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ブラレイコの本棚_秋の雨が降れば積読が三尺になる📚

「秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる」 なんて諺がありますが、
秋は晴れの日よりも雨の日の方が暖かく、寒がりの猫も顔を長くして喜ぶという意味らしい。

三尺ってどれくらい?と思い調べたら、約90センチですって。
いやいや、長すぎでしょ!なんて、ツッコミながら今日も家に篭っております。

雨も多いこの季節は、大人しく家で読書が一番ですね。今回のブラレイコの本棚では、9月に読んだ本の中からいくつかピックアップしてご紹介〜。

自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学_しんめいP (著)

東洋哲学に触れるハードルを低くし、楽しく、気軽に紹介してくれる一冊。
田舎育ち→東大入学→大手IT就職→田舎移住→フリーランス→芸人→無職→離婚…を経験した作者が、引きこもり中の布団の中で「東洋哲学」に辿り着く。

東洋哲学と出会ったら「本当の自分」とか、どうでもよくなった

この時点で、興味をそそられますよね。
本には、ブッダをはじめとする超有名な7人の東洋哲学者たちが紹介されている。仏教用語(無我、空、道、禅など)も登場するが、独特の比喩でかなりくだけて書かれているので、スゥーッと読み進められる。

例えば、各偉人たちの紹介はこんな感じ↓

ブッダ:王子時代なら、教室のはしで窓の外をながめているタイプ
龍樹:クラスメートはおろか先生まで論破する、超面倒なタイプ
老子:そもそも教室にいない。校庭で草と同化している
荘子:一度たりとも学校にきたことがない
達磨大師:無言。教室の後ろの壁にむかってずっと座っている
親鸞:テストでわざと0点をとりつづけて退学になった
空海:クラスの中心にいる人気者

ね、もうこの時点で笑っちゃう。

この7人の考え方を知ることで、どう人生の「虚無感」から脱せるのか?
向き合うテーマはハードなのに、トーンが軽いから一気に(300ページ越えの本だけど!)読み終わる。とてもライトに仏教思想に触れられる一冊。

読み終わったとき、みうらじゅんさんの「自分探しではなく、自分無くし」という名言を思い出した。こちら、併せて読んでみてもいいかも。


誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課_ 篠原匡 (著)

人に寄り添うとは、どういうことなのか。を、教えてくれる教材的な一冊。

作者でありジャーナリストの篠原さんが、座間市生活援護課と生活困窮者の自立支援をする団体を取材。相談者というよりも、支援する側に光を当てたドキュメンタリー本。

まず、座間市生活援護課(現在は名前が変わっているっぽい)が掲げる理念がすごい。

「断らない相談支援」

外国人でも、市外の人間でも、座間と何かしらの繋がりができた人の相談は断らずに聞くというスタンス。
日本には、生活保護というセーフティネットがあるが、生活保護には「世帯収入が定められた最低生活費に満たない」という明確な基準があるため、生活困窮者の誰もが受給できるとは限らないらしい。生活保護の基準を上回る収入があったとしても、生活に困窮している人は大勢いる。それは、経済的な問題に限らず、日常生活や社会生活を送る上で問題を抱えているケースもあるという。

「なりたい自分があるのであれば、私たちは全力でお手伝いします」
「社会の中で生きづらさを感じているのであれば。支援の手を差し伸べなければなりません」

想いを実現するために、生活援護課の方々は、日々訪れる生活困窮者の方々から話を聞く、そして問題を解決するために一緒に考え、提案し、寄り添い、行動する。

言葉で語るだけでなく、本当に、これを日々行っていらっしゃる。
ものすごい…、ものすごいチームだ。
本を読み進めていくたび、その理念と一致した行動力に驚き、頭が下がる。

社会や組織である以上、何かしらの理由で助けが必要となるケースというのは発生する。自分自身が今は元気であったとしても、助けが必要になることも十分有り得る。全ての人にとって、「誰も断らない」と手を差し伸べる人たちの存在は必要なものなんだ。

身勝手に見える人は大勢いるが、その人間がそうなっているのには理由がある

大切なのは、支援を押しつけるのではなく、本人のペースにあわせて伴走すること

本に登場する方々の言葉の一つひとつが、自分自身の内省を促してくれる。
(特に、人事という立場で組織に所属していた自分には刺さりまくる)

本当の「問題」に目を向けていたのだろうか?
「相手のため」「相手の利益」を考えられていたのだろうか?

寄り添うために誰かが犠牲になるというのではなく、社会や組織の仕組みとしてどう支えていくのか、という視点が大事。座間市の取り組みは、自治体と民間団体が連携しており、個ではなく社会システムとして支えることの大切さも教えてくれる。

いやー、この本は 本当に学びが深い。

実際のHPは、こちら。理念をリアルに行動に起こし続けることが、少しずつ世の中を変えていくんだろうな。
わたしも頑張ろう、と勝手に励まされた。


人生のレールを外れる衝動のみつけかた_谷川嘉浩 (著)

「将来の夢」や「本当にやりたいこと」を聞かれたとき、それっぽい答えを言ってやり過ごしたことはないですか?

この一言に、ドキッとする方も多いのでは?(もちろん、わたしもその一人)
この本は、他人のレールで生きるのではなく、自分の内なる欲求に目を向けて生きることを提案してくれる。

個人の内から湧き起こる己の欲求のことを「衝動(深い欲望)」と定義して、衝動の特徴や見つけ方などを解説。
文中にあった「偏愛こそが衝動(深い欲望)へと繋がる」というのは、確かにそうだよねぇ〜と共感。偏愛は、とても個人的で非合理的なものだけど、そこに目を向けることで「本当にやりたいこと」に繋がっていく可能性が見えてくる。
ただ、それを自分で気づいて掘り下げるのは難しいよね。

キャリアに悩む若者に読んでほしい本ではあるが、併せて、作者がゲストのこちらのpodcastを聴くことを強くオススメ。

そうすることで、より深く真意が理解できるはず。

前回わたしが書いたnoteも、こちらの本が掲げる「それっぽい正解」問題に繋がっている。ぜひご覧ください。

文章がかなり長くなってしまったので、今回のブラレイコの本棚はここまで。
3冊とも、自分自身と向き合うことを促してくれる本だったと思います。

さて、次は何を読もうかな。
そう思いながらチラリ眺めた積読は、もうとっくに3尺を超えていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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