昔むかしあるところに死体がありました!?
――やっぱり、あんただったんだな――桃太郎
【#197】20220113
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。
今回は「桃太郎×ミステリーの話が面白い」というテーマで話していこうと思います。
☆昔話がミステリーに!?
今回はある一冊の本を紹介したいと思います。
青柳碧人さんの「むかしむかしあるところ死体がありました」です!
察しがつくかもしれませんが、昔話をミステリーにした短編集です。めっちゃ面白いです。
収録されているのは、以下の通り。
寸法師の不在証明
花咲か死者伝言
つるの倒叙がえし
密室竜宮城
絶海の鬼ヶ島
完結に説明すると、
「一寸法師」×「アリバイ」
「花咲爺さん」×「ダイイングメッセージ」
「つるの恩返し」×「倒叙」
「浦島太郎」×「密室」
「桃太郎」×「孤島」
です。
ミステリーのおいしいとこを昔話に落とし込んでいるわけですね。
どの作品も本当に完成度が高くて、ミステリーとしても十分に楽しめる作品なので、ミステリー初心者におすすめできる作品かもしれませんね。
今回は最後の「絶海の鬼ヶ島」について話していこうと思います。
☆絶海の鬼ヶ島
まずタイトルが秀逸ですよね。
いわゆる孤島ミステリーを思わせます。
案の定、一つの島で起こる連続殺人事件を扱ったもので、アガサクリスティーの『そして誰もいなくなった』のような世界観で進んでいきます。
鬼ヶ島が舞台ですから、登場するのは鬼たちです。
赤鬼、青鬼、黒鬼……様々な色の鬼が登場するわけですが、ある日、突然、鬼たちが次から次へと殺されていくんですね。
遺体をよくよく見ると、かじりつかれたような跡のある遺体、ひっかき傷がある遺体や、つつかれた傷のある遺体があります。鬼たちは、まさか桃太郎の家来の犬や猿や雉の仕業なのではないか、在りし日のように桃太郎が鬼退治にやってきたんじゃないか、恐れ始めます。
魔の手が止まることなく、ついに主人公の鬼以外、殺されてしまうことになります。
主人公の鬼が振り返ったそのとき、自分以外に誰もいないはずの鬼ヶ島に一つの影があったのです。白い肌、手には刀、桃の絵柄のあるハチマキを頭にした者がいたのです。
「やっぱり、あんただったんだな――桃太郎」という最後の言葉を残し、主人公の鬼はその者に殺されてしまいます。
ここまでで全体の4分の3を話してしまいましたが、最後で全部ひっくりかえります。
結末に関しては深く触れませんので、是非実際に本を読んでひっくりかえされてください(笑)童話『桃太郎』を知っている人なら誰しも楽しめると思います。つまり、日本人なら楽しめるというわけです。
全部で5つの話で成り立っていますが、全部50ページくらいなのでそこまで長くありません。寝る前に一話ずつ読んでいくのがおすすめです。
☆鬼ヶ島にも生活があり文化がある
さて、『絶海の鬼ヶ島』を読んで改めて思ったのは、鬼ヶ島にも生活があり文化があるということです。
従来の『桃太郎』では、主人公が桃太郎ということもあり、どうしても鬼は敵としてみられ、鬼の生活や文化に言及することはありませんでした。退治される対象という認識しかありません。
もちろん、悪事を働いたたから罰せられるべきだという声には納得できますが、鬼たちにとってそれは「悪事」ではなく、「生き延びる術」だったかもしれません。村にやってきて食料を盗んでいったのは、鬼ヶ島が食糧難に陥ってしまったからかもしれません。
この世に絶対的な正義がなければ、絶対的な悪もありません。
お互いの主張や思想を認め合い、共に生きる道を見つけることがこれから求められるスキルの一つだと思っています。
そんなことを思ったので、僕は桃太郎を再構築しようと試みました。
僕は今、
新しい『桃太郎』を
noteで共同制作しよう
という企画を進めています。
今の時代、
「勧善懲悪」よりも
「共生」をテーマにした方がいいよね、
と思ったことがきっかけです。
僕の投稿する記事の
コメント欄でやりとりして、
みなさんと一緒につくっていこう
と思っています。
まだ完璧ではありませんが、
物語の構想を公開したので、
興味を持たれた方は是非、
下の記事をご覧になってください!
最後まで読んで下さり、
ありがとうございました。
横山黎でした。
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