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所在

「星の王子様」2週目初日に立ち会っている。沢山のお客様が入っての観覧は第1週目の2回に続いてこれで3回目。こうやってお客様が沢山入った状態で客席から舞台を見るとやはり良いなぁと感じる。自分が舞台に立つことからは引退と宣言して早5年。己がスポットライトを浴びることには全く興味が湧かないが、ワクワクソワソワと開演を待っているお客様を見ているとそういうことはなかなか素敵だなぁと思う。

その翌日、卒業以来34年ぶりとなる大学のダンスサークルの同窓会に出席した。数名はそこまで間を空けずに別の機に会ったこともあったが過半数は本当に34年振りの再会とあって顔と名前が一致せず気まずい思いをするのではないか…と一抹の不安を抱えながら会場に入ったが全員の顔を見回して正解率100%の認識にホッとする。会も盛り上がり現役時代に踊った振付を海外在住のメンバーとzoomを繋いで同時に踊ってみよう企画が始まりカメラマンの役目を引き受けた僕は入念にアングルや機材のセッティングを行っていよいよ本番!のはずが50代の哀れ…ポロポロと失われていく記憶とあちこち言うことを聞かない身体故グダグダな出来。しかし、野次だか応援だか只の悲鳴だか分からないギャラリーの歓声も相まって何とも微笑ましい時空間が其処に出現した。カメラのファインダー越しにその光景を観ていてこういうことってなかなか素敵だなと思った。

ともするとヒョッコリ「どうよ?!」と見せつけたくなる瞬間が現れてそんな自意識過多の自分にガッカリするのだが、それを見計らったように気付かせて貰える機会に恵まれるのでイカンイカンと引き戻される。でも、そんな行きつ戻りつな状態もまんざらではないなと思う。

この文章を途中まで書いたところで関わってきた舞台の千穐楽を観覧。リハーサルでは決して見られなかった役者の真骨頂に触れ魂が揺さぶられた。2人の発する一言一言が観客に沁み入っていくのを肌で感じて鳥肌が立った。そんな風に時空を歪めるレベルで素晴らしい演者を目の当たりにすると舞台に立つっていうのも悪くないなと思う。でもやっぱり、そういう瞬間を目の当たりに出来るのは裏方ならではのご褒美だったりもするので陰で支える方が楽しいのかもな…と思い直す。

出演者全員のサインが入ったポスターは
それはそれは壮観だった

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