ものはあるだけで狂っていく【『きみよわすれないで』篠原一】
私は、強いものが、好きです。
この趣向はありとあらゆる方面に当て嵌まり、小説に関しても例外ではありません。作品名を挙げるなら、前回、前々回と二記事にわたって紹介した『亡国のイージス』のような――登場人物が過剰に熱くて、躍動感に溢れていて、読後も前向きになれるようなものを、私は積極的に取り込んで動力にしたいタイプの人間なのです。
でも、だからと言って弱いものが嫌いかと問われるそんなことはありません。むしろ、時と場合によっては強いもの以上に”そちら”に惹かれてしまう自分がいます