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しぜんのかがくep43(4/26) ~おすすめ防災映画、漫画、ドラマ

今月はep.40(4/5)配信の際に、防災ドキュメンタリー映画をご紹介しましたが、災害は非日常であるため備えるには想像力が大事。映画や漫画、ドラマはオススメです。新年度防災の備えを見直したいという方、楽しみながら防災を学びたいという方へ。これまで私が見てきた防災映画や漫画、これから始まるドラマのおすすめをいくつか紹介したいと思います。

防災映画

◆「サバイバルファミリー」2017年公開 監督は谷口史靖(やぐちしのぶ)さん。2001年ドラマ「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」などの作品で有名な方ですね。
▶︎ある日突然訪れた原因不明の電気消滅により廃墟寸前となった東京を脱出した一家のサバイバルコメディ。東京で暮らすごく平凡な一家、鈴木家。当たり前のように電化製品に囲まれた生活を送っていたある日、電気を必要とするあらゆるものがなぜか使えなくなり、東京は大混乱に陥ってしまう。交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップした生活に人々が困り果てる中、鈴木家の亭主関白な父・義之(よしゆき)は、家族を連れて東京を脱出することを決意するが……。ベテラン俳優の小日向文世(こひなた ふみよ)が父親役で主演を務め、母親役を深津絵里、息子役を2017年前期連続テレビ小説「ひよっこ」の泉澤祐希、娘役を、2017年度連続テレビ小説「わろてんか」の葵わかながそれぞれ演じる。
■対象:家族向け
●防災視点のポイント
とにかく現実に起こるのではないかというリアルさです。普通に生活している家族が突然電気などライフラインが全くない生活になるんです。現金でしたものが買えない生活、食べ物や嗜好品などの物交換で生きる日々。東京から抜け出し、鹿児島まで自転車で行く途方もない計画(1か月半かかる!)も選択肢としてあり得るかもと思ってしまいます。物々交換でしか物が買えない、田舎暮らしの豊かさや生きていくための知恵(井戸や豚の解体、農業)、SL列車、鹿児島で生きていくための生活(昔ながらの狩猟と農業)、助け合って生きていくことの大切さも描かれています。家族のやりとりがコメディタッチに描かれますが、ほろっと泣かせるところもあります。なぜライフラインが止まったのか?
私がポットキャストのep.30の防災まめちしきで話した内容が原因かもしれません。

「日本沈没」原作:小松左京 1973年

▶︎あらすじ:197X年夏。小笠原諸島の北にある無名の小島が、一夜にして海底に沈んだ。地球物理学者・田所雄介博士は、ただちに現地調査に赴く。深海調査艇「わだつみ(日本神話の海の神様の名前)」号の操艇者・小野寺俊夫、海洋地質学者の幸長助教授と共に日本海溝に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱気流を発見する。…コンピューターによるシミュレーションの結果、日本沈没が10か月以内に迫っていることが判明し、首相は日本沈没の危機が迫っていることを国会演説で発表する。精鋭スタッフたちは死に物狂いで全国民の国外脱出計画「D-2」を遂行し、日本人を続々と海外避難させる。一方、あえて国内に留まり日本列島と運命を共にする道を選択する者もいた。そして、日本列島は四国を皮切りに次々と海中に没していき、最後まで残っていた北関東が大爆発を起こした結果、完全に消滅する‥というのが原作のストーリーです。また、プレートテクトニクス(プレートが動いて地震が起こる)が再発見されたのが1960年代(1912年にウェゲナーが提唱したものの忘れ去られていました)。当時の最新の科学的知見を踏まえてストーリーが作られており、当時は衝撃的な内容であったでしょう。原作がリメイクされて様々な映画や漫画となっています。
(私は、以下4つを見ました。)

