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平和な時代だからこそ、「笑い」を追求できる。

室町時代の『桃太郎』には、「経済的に豊かになる物語」が求められていました。それは、世が乱れ、貧しい人々の願いが反映されていたからです。しかし、平和な江戸時代ではまた別の物語が求められました。それが「滑稽」だと僕は考えるのです。


【#160】20211207

人生は物語。
どうも横山黎です。

作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。


今回は『江戸時代の『桃太郎』に求められたもの』というテーマで話していこうと思います。


結論言ってしまうと、「面白くて笑えるもの」です。じゃあ、一体どうしてそういうことが言えるのか、丁寧に見ていこうと思います。



☆江戸時代の桃太郎part3


僕は今、新しい『桃太郎』をnoteで共同制作しようという企画を進めています。桃太郎の物語、実は時代によって変遷してきました。だったら、今の時代に合った『桃太郎』を追求したいなあと思って、始めてみました。



前回、前々回と「江戸時代の桃太郎」について語ってきました。


柿太郎が登場したり、鬼娘が桃太郎を好きになっちゃったり、いろんな桃太郎のパロディがあります。詳しくは以前の記事をご覧になっていただきたいんですが、他にも江戸時代につくられた桃太郎ってたくさんあるんですよ。




たとえば、『桃太郎一代記』という作品では、基本的によく知られている『桃太郎』が展開していくんですが(もちろん子どもは若返ったおばあちゃんから生まれる)、物語の締め方が特徴的なんです。鬼退治を無事に果たし、村へ帰ってきて、豊かな暮らしが実現したんですが、いつかもしかしたら鬼が復習にやってくるかもしれないと考え、備えをするんです。具体的に何をやったかといえば、「屋根に瓦を置いたこと」と「種を撒いたこと」の二つです。お察しの通り、これが「鬼瓦」と「豆撒き」のはじまりですよ~というオチなんですよね。

この物語って、こんな感じで終わるんで、重きが置かれているのが『桃太郎の物語』ではなくて、『鬼瓦と豆撒きの起源』なんですよね。もう少し正確にいうと、「上手いオチをつけること」なんですよ。



あと、江戸時代の『桃太郎』の特徴として、他の童話との混合が多くみられるということ。『桃太郎発端話説』では『舌切り雀』が話がベースになっていたりするんですね。桃太郎の発端、つまり、桃太郎が生まれる前の物語に舌切り雀が関わっているってどゆこと?って思っちゃいますが、それはともかく、他の作品でも、『猿蟹合戦』とか『カチカチ山』とか、いろんな童話と『桃太郎』が混ざり合った物語が描かれているんですよね。


これらのことから、何がいえるでしょうか?
江戸時代の『桃太郎』に求められていたのは、「滑稽」だったということです。



☆江戸の人々は「滑稽」を求めていた。


関ヶ原の戦いが終わり、その後おおよそ200年以上戦争という戦争がありませんでした。平和な時代が続いたのです。人々の心には余裕が生まれ、文化を楽しむようになりました。


それは「文学」の世界でもいえることで、この頃、児童向けの「赤本」、青少年向けの「青本」、大人向けの「黄表紙」など、様々な本の形が生まれました。



室町時代の『桃太郎』には、「経済的に豊かになる物語」が求められていました。それは、世が乱れ、貧しい人々の願いが反映されていたからです。しかし、平和な江戸時代ではまた別の物語が求められました。それが「滑稽」だと僕は考えるのです。



面白くて笑えるものを求めていたんです。「ユーモアのある作品」といった方が正確でしょうか。これまで紹介してきたラインナップをご覧になればお分かりですよね。どの『桃太郎』にも工夫や脚色がみられ、くすっと笑えたり、予想外のオチがついていたりするのです。

『桃太郎』という物語が定着してきて、「武士の教科書」としての役割もあったとされていますが、やはり江戸時代では、くすぐるようなエンタメが求められていたといえます。



☆江戸時代の『桃太郎』について調べてみて。


江戸時代の『桃太郎』について調べてみて、僕が印象的だったこと、考えたことをメモのような形でここに記しておきますね。もしかしたら僕らでつくる新しい『桃太郎』に役立つかもしれないので。

1、恋物語にしないにしても鬼にライトをあてたい
2、「節分(豆撒き)」と「桃太郎」が「鬼」で繋がる
3、やっぱり時代によって求められる物語は違う。
4、平和な時代だからこそ、笑いを追求できる。


今回は、「江戸時代の『桃太郎』に求められていたもの」というテーマで話していきました。



「共生」をテーマに、『桃太郎』を一緒に作り直してみませんか?


興味を持たれた方は、是非、下のマガジンを覗いみてください。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。






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