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まとまりのある物語にする方法

【#96】20211004


人生は物語。
どうも横山黎です。


作家を目指す大学生が
思ったこと、考えたことを
物語っていきます。


是非、最後まで読んでいってください。

今回は、
映画『見えない目撃者』から考える
「まとまりのある物語にする方法」
というテーマで話していこうと思います。



☆映画『見えない目撃者』が面白かった


昨日、『見えない目撃者』という映画を観ました。
『ブラインド』という韓国映画をリメイクしたもので、
日本では2019年に公開されました。


主演は吉岡里帆さん。
ドラマやCMでは
柔らかくキュートな役柄を演じることが
多いイメージですが、
この映画では、「視覚障がい者」という
シリアスで難しいキャラクターを演じております。


そうなんです。
この物語の主人公は
「視覚障がい者」の女性
なんです。

彼女は警察官だったんですが、
弟を乗せて車を走らせているさなか、
事故を起こしてしまい、
自分の視覚と弟を同時に失ってしまいます。


そんな女性が
ある事件の「目撃者」になるんです。

目が見えないのに、どうやって目撃したのか。

彼女は、視覚以外の情報で
事件の存在を悟ったのです。


車の中から女性の「助けて」という声を聞いたこと、
現場近くをスケボーに乗った誰かが通り過ぎたこと、
車内からアルコールの匂いがしたこと、
視覚以外の感覚を駆使して、
事件を目撃したんです。


警察ははじめ、信用していませんでしたが、
徐々に本当に事件があったのではないか
と疑うようになり、
女子高生誘拐事件として捜査が始まりました。
やがて、連続殺人事件が発覚し、
驚愕の真犯人が浮かび上がる。


ざっくりとしたあらすじは
こんな感じなんですが、


もうね、
めちゃくちゃ面白かったです。

ずっとハラハラするし、
少しずつ謎が解かれていくし、
目が見えないのに立ち向かっていく
主人公の姿には圧巻だし、
とても見ごたえのある作品でした。

R15指定されていることからも分かる通り、
結構グロイシーンがあるんですが、
犯人の狂気性を十二分に伝えています。


残酷描写が少し苦手な方は
注意が必要ですが、
全体的に本当に面白い作品でした。




ここからはネタバレを含みますので
ご注意ください。



☆全ての要素が繋がっている


で、
僕が今回特筆したいことは何かというと、
「全ての要素が繋がっている」ってことです。


主人公の女性を支えながら、
一緒に事件を捜査していく高校生がいるんですが、
実は彼も事件の目撃者なんです。
主人公が証言した通り、
現場近くをスケボーで通りかかった目撃者なんです。

さらに、
今回の事件は、
過去の事件との繋がりが判明するんですが、
今回の事件の真犯人は、
その過去の事件の目撃者だったんです。

何がいいたいかっていうと、
「目撃者」という要素で繋がっているということ。

今回の真犯人は
過去の猟奇的殺人の現場を目撃したことが影響して、
自らも猟奇的殺人を行っているわけなんですね。


主人公の女性は、
目の見えない目撃者。
救える命は救う正義を追求する。

スケボー高校生は、
目の見える目撃者。
主人公と共に、正義を追求する。

真犯人は、
目の見える目撃者だった。
過去の事件に感化されて、
狂気的な嗜好を満たすために
正義そっちのけで犯罪を繰り返す。


このあたりの構図が
個人的には好きでした。




さらに。

犯人は、
「六根清浄」を殺人のテーマにしていました。


仏教の教えの一つで、
視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚、意識を指します。

つまり、五感+第六感。


人間に備わったこれらの六根を
清めることで救われるよね~みたいな教えです。

真犯人はそれにあやかって、
殺害した遺体から、
部位を切り取っていたんですね。

Aさんから目を切り取り、
Bさんからは鼻を切り取り、、、
みたいな感じです。


ごめんなさい、残酷な話をして。


僕が何を言いたいかっていうと、
この物語全体を通して、
「感覚」が大きなテーマになっているということ。


何度も言っている通り、
「主人公の女性は目の見えない障がい者」です。

その要素と結びつく
事件の背景が設定されているので、
物語に統一感が生まれているということです。



最後に語りたいのが、
鈴のついたキーホルダーのこと。


物語終盤、
主人公の女性が真犯人と対峙するわけですが、
でっかい洋館の中で逃走劇が繰り広げられます。


最後の最後、
犯人が主人公に忍び寄ります。
靴を脱いで一歩ずつ静かに近寄っていきます。
足音がしないので、
女性は目の前で起きていることがわかりません。
しかし、犯人が
床に落ちていた鈴のキーホルダーを
ふみつけ、音を鳴らしました。

その瞬間に、
女性が持っていた拳銃で
犯人を射殺したんです。


緊迫感がたまりませんでした。
無音の状態が、ずっと続いていて、
鈴が鳴って、次の瞬間には銃声。

ハラハラドキドキします。



でね、
その鈴のついたキーホルダーは何かっていうと、
もちろん、偶然転がっていたものではなくて、
女性が仕掛けたものです。

そして、
そのキーホルダーは、弟の形見だったんです。


この繋がりも僕好みでした。


目の見えない主人公は聴覚が優れています。
その特性を活かした撃退法だし、
冒頭の事故で無くした弟が、
守ってくれたような演出に
少なからず心を動かされました。



序盤の事故は、
主人公が視覚を失った
きっかけを表すのと同時に、

亡くなった弟さんの形見が
いつか姉の命を救う伏線だった
わけです。


このあたりの作り込まれた構成が
僕的にはつぼで、
こういう物語をつくりたい!って思いました。



☆まとまりのある物語にする方法


長くなってしまいましたが、
「まとまりのある物語」にするためには、
物語を構成する要素を繋げる必要があると考えます。


自分の描きたいこと、

テーマにしたいことを

まずは決め、

そこから連想される単語、概念、ジャンルを

引っ張り出してきて、

物語を組み立てるといいんじゃないかなって

思います。



ということで、


今回は映画『見えない目撃者』から考える
「まとまりのある物語にする方法」
というテーマで話していきました。



☆お知らせ


最後にお知らせします。

僕が書いた小説『メッセージ』についてです。

一言でいえばダイイングメッセージの話なんですが、
以前から僕は、
なんで死の間際に犯人の名前を書くんだろう?
もっと伝えるべきメッセージがあるよね?
という疑問を持っていました。
この作品はそんな疑問と真正面から向き合ったものです。
僕がどんな答えを出したのか、
興味を持たれた方は、下の記事からチャックしてみてください。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。




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