見出し画像

昔の『桃太郎』は、桃から生まれなかった。

古代中国「桃で鬼を退治」

古事記「桃で黄泉軍を退治」

室町時代「桃太郎成立」

江戸時代「回春型」

明治時代「果生型」「近代国家形成」

戦争時代「戦争プロパガンダ」

現在「再考、議論」


【#146】20211123


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。

今回は「ざっくりとした桃太郎の歴史」について話していこうと思います。




☆消えていった『桃太郎』がある


現在僕は、「新しい『桃太郎』をnoteで共同制作しよう」という企画を進めております。僕が記事を通して疑問を投げたり、意見を募ったりするので、それについてみなさんが思うことをコメント欄に書き残していってくことが基本的な流れです。


まだまだ始まったばかりで、どんな物語に仕上がるのか分かりませんが、出来る限り良いものにしたい情熱を持っているので、最近は『桃太郎』に関してめちゃくちゃ調べています。


壁に立ち向かう前に、壁のことを知っておかないと痛い目に遭いますからね。


ということで、とりあえず『桃太郎』ってどんな歴史を歩んできたのかっていうのを、ざっくり共有したなあと思います。後日、一つ一つ丁寧に記事にしていくつもりですので、今回は本当にざっくり行きます。それから、諸説ありの部分や、もしかしたら間違って語ってしまう箇所があるかもしれませんが、ご容赦ください(笑)




☆桃太郎のざっくりとした歴史

先に大枠を示しますね。
桃太郎の歴史をざっくり紹介するとこんな感じです。

古代中国「桃で鬼を退治」

古事記「桃で黄泉軍を退治」

室町時代「桃太郎成立」

江戸時代「回春型」

明治時代「果生型」「近代国家形成」

戦争時代「戦争プロパガンダ」

現在「再考、議論」



『桃太郎』が成立したのは室町時代とされています。


しかし、『桃太郎』の大本になったのは、もっと昔だとされています。奈良時代につくられた『古事記』についてはご存じかと思います。日本がどうやって作られたのか、どんな道を辿ってきたのか、日本誕生から推古天皇の治世までを描いた日本の歴史書です。


亡きイザナミを求め、イザナギが黄泉の国へ旅立つ場面があります。そこではイザナミは変り果てた姿をしており、会いにきたはずのイザナギは逃げます。イザナミはそんなイザナギを許さず、黄泉軍を従えて、イザナギを追いかけさせるんです。イザナギは逃走中に、桃を見つけ、追手に向かって投げるんです。効き目がすごくて、黄泉軍たちを退治することができたんです。


もうお分かりだと思いますが、「桃で黄泉軍を退治する」ことが、古事記が『桃太郎』の原点であるといわれる所以です。



ちなみにですが、「桃が鬼を退治する」図式の物語は古代中国からあります。古代中国では、桃は神聖な果実であり、不老不死や魔除けの効果がありました。桃で鬼を退治する物語は確かにあるのです。

そう考えると、桃太郎の本当の源は、古代中国にあるといってもいいのかもしれません。



とりあえず、桃太郎という物語は、古の時代から語り継がれてきているわけです。




正確なことはいえないんですが、室町時代~江戸時代にかけて『桃太郎』は成立されたとされています。その後、いろんな書き手がそれぞれ独自の『桃太郎』をつくっていきました。


現在では、「桃から生まれた桃太郎」というフレーズが根付いていますが、実は、江戸時代頃に主流だった『桃太郎』は、桃から生まれません。


おばあちゃんのおなかの中から生まれるのです。



そもそも子どもが生まれるとはそういうことですよね(笑)

書いてて「いや、あたりまえやん」とつっこみたくなっちゃいました(笑)



実は、川から桃は出てくるんですが、おじいさんとおばあさんはその桃を普通に食べるんですね。そしたら、その桃は不思議な桃で、なんと若返ることができたのです。で、子づくりしたら子どもが生まれて、その子どもに「桃太郎」という名前を付けたわけです。

僕も今回調べてみて初めて知りました。
昔の桃太郎は、若返ったおばあちゃんから生まれる=「回春型」が主流だったんです。



しかし!

時は流れ、明治時代になり、近代国家形成のために政府が桃太郎の物語を統一しました。実はその『桃太郎』が現在まで残る標準型の『桃太郎』なんです。

教育上都合が悪いと判断したのか、若返って子ども生む「回春型」ではなく、桃から生まれる=「果生型」にしました。そして、強い国づくりを目指していたこともあり、桃太郎は英雄譚として教科書に載りました。強くて勇敢なヒーローが求められていたということですね。

余談ですが、桃太郎が戦装束をまとい日本の旗を掲げることになったのも、イヌ、サル、キジが「家来」という表記になったのも、明治時代以降らしいです。




その後、日本は戦争時代を迎えます。

戦争期、『桃太郎』はプロパガンダ(主義思想を広く知らしめる宣伝)として軍事利用されました。国民が一丸となって戦争に挑んでいました。

「桃太郎」=「日本」、
「イヌ、サル、キジ(家来)」=「日本国民」、
「敵」=「鬼」
「敵国の領地」=「鬼ヶ島」


こんな感じでしょうかね。桃太郎が主人公の戦争アニメ映画が作られたこともありました。とにかく「桃太郎」という物語を通して、国民を一致団結させて戦争に参加させることを目指していたというわけです。



しかし、『桃太郎』のように鬼退治は成功しませんでした。日本は敗れ、アメリカから派遣されたGHQによって占領されます。新しい日本づくりのために、軍事的な出版物などは規制がかかりました。

だから、『桃太郎』は教科書から消えたんです。
明治時代から掲載されていましたが、軍事利用された『桃太郎』は教科書に載るにはふさわしくないとされ、消されたんです。



とはいえ、遥か昔から語り継がれてきた文化が途絶えることはなく、『桃太郎』は日本国民なら誰もが知っている物語として今でも残っているというわけです。



☆『桃太郎』の歴史を動かそう


しかし、今主流の『桃太郎』は明治時代に政府が作らせたものとほとんど変わっていません。たしかに明治時代に求められていたのはそれだったかもしれませんが、100年経った今も同じ『桃太郎』が求めれているといえるのでしょうか。


これまでにも、『桃太郎』に対してメスを入れてきた人は多くいます。鬼は悪者だったのか、本当の悪は桃太郎なのではないか、そんな声も少なくありません。


僕も、声を上げようと思いました。

桃太郎の歴史を動かそうと思いました。



今求められている『桃太郎』とはどんな物語なのか、いろんな人の声を聞きながら、みんなでつくっていこうと考えています。


『桃太郎』の共同制作に興味を持たれた方は、是非、下のマガジンをフォローしていってください。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?