発達障害の魅力
皆さんは、「発達障害」というものに対して、どのようなイメージをお持ちだろうか?
最近になって、なんとなく正しい情報が広まりつつあるものの、まだまだ世間的には全くと言っていいほど、理解されていないと思う。
昔は育て方が悪いのが原因などと、とんでもないことを言われていたが、簡単に言うと、先天的な脳の障害である。
「脳の障害」であるから、当然、脳の障害が起こっている部分によって、症状の出方は人それぞれである。
まさに「十人十色」。
私はトータル1000人近くの発達障害を持つ方々と接してきたが、この人はなんとなく○○さんに似てるな、と思うことはあっても、全く同じ特徴を持っている人はいなかった。一卵性の双子であっても異なる。
そんな彼らにも、共通している特徴がある。それは、
①自分の欲求に素直(と言うか、自分の欲求をコントロールするのが難しい)
②他人が何を考えているのか汲み取ることが難しい(他人から見られた時にどう思われるのかを考えるのも難しい)
③自己コントロール力が弱い
④嘘がつけない(高機能の人は嘘をつける人もいるが、支離滅裂で、すぐにバレる嘘しかつけない)
⑤身体のコントロールが苦手
⑥持続力が弱い
…というところだろうか。これだけ見ると、いかに彼らが様々な困難を抱えているのかがわかると思う。
しかし。
これらは、きちんと支援者が彼らに合った療育を行えば、少しずつでも、改善していくことができる。
全ての原因が脳であるから、単純に、少しでも脳がしっかり動くような働きかけをしてあげれば良いのである。
私がしているのはそういう仕事である。日々、「どうしたら脳を動かせるか?」を考えながら支援している。
また、彼らは「集団が苦手」と言われることがあるが、全くそんなことはない。「人間=社会性の動物」というのは本能的に刷り込まれているものであり、彼らも人間である以上は、帰属意識のようなものがきちんと備わっている。
そんな彼らと接して、10年が経とうとしている。
彼らと接するようになった頃と今と、全く変わらず思い続けていることがある。それは、
「かわいい!」
ということ。
どこがかわいいのかは、なんとも表現するのが難しいが、彼らはとにかくかわいいのだ。
純粋で、素直で、時々イラッとすることも0ではないが、こちらが自己満足ではない、本当に彼ら自身のための支援ができたとき、きちんとそれに応えてくれる。
そんな時は私も嬉しいし、彼らも心なしか、満足そうな顔をする。心が通じ合った!と思える瞬間は何とも言い難い感動があるし、そんな彼らを見て、「かわいい~」と思うのだ。
彼らはとっても真剣なのだが、こっちの想像の斜め上をいくように、芸人さんか?と思ってしまうほどの大ボケをかましてくることもあり、そんな時は思わず笑ってしまうし、そんな姿が本当に愛おしい。
仕事である以上、もちろん辛いこともあったし、辞めたいと思ったことも、決して0ではない。
でも、そんなかわいい姿にいつも癒され、頑張ろう!と思わせてくれるのが、発達障害を持つ彼らなのだ。
もっともっと発達障害の方々を普通に受け入れてくれるような世の中になってくれれば良いのだが、まだまだそんな世の中ではない以上、私は彼らが少しでも世の中に適応できるような力をつけることができるように支援していくしかない。
彼らの魅力が少しでも伝わりますように…
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