけどもう少し違う視点でみたら、他との繋がりが広がるのはないか。それがクリエイティブなのでは。」というようなことを言っていた。「売る」が先でなく、客のニーズとそれ以上の価値提供への模索。
ずっと聞きたかったのだけど、まあね。
でも、この店のコアな部分を垣間見たような気がする。全体が美しく、かと言って、ちょっと砕けた感じで統一されている店内。その根底に流れるものには、マスではなく、手に取る一人ひとりの顔が写し出されているようだ。
同人誌のような小冊子を売っていたので買った。レジの女性に、東京から来たこと、古書と一緒に入っている納品書のエッセイとかイラストが可愛いからぜひ立ち寄りたいと思った、と伝えると、エッセイは店主のご主人が、イラストはご本人が描いていると教えてくれた。
外は寒いが、ほんわかと暖かいものに包まれた。
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