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怖がりな私の乳がん生きのばし日記 ㉜最終回~または私は如何にして心配するのを止めてより前向きに生きるようになったか

2022年3月27日

今日は師匠が主催されている読書探偵作文コンクールの配信を観る予定だったけれど、配信トラブルで4月3日に延期になったので、ウォーキングへ行く。(読書探偵作文コンクールってなに?という方は、ぜひこちらのページをご覧ください。4月3日もぜひ!)

漢方薬のおかげか、一時よりは身体は楽になったけれど、鬱々した気持ちはまだ消えない。桜の季節だからだろうか。

火曜(25日)は主治医の先生の診察があった。異常なしで、とりあえず安心。といっても、診察のみでCTやエコーをしたわけではないけれど。

ホルモン療法の副作用について聞いてみたが、案の定、これという特効薬はないようだった。

「ユニコーンのライブに行って楽しんで……」と先生が言うので、
ライブで「スターな男」を聞いて感極まりそうになったのは異常か?
と聞きたかったが、この日は看護師さんがしっかり横にいたので、さすがに恥ずかしくて余計なことは口にできなかった。(私にもまだ恥の概念が残っていた)ついでに聞こうと思っていた3回目のワクチンについて確認するのも忘れてしまった。

帰ってから、副作用についてうだうだ話してしまったが、ウザがられていないかな……と心配になり、けどこんなふうに心配になるのも副作用のせいでは?と、循環思考に陥る。
しかも、リュープリンの注射を打った箇所(おへその横)がずきずきと痛み出し、生検のあとのようにそろそろとしか動けなくなったので、ロキソニンと睡眠導入剤を飲んで強引に寝た。

その次の日(26日)は、会社を出てから漢方のクリニックへ行った。薬を飲んで身体が楽になったと報告すると、
「あら、よかった! 2週間で効いたの? 素直な人ははやく効くのよ!」と先生が喜んでくれた。

そう! 私は素直で心のきれいな人間だから……と思ったが、あとから考えたら、つまりは単純な人間なのだと気づいた。

そしていま、近所の水路沿いの桜を見ながら、ぼんやり考える。

薬を飲むと副作用が心配になる、でも飲まないと再発リスクが上がるので怖い、とはいえ薬を飲んでいてもちゃんと効くのだろうか?と不安になる、身体のどこかに異常を感じると、まさか転移では……と血の気がひく、そんなあれこれを病院で訴えてみても、当然ながら解決されるわけではない。

あ―嫌だ嫌だ病人は。病人でいることにもううんざりだ。
カート・ヴォネガットの小説『スラップスティック──または、もう孤独じゃない!』のように、もう患者じゃない! と叫びたい気持ちになる。

以前にも紹介した、ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(長田美穂 翻訳)を思い出す。余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践しているのは、以下の9つである。(詳細を知りたい方はリンク先へ)

・抜本的に食事を変える

・治療法は自分で決める

・直感に従う

・ハーブとサプリメントの力を借りる

・抑圧された感情を解き放つ

・より前向きに生きる

・周囲の人の支えを受け入れる

・自分の魂と深くつながる

・「どうしても生きたい理由」を持つ

この本を最初に読んだときは、がんを宣告されてまもないときで、万が一ステージが進んでいたとしても生還できる(かもしれない)という一点にばかりすがっていたけれど、いまあらためて読み直し、ようやくこの本の真意を少し理解できたように思える。

これらの9箇条が意味しているのは、治療の主体となるということではないだろうか。

結局、自分の身体を治せるのは自分しかいない。
自分は患者なのだと病院に頼っても、病院や医師が治してくれるわけではない(もちろん、必要な処置はしてくれるけれど)。
自分の身体のハンドルは、自分で握らないといけない。

そしてもちろん、このことは身体や健康にかぎらない。
自分の人生のハンドルは、自分で握らないといけない。
自律、あるいは自立することの大事さが、ようやくわかった気がする。

というわけで、もう患者じゃない!ということで、この乳がん日記も最終回になります。といっても、乳がんの話題にかぎらない日記やメモは今後も書いていこうと思います。

それにしても、このツイートにも書いたように、
やりたいこともいっぱいあるのに病気になって、なんて自分は不幸なんだ!
とずっと思っていたけれど、やりたいことがあって、応援や心配をしてくれる友人たちもいて、まあ、幸せかどうかはわからないけれど(世間一般の幸せというものが、いまだにどういうものだかわからない)、自分は恵まれていると思う。

キャンサーギフトとか「がんで得た幸せ」なんて聞くと、
「でも病気なんてならへんのが一番やろ」とつい言いたくなるけれど、でもたしかに、病気で気づかされたことや学ばされたことはある。おれはまたひとつ大人になった!と思っておきます。

(言うまでもない、名曲ですね~ひさびさに志村君が歌う姿を見ていると、それこそ感極まりそうになります)


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