見出し画像

人間とプライド、そして性差。

SMでいうフェムドムとは、女性が責める側 エスの、いわば女性上位の関係性です。
(※受ける側 エムは男性だけを指すわけではありませんが、ここでは女王様とM男の関係性で書いています。)

画像1

長年そういう価値観を優遇する業界にいた身としては、最近盛り上がりを見せる女性の権利主張に対しては、当然もっと盛り上がって欲しいと思っています。
一方で女性上位までいかなくとも男女平等というもの自体、無理も多々感じます。
ワタシ的には肉体差がある生き物を、「同じ人間」として考えることが無理あるのではと昔から思っていて。そもそもできる事の限界もあれば、様々な出来事が違いすぎるわけで、平等に比べる事ができる箇所は本当のところかなり少ないような気がしてて。理解は互いにすべき前提で、そこを超えた平等とはこれいかに、と常々思ってきました。

画像2

そんな中、人間はグラデーションの生き物(性スペクトラム)である、という事がわかってきて、男女という2つの性別だけではないと徐々に理解も進み始めました。
性だけではなく感覚的な認識に対しても千差万別で、色の認識すら微妙にみんな見ている色が違うなんてことまで。
この、「同じ人間はいないように同じ感じ方をする人もいないのだ」という考え方は、本来「当たり前だわな」と思わせられることのはずなんだけど、何故かみな「人間として共通の理解」を求めてしまう。
みんな同じでみんないい(みんな違ってみんないい、という考え方ができている人は正直一握りだと思うが)、みたいな私の世代からするとかなり衝撃的な事実。
人は群れで生きるため、「みんなが言っている」「普通はそう」みたいな一般論に沿っていかなくてはならず、そこの感覚から外れることを異様に恐れます。
特に日本は「こう見えなくてはいけない」「こう感じなくてはいけない」「こう思わなくてはいけない」という同調圧力がものすごく強い。

私がSMなどに興味をもった理由は色々あるけれど、「普通と違う」というのは大きかった。だけに、みんなと似たようなことをして安心する風潮は未だに合いません。
そこへ「人はみな、感じ方すら違う」という話を聞いたときは、なんつーか、「ほらな!」に近い思いであった。

画像3

とはいえ、性差を取っ払って「人間」括りにしようとするのもどうかと思う、という感じ。人間平等みたいな夢物語とジェンダーレスみたいなことはホントのところ全然違う話なのに。

そして間違えやすい「差別」と「区別」の違い。
今の御時世、女性を「優遇」している企業はイメージアップにもつながるので増えてきているけれど、イメージアップばかり気にして正当な評価となっているか疑問。「優遇」は結果として性差別と同じなんじゃないかな。
男性ばかりが活躍している現場は無数にあって、肉体的に不向きということ以外で(この場合は差別ではなく区別として)「なぜ今までそこに女性がいなかったのか」を素人ながらに考えると、単なる「プライド問題」という、人間の尊くも邪魔で面倒ながら必要な感情が関係しているからなのではというところに行き着くんですよね。

画像4

女性が先導、もしくは強い立場で活躍する場にはそれを支持する人が必ずいて、それに対して生意気だという謎の感情を持ち出して批判する人も必ずいて。
SMの世界でもM男だからみんな女王様に頭を下げ言うことを聞く女性上位バンザイなのかといえば全くそんなことない。
10人マゾがいたとしたら6人位、女性に強く出れないが女性上位というもの自体が好きというより憧れ止まりで、結局は自分の慕う人がいうから言うことを聞く、みたいなのも多い。
そしてその中で数人くらいはプレイ以外では女性にはめっちゃ上から目線という人もいるし、性癖というより性格かもみたいな人もいたりする。
SMをやらない性癖と性格の区別ができない人達からすると、「マゾなんだって?」と上からいってトラブルになる元でもある。

画像5

「毛皮のヴィーナス」に出てくるマゾ、ゼヴェリーンはいわゆるその手のタイプで、自分の思い通りに動かない女性ワンダに対して苛ついたり平気でします。
読んでいるこちらがゼヴェリーンに苛つくというか。

女性上位の世界でもそんなわけなんだから、一般的に平等なんて求めてもできるわけないんじゃないかな。地球の平和すらできやしないわけだし。
世論みたいな流れになっているときって、もうそこに金が動いていて、善悪の判断とかできない、平等に物事を理解できていない人が介入し、とにかく盛り上げていく。
でも足を引っ張るのは、現実問題とくだらない誰かのプライド問題。
ジェンダーレスより大事なのは、ある種のプライドレスと「知る」ことなんじゃないのかなと思ったりします。

画像6



(・・・なんとなく当初と違う方向の記事になってしまった。)





投げ銭、とても励みになります。