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豆乳女(掌編)

「あんたってさ、豆乳みたいな女だよね」

 和紗かずさが私の顔を真剣な顔をして見ながらそう言った。

「豆乳みたいな女って何?」

 私は彼女が言う意味が分からなくてそう訊ねる。

「沙喜ってさ、恋愛っていうフィルターさえかけなければ誰とでも上手くいくけど、こと恋愛っていったら長続きしないじゃん」
「だからそれと豆乳が何の関係があるの?」
「豆乳はさ、未開封だと賞味期限バカみたいに長いのに、開けた途端に二、三日で悪くなるじゃん。沙喜ってそれに似てるなーと思って」

 私はそれを聞いて笑いながら、でも確かに似ているなぁとも思う。

「えー、じゃあ私、豆乳女ってこと?」
「そうなるねー」

 和紗は当然だという雰囲気でそう言う。そして続けて「今度の相手とは豆乳みたいにならないといいね」と言った。
 彼女とのこういう会話、私は嫌いじゃない。豆乳女はなるべく早くに卒業出来ればいいな、と思いながらももう既に私は、今の相手と終わろうとしている。

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