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生活保護批判への批判

どうも、reiichiです。

生活保護受給者に対する批判が

物議をかましているみたいなので

急いでそれについて書くことにしました。


よろしくお願いします。


生活保護

生活保護とは

働くことはできるが職がない人や、

あるいは収入があまりにも少ない人が

最低限の生活ができるように支援する制度である。


つまり、

生活に困窮した人々を保護する

セーフティーネットとして機能しているのが

生活保護である。


人々の生活を保護するという観点からすれば

生活保護は重要であるが、

その生活保護はよく批判される。


だが、

それらの批判は妥当なのであろうか。


生活保護批判について

生活保護批判の材料としてよく使われているのが

生活保護の不正受給である。

批判者の言い分は、

生活保護を不正な方法で受給し、

システムを悪用している人がいるので

生活保護の制度を廃止するべきだというものである。

しかし、生活保護の不正受給は

全体の数パーセントでしかない。


具体的な数字を用いて言えば、


平成28年の被保護者数2,145,438人に対し不正受給者は44,466人(2.07%)、

平成29年の被保護者数2,124,631人に対し不正受給者は39,960人(1.88%)、

平成30年の被保護者数2,096,838人に対し不正受給者は37,287人(1.77%)


ということで、

実は不正受給者の割合はイメージよりも少ないことがわかる。


システムを悪用することは良くないが、

そこまで騒いで廃止を訴えるほど深刻な問題ではないだろう。


生活保護に使うお金を別のところに回せ?

生活保護に関する批判としてあるのが、

生活保護を受けている人々は

あまり生産性がなく、

社会に居なくても良い存在なので

そういう人たちにお金を支給するぐらいだったら

他のところ、例えば

動物を救う団体に回せと主張する人がいる。


しかし、

これらの批判もおかしい。


生活保護受給者と生産性

まず、

人間の価値を「生産性」という指標で判断することが

まさに資本主義的である。

資本主義社会では

無限の経済成長が求められ、

その際に重視されるのが

生産性である。


生産性の向上が人々に押し付けられることで

人間の活動は資本主義の成長に都合の良いものとなり、

それはつまり、

資本家階級が利潤を拡大させるために都合の良いものとなる。


しかし、

生産性を永遠に追求することだけが幸せなのだろうか。

無限の量的な経済成長が求められる社会では

生産性を高め切った状態が幸せとさえれrが、

無限の量的な経済成長は追求しなくても良いという立場からすれば

生産性がなくても、

自分なりに十分なニーズが満たされているだけで

幸せな生活をしていると言えるようになる。


確かに生活保護を受給するような人たちは

生産性がないかもしれない。


しかし、

だからと言ってその人たちを切り捨てるべきではない。


なぜなら、

生産性だけが幸せを規定するものではないからだ。


そして、

生活に困窮している人々が

自分なりに十分なニーズを満たして

幸せな人生を送る手助けをするために

国は生活保護というセーフティーネットを充実させている。


生活保護と財政

そしてもう一つ、

生活保護に使うお金を別のところに回せということについてだが、

日本の財源はそこまでカツカツではないし、

そもそもインフレ率が許す限り

日本はいくらでも財政出動ができるので

生活保護と同時に他のプログラムに支出するのは

十分可能である。


財源が限られており、

ある場所に支出するためには

他の場所への支出を諦めなければいけないという考えは

まさに緊縮財政論的である。


生活保護問題よりも、もっと深刻な問題

ここまで、生活保護に対する批判は間違えており、

生活保護は安定的な生活を保障するために必要であるとした。


しかし、

よくよく考えれば

そもそも生活保護が必要となる社会は

おかしいのではないだろうか。

というのも、

生活に困窮する人を支援するプログラムが生活保護であるが、

そもそも

一部の人間に困窮をもたらすような経済社会構造は

おかしいだろう。


ここで、

マルクスが論じた資本主義的蓄積の一般的法則を紹介する。


資本主義においては利潤拡大のために

生産力や機械などの資本が強化されることで

労働の価値は下がり、

労働者の賃金が制圧されたり、

失業したり、

あるいは、

そもそも職が与えられないという状況を生み出したりしてる。


つまり、

利潤の拡大、それによる資本の蓄積が進むほど

人々は必然的に貧しくなっていくという法則である。


そして、

その貧しくなった人が生活保護を受給せざるを得ない状況となる。


生活保護受給者を生み出しているのは、

資本主義のシステムそのものである。


したがって、

人々の安定した生活を保障するために

生活保護を充実させるのは良いが、

そもそも生活保護が必要となる社会を変えるためには

生活保護を受けなければいけない人々を必然的に生み出す

資本主義システムそのものを変えなければいけない。


参考にしたもの

厚生労働省(2019)生活保護の被保護者調査の結果 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2019/dl/h30gaiyo.pdf

厚生労働省(2020) 生活保護制度についてhttps://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/dl/9_shakaiengo-03.pdf




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