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防災観光とはPart.2〜しぜんのかがくep.19 ぼうさい豆知識〜旅行の時こそハザードマップや避難経路を確認!〜

今日は前回に引き続き、
防災×観光」として、東北地方で行われている防災視点での観光についてお伝えします。

  • 旅行に行く楽しみというと…地域の地理や伝統、文化、特産物など知り新たな発見や人との出会い、美しい景色など挙げられると思います。

  • 防災の視点というと…その観光にプラスして街づくりや産業、暮らし、歴史や被災地の復興、防災の知識や備えの知恵について知る、防災拠点を整備することを言います

今回紹介する 東北地方は特に外国人向けの防災視点での観光地として取り組みをしている地域になります。

東北地方というと、今から12年前、2011年東日本大震災がありました。東北は過去何度も津波を伴う災害に見舞われています。普段の暮らしなどを含め、それぞれの地域や分野に震災を乗り越えてきた知恵と工夫、教訓があります。

東北大学災害科学国際研究所アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」とは

産官学の機関と連携して、東日本大震災に関するあらゆる記憶、記録、事例、知見を収集し、国内外や未来に共有するプロジェクトのようです。

この中の取り組みとして、特に外国人向けの観光メニューとして観光客のニーズに合ったプログラムを提供しています。
今、外国人は京都、東京、北海道などメインの観光地を訪れる旅だけでなく、観光地化されていない日本の地方を訪れ本物の日本にふれることを好む傾向があるようです。
今年(9月26日のNHKクローズアップ現代で放送)のニューヨークタイムズで「今年行くべきおすすめの世界の旅行先52選」として、岩手県盛岡市が第2位と報道されました。岩手県は、宮沢賢治の旅でも(花巻市ですが、盛岡市はすぐ北ですね)お話ししましたね。盛岡市は「東京から新幹線で短時間で行ける距離にあり、人混みを避けて歩いて楽しめる美しい場所」として紹介されています。大正時代の建物や美しい川が流れ、古い旅館、温泉、ジャス喫茶、カフェも街の魅力であるそうです。

何をするかといえば、例えば、地域を歩き、出会った地域の方と話しをするというような旅です。これまでの観光は大型バスで観光地を巡り名所や旧跡を巡って写真を撮り、旅館に大勢で泊まるようなスタイルが外国人向けにも日本人向けにも多かったのですが、それでは地元の人に触れ合えないばかりか、観光地の文化や習俗を知らないため、地域に愛着がわきません。現在観光客(特に個人旅行者)が求めているものは、それぞれ興味がある視点で旅をする、それぞれ個人のニーズに合わせたオーダーメイド観光が人気のようです。
また、外国人が防災を学びに日本に多く訪れています。日本は台風接近情報や地震速報などの早期警報システムが進んでいる「防災先進国」(1,700ヶ所くらい隈なく地震観測網があるのは日本だけ)で、災害が多い国なので過去からの蓄積もあります。

そこで、東北大学では、防災専門家がプログラムひとつひとつを学びの観点で体系化し、7つの視点でテーマを設定しています。

例えば、以下の観光プログラムがあります。
岩手県の2日間のプログラムですね。
「防災」と「観光」と両方組み込まれています。
例えば、語り部のお話、地元の人との交流、地元の食文化が取り入れられていますね。

東北大学災害科学国際研究所アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」防災観光リーフレット

(「クロスロード」は、災害対応をカードゲーム形式で体験する防災教育教材です。カードに書かれた事例を自らの問題として考え、YESかNOかで自分の考えを示すとともに、参加者同士が意見交換を行いながら、ゲームを進めていきます。例えば、「3000人いる避難所で食料を2000人分確保しました。この食料を配るか配らないか?」という、どちらを選んでも何らかの犠牲となる災害時のジレンマを題材にしています。選んだ理由を聞くことで多くの価値観や視点が得られます。)

2日目は、岩手県の伝承館(写真は、おそらく平泉文化遺産センター)の見学と養殖漁業場の見学。そこで取れるホタテとバーベキュー。平泉町中尊寺の観光もありますね。

東北大学災害科学国際研究所アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」防災観光リーフレット

観光しながら、その土地に住む人に触れ、日本の防災についても学べますね。

最近では、1995年阪神淡路大震災が起きた兵庫県で防災と観光の視点を取り入れた観光ツーリズムを兵庫県を主体に2025年の大阪万博に合わせて実施するそうですよ。

例えば、神戸・阪神間では、神戸港の震災メモリアルパークや三宮・東遊園地の「1・17希望の灯り」、災害伝承ミュージアムである、人と防災未来センターをバスで訪れた後、宿泊先へ。翌日は酒どころの灘五郷(なだごごう)(日本で一番日本酒の生産量が多い地域。国内生産量25%)に足を延ばす。

 北播磨地域なら、兵庫県三木市にある防災科学技術研究所の三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス、三木市)や県広域防災センター(三木市、広域防災拠点にもなり、防災体験学習もできますね。)。
次に酒米・山田錦の生産地を巡る。淡路島だと野島断層保存館(淡路市)と島内観光を組み合わせるコースなどを想定。見学先にはこのほか、阪神高速道路会社(大阪市)が震災で壊れた橋脚などを保存する震災資料保管庫(神戸市東灘区)や、治水ダムも候補に挙がっているそうです。

防災・減災に必要な知識やノウハウを学びながら、酒どころの兵庫の魅力を多角的に感じられる旅になりそうですね。

(参考)観光による災害復興の類型化と目指すべき方向性(2009)
首都大学東京都市環境学部の井出明准教授の2009年の論文
file:///Users/obareiko/Downloads/20010-02-004%20(1).pdf

防災観光活用〜観光客受け入れガイド
http://dpl-tourism.in.arena.ne.jp/?page_id=247

防災×観光=「防災ツーリズム」で地域活性化 関西版学にらみ事業化へ県が23年度にモニターツアー実施
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202301/sp/0015996599.shtml


ぼうさい豆知識〜旅行の時こそハザードマップや避難経路を確認!〜

今回ご紹介したいのが、国土交通省が作成している
「ハザードマップポータルサイト」です。

ハザードマップポータルサイト

ハザードマップは各自治体が作っていますが、このサイトでは全国のハザードマップを調べることができます。各市町村が出しているハザードマップの情報が全て集約されているんです。

位置情報を提供すると自分のいる場所ですぐに調べることもできますよ。

洪水、土砂災害、高潮、津波などの災害の種別もわかります。

旅行先周辺のハザードマップ(データでも可)を是非調べてみてください。
特に、山では土砂災害の危険、海では津波、川は急な雨による(線状降水帯など)での洪水の危険性があります。
例えば、地名(盛岡市)を入れると以下のようなハザードマップ(洪水)を見ることができます。洪水、土砂災害、津波、道路防災情報(水害で冠水するのか、災害で通行規制の可能性があるかどうか)、地形分類もわかりますね。

ハザードマップポータルサイト

また、旅行先に着いたら、ホテルや旅館内での「非常口」、「避難経路」は確認しておくといいですね。

海では、津波避難場所や避難経路は表示されていますので、散歩しながら確認してみてください。このマークは旅行者、外国人にもわかるように、日本工業規格 (JIS)化されていますので、全国共通です。

総務省消防庁 

山では「土砂災害警戒区域」は看板等で表示されていることもあります。地震など災害が起こったら通れなくなリますし、大雨の後も危険です。

一般社団法人 日本標識工業会 防災標識ガイドブックより

⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく


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