原作に忠実なのは以下2つです。

1973年の映画「日本沈没」主演:藤岡弘(深海潜水艇の操縦者:小野寺俊夫)、ヒロイン:いしだあゆみ(お嬢様:阿部玲子)
▶︎小松左京本人や、地球物理学者の竹内均さん(雑誌ニュートンの創始者)が出演しているのがポイント。

○2011年漫画「日本沈没」さいとうプロ作品(さいとうたかを)
▶劇画調の漫画が日本沈没のストーリーにとても合っています。

○2006年映画「日本沈没」 主演:草彅剛(深海潜水艇の操縦者:小野寺俊夫) ヒロイン:柴咲コウ(東京消防庁ハイパーレスキューの救助隊員)
▶︎原作が原作などでは「ほぼ完全」に日本は沈没してしまうが、2006年、次の2022年の部分的には水没するものの、最終的には日本沈没とはならない。海洋開発研究機構(JAMSTEC)の潜水艦「しんかい6500」「しんかい2000」が登場する。最終的にプレートの動きを止めるところが原作と異なる。

2022年ドラマ「日本沈没ー希望のひとー』主演:小栗旬(天海啓示:環境省職員)ヒロイン:杏(椎名実梨:毎朝新聞の記者)田所博士:香川照之

▶︎地球温暖化で日本が沈没する設定も加わる。主役が環境省職員となる。総理大臣・東山が推し進める「COMS<コムス>」事業を進めようとしていたが、それが日本沈没に引き金になった‥。9000メートルの海底に沈むCO2を出さない夢のエネルギー物質。それをパイプを通して掘り出すというもの。この大規模な掘削が伊豆関東沖の海底プレートにゆがみを与えて、「スロースリップ」の加速を誘発。関東地方が海に沈むと田所博士が警告。週刊誌に発表すると一部のネット民や環境活動家がデモを起こしたり国民に不安が広がります。『関東沈没被災者居住地』でルビー菌感染症が発生し、変異株によって感染者が次々と死亡する事態が発生する。田所教授は、地殻変動の環境変化によりルビー菌の感染が広まった可能性を指摘する。やがて感染は世界各国へ拡大し、移民入国が一時停止されてしまう。富士山が噴火して首都圏すべてが海に飲まれる。あまりに巨大過ぎた変動エネルギーにより沈没を引き起こすプレートが断裂したことで、沖縄・九州・北海道・青森の北部だけが沈没を免れた。
■対象:大人、家族向け
●防災視点のポイント
日本が沈没するとは現実には起こり得ないシチュエーションであるとわかっていますが(地震学者によるとどちらかといえば、日本列島はプレートの動きで隆起しているようです。またプレートは短時間で急激に動かない)また、名作ではありますが原作は日本が悲惨な状態で沈没する物語であるため、最近のリメイク版はハッピーエンドとなっている。

原作版のストーリーとリメイク版の面白さはその日本沈没に対処する際の科学的な方法の違いですね。時代を経てリメイクされるので、その時の知見が加わっています。小説が書かれた当時はプレートの沈み込みは測定できず、建物の亀裂や高速道路の橋の落下で推定するという描写があります。今は人工衛星をつかったGPSや海底観測網(海洋開発研究機構、防災科学技術研究所)などで即座にプレートや地震の揺れは観測できます。ただし、災害時の描写はリアルで、計算機が飛ぶ(震度7でテレビが飛ぶ)や、火災が東京のあちこちで起こる描写(関東大震災や最近の火災(能登半島の輪島))もありますね。また、ガソリン不足の描写は東日本大震災時を髣髴とさせます。
いつ避難するか?避難すべきか?という選択(人間心理)も考えさせられます。

2022年に上映された新海誠監督の「すずめの戸締まり」も地震を扱った物語ですね。要石で封印していた日本列島の下を蠢くミミズの姿。扉が閉じられことによる地震の封印。日本神話。新海誠さんの作品はとにかく映像が綺麗。雨や水の描写が美しいですね。

2019年上映の「天気の子」も、大雨で東京が浸水する状況が描かれています。気象監修が気象研究所の荒木健太郎さん。入道雲や黒雲、彩雲などのリアルな描写が見どころです。

防災漫画

◆『週刊コミックパンチ』(新潮社)にて2006年24号から2007年36号まで連載
「彼女を守る51の方法」 原作:古屋 兎丸(ふるや うさまる)さん
三島ジンという大学3年生の21歳の男の子と、ヒロインである岡野なな子というビジュアル系バンドが好きなゴスロリファッションの女の子がでてきます。首都直下型地震の東京(お台場)の様子が描かれています。
この漫画をきっかけに、「彼女を守る51の方法 都会で地震が起こった日」という本もでています。大地震が起きたとき、彼女を守れますか?(例えばヒールのかかとを折ってあげるなど)。お台場で被災し、レインボーブリッジを渡る場面が出てきます(ブリッジの上で地震が起こりゆすられて落ちる場面も!)、私も東日本大震災の時に電車が全て止まって動かなくなった時にお台場から出る手段として渡りました。

◆1976年から78年『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載
「サバイバル」さいとうプロ
洞窟を探検していた鈴木サトルとその友人たちは、突然の大地震に襲われる。それが収まった後、サトルだけは何とか洞窟から抜け出して助かったが、外は信じられない光景と化していた。陸続きだったはずの土地はほとんどが大地震によって水没し、周囲をすべて海に囲まれた島になっていた。とにかく悲惨な状況。物が無い、ライフラインがない、家族がどこにいるかわからない。主人公のサトルはそのような状況でも持っている知恵や身に付けた知識を働かせてたくましく生き抜く。学校の勉強だけでなく、火をつけたりする生きる知恵が役にたった。
体を壊さないために生水を飲まない、ネズミが襲ってくる、簡易的に家を作ったり、極限になるとミミズを掘って食べたり、火が手に入らないと生魚を食べたり、自分の体で試して薬草の知識を身につけたり、ナイフを肩身離さずにいることが野営、家づくり、動植物の採取、解体料理、日常生活に必要大事(アイヌの知恵)など戦争を生き抜いた、さいとうたかを さんだからこそ、このようなリアルなサバイバル状況を描けたのではないか。一度読み始めると引き込まれて止まらないです。

「あさドラ」第1巻 原作:浦沢直樹 ビックコミックススピリッツで2018年から連載

冒頭の1巻の舞台が、1954年の名古屋の伊勢湾台風の様子。港区に住む「あさ」という女の子が伊勢湾台風で被災し、家が浸水してしまいます。
Wikipedia「名古屋を舞台とした作品。本作に伊勢湾台風が登場したことにより、名古屋市港防災センターの災害展示に本作が使用されている。」

新防災ドラマ

◆「ブルーモーメント」2024年4月開始ドラマ
著者 小沢 かな 監修 荒木健太郎
「天気の子」の気象監修をされた荒木健太郎さんが主人公のモデルです。
主演:山下智久さん(気象庁気象研究所の気象学者)
▶︎ブルーモーメントとは夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象。天気が良かった雲のほとんど無い、または全く無い空気の澄んだ日にだけ現れる。太陽が昇る前や沈んだ後は、地平線の下に隠れている太陽の光が空の高い所に当たり、より散乱しやすい青い光だけが空に残ることにより深い青色に見えます。
気象研究所の研究者が、気象学の知識を駆使して、風水害時に行政に情報を提供したり、自ら被災地に向かい人助けをする物語。相棒の派遣社員に「雲田彩」さんがいますね。なぜ気象学者がそのような行動をするのか?はドラマやマンガでお楽しみください‥。線状降水帯、タイムラインなど気象や防災の知識も身に付きそうです。

防災ひとこと

防災は想像力が大事。エンタメで想像力を養って防災意識を高めよう。

⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく






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