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風俗を辞める理由は【嫌気】と【諦観】だった

私が風俗を始めて4か月経った頃
普段お世話になっている先生が仰ってくださいました。

「れいちゃん。
出会ったからには、幸せになって欲しいと思います



風俗業界の相談会で出会ったので
私が何かに困り果てていることを察してくれた先生には、頭が上がりません。
本当に感謝しています。

その他大勢の方々には
風俗の域をこえて大変お世話になりました。

風俗は
人と人を繋ぐお仕事であるのは事実です。
私自身、素敵な出会いを何度も得ました。


しかしながら私は
風俗のお仕事では
本当の意味では幸せにはなれませんでした。




ずっとこのお仕事に慣れようとしましたが

接客した男性に対して「もう一度会いたい」とも言わず
客の性的要求に応えるプロにすらなれず
客の性に対する価値観を理解できず

何もかもに順応できませんでした。


私にとって
「さよなら」はもっと名残惜しいものだと思っていたのに

呆気ない。
だから一期一会と分かっていての出会いはたとえお仕事と理解していても嫌いです。






これは1年後の自分に向けた
日記のような何かです。

取り留めのない言葉ではありますが、頭の中のもやもやを無くすために本音を書き出してみます。





以前、私は専門学校時代の友達に会ったとき
風俗を辞めるように何度も説得されました。
金銭感覚、ストーカー被害、人間不信。

この仕事は将来の可能性を潰すよって
誰もから言われ続けました。

そのときは風俗が好きでも嫌いでも
働く自分そのものを馬鹿にされたことが悔しくて

泣きながら喧嘩をしました。

それは彼女達が実際に働いたこともなく
【ただ世間的に辞めろというよね、普通】
だからなのかなって勝手に思っています。

そんな人の言葉は本当は信じたくない。
だけども、心配してくれたことには感謝したい。





3月下旬になって私は
あと1年ちょっとで風俗(嬢)を辞める決断をしました。
目標金額はありますが。

たった2年間だけど
風俗店の面接を受けて在籍して
人生、脇道逸れて紆余曲折もしたけれど


世の中の大人が言う
「ひとつの会社に3年勤めなさい」
は達成できなかったし
大学まで行かせたくれた親には申し訳ないけど



心の中では

私、奨学金を全額返還し終えました。
学費も生活費も自分で賄っています。
今はこれが私の精一杯です。
それで勘弁してください。
お願いします。


と心でお詫びをしています。
そうだよね。
大学を卒業して2年後にもう奨学金を返し終わったなんて言えないもんね。
30歳になったら全部返したと言います。



引越しやトラブルでお店は転々としたけど
ひとつの業界としては
【3年間勤めあげることを達成させたい】
というのが理由でもあります。



けれど残念。
お仕事をする度に
接客をする度に
私の目がだんだんと濁ってしまいました。

本当に大切な人にさえ愛想尽かされてしまう前に
私は私を取り戻したいと思いました。




まずは本名だと思います。

【お姉さん】【そっち】【源氏名】【嘘の本名】
【何故か自分に似ている芸能人やアニメのキャラクター】

私の名前をそんな風に呼ばないで。


いまは何人かのスタッフさんやお世話になっている先生には本名で呼んでもらえています。
この業界ではあまり良くないことなのかもしれないけれど


これがね、また、涙が出るほど嬉しいんですよ。
私だけでしょうか。



✅一緒の想いで、一緒に頑張ろう


学校でも職場でも、どんな場所にいても
「一緒に頑張ろう」と言ってくれる人がどうしてだろう、いなくなった気がします。

その代わり、頑張ろうじゃなくて頑張って言われる。
私よりずっとずっと大人に、そして年下にも。
特に職場で、帰り際に。



「頑張れ」ってさ
「皆、我慢して頑張っているんだよ」って
皆が上から言うの。

さよならの代わりに、吐き捨てるように。

別れ際の言葉にしては
安っぽい。
なんて薄くