見出し画像

H3打ち上げ成功記念!種子島宇宙留学&宇宙芸術祭〜しぜんのかがくep.35(3/1) ぼうさい豆知識〜人工衛星による災害観測



ゲスト:サイエンスコミュニケーター 木邑優子さん
元日本科学未来館科学コミュニケーター。元環境省職員、元JICA海外協力隊(フィジー)、JICAプロジェクト調整員(ブータン)、専門は環境教育/持続可能な開発のための教育(ESD)
科学館ではすばる望遠鏡の解説や企画を実施。2022年4月から2023年3月まで1年間「南種子町 種子島宇宙留学」として当時小5の息子さんと1年間種子島に滞在。南種子町役場職員として種子島宇宙芸術祭も企画。人と文化と自然が大好き!家族で宇宙が大好き!


今回(2024年)のH3ロケット打ち上げの話

成功おめでとう!
2024年2月17日(AM9時22分)の打ち上げ、YouTubeでみました!JAXAサイトだけでも、16万人の視聴者がいたようです。

H3ロケットの打ち上げ(YouTube JIXAサイト) 右下はSRB(固形燃料)の切り離し。第2エンジンの着火まではドキドキ!

H3ロケットは、JAXAと三菱重工業が共同開発しました。なぜ改めて開発したかというと、これまでのH2Aの打ち上げはほぼ100%の成功率だったのですが、コストが1回100億円と高く、世界の衛星打ち上げビジネスではかなり苦戦してたんですね。
H3ロケットの特徴はまずコストが安い!H2Aの半額の50億円が目標です。どうやってコストダウンしたかというと、心臓部の第1段メインエンジンの部品を3分の1に減らし、3Dプリンターなどを使って設計して構造をシンプルにしたり、自動車部品など既製品を使っているんですよね。今後、科学目的の探査機、国際宇宙ステーション(ISS)や建設予定の月周回基地へ向かう宇宙輸送の主力となるロケットとして開発されました。メインエンジンの個数と固体燃料の本数が変えられ、フェアリング(ロケットの先端部にあり、衛星などを守る殻のようなもの)も2サイズあり、人工衛星の大きさや重さに合わせて打ち上げることが可能です。

H3ロケットイメージ JAXAサイトより

「H」は水素の意味でしたね。水素が燃料です。燃料の液体水素と液体酸素ポンプで加熱して燃焼させます。地球地上には酸素があるので、水素だけで燃焼しますが、宇宙には酸素がないので、液体酸素のタンクも必要なんですね。今回、H3ロケットは模擬衛星(金属製のダミー)や小型衛星などを搭載しました。H3が成功したことで、今後の宇宙ビジネスへの参入が期待されますね!
〇木村さん、種子島での打ち上げ前や打ち上げ時の様子や周りの人(JAXA職員家族もいる)はどうですか?(Podcast放送を是非お聞きください😊)

(おまけの話)この間、1月12日、H2A48号機打ち上げがありましたね。(私は打ち上げ知らなかった!)光学8号機という偵察衛星🛰️の打ち上げだったからですね。1日1回日本上空を撮影しています。
能登半島地震の画像も今回撮影してましたね。内閣官房のホームページに公開しています。

去年(2023年)のH3ロケット打ち上げ

H3ロケット 本体の輸送 2022年10月18日

地元の住民は打ち上げを間近で見れます。昨年はコロナ禍で見学制限もありました。打ち上げが延期になる場合もあるため、キャンピングカーできている人もいました。H3ロケットはやはり打ち上げの時の推進力が違うので、H2Aの打ち上げとは音が違いますね。動画で見るのとは全く違い、現地で近くで見ると振動や重低音を感じます。
前回、H3ロケット打ち上げは成功したと思っていたんですね。テレビ局からの打ち上げ成功の取材を受けたあと、司令破壊となりました。JAXAのロケット開発者の家族と一緒に眺めていたのでやるせない気持ちに。南種子町で一丸となって、打ち上げを見守ってていましたね。打ち上げの幟が立つのですが、「祈り」の幟なんですね。
生活の中で宇宙開発に触れることができる。種子島はだんだん周りの人と一緒に宇宙が好きになる環境があります。

宇宙に関わる人材育成

今回息子さんが、宇宙飛行士を目指しているということで、将来、宇宙開発に関わるかもしれませんね!
今回、H3打ち上げ後の岡田匡史(おかだまさし)プロジェクトマネージャーがH3打ち上げ後のインタビューで、「15歳の時に、宇宙の仕事をしたいと思っていた。その夢を叶えた。」というのが私は印象に残りました。

「種子島宇宙芸術祭」のサイトは以下をご覧ください。新月の夜の光のアート。大平さんのメガスターによるプラネタリウムの星が洞窟に投影され、空の美しい星空と合わさってとても幻想的な美しさです。

南種子町宇宙留学制度はこちら。


種子島宇宙留学とは、1年間、小学校1年生から中学3年生を対象に募集しています。毎年50人くらいが参加し、親子参加も20組くらい。実は宇宙目指している子は半分くらいで種子島という自然の中でのびのびと学べる環境があります。

宇宙飛行士候補生(月探索)が13年ぶりに去年選定されましたね。諏訪 理(すわ まこと)さん、米田 あゆ(よねだ あゆ)さんでしたね。ISSはもちろん、月探査を目的とする活動をされる宇宙飛行士として採用されましたね。
宇宙に身近な環境で学べたので、子供たちの宇宙への夢は続いています。

ぼうさい豆知識〜能登半島地震でも活躍!人工衛星による観測

だいち3号は2023年のH3ロケットで打ち上げに失敗し、残念ながら破壊されてしまいましたが、だいち2号が現在もPRISM(光学センサ)での衛星写真で、能登半島地震の地盤隆起の様子を観測しています。今回4メートルの隆起していることがわかりましたね。
PRISMは、地表を2.5mの分解能で観測することができる可視域を観測するための光学センサです。 データは高精度の数値標高モデル(DEM)作成に利用されます。
「だいち2号」は、高精度の電波(マイクロ)センサーを持っているので、光学センターと違い、雲などの障害物を避けて、災害状況の把握、森林分布の把握や地殻変動の解析ができます。
(だいち3号は高分解能で変動を見ることができ、3〜10m(50〜70kmの範囲)の変化もわかるセンサーを搭載していました。)

「だいち2号SARSデータの利用提案」より

https://www.satnavi.jaxa.jp/files/document/pdf/ALOS_JP_web.pdf

陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite)」で、日本語名は「だいち」というんですね。

今回能登半島地震では、衛星からの観測データが国土地理院で解析され、石川県輪島市で最大約4メートルの隆起があったことがわかりました。

国土地理院 「だいち2号」観測データの解析による令和6年能登半島地震に伴う地殻変動(2024年1月19日更新)

今までも、2015年の台風15号による豪雨による河川の氾濫や土砂災害状況、茨城県2016年にカナダの森林火災や2017年にカリブ海ハリケーンの影響(浸水状況)などが観測され、日本国内だけでなく世界の要請を受けて災害監視も行なっています。

今後はだいち4号が開発中で、高分解能の観測幅(3m)を維持しつつ、観測幅を4倍(200km)に拡大し、これまで以上に地盤変化の観測頻度を向上させ、発災後の状況把握のみならず、火山活動、地盤沈下、地すべり等の異変の早期発見など、減災に生かす取り組みを目指しているそうです。
今のところ、2024年中にH3ロケットで打ち上げ予定だそうです。打ち上げを見るのが楽しみですね。

⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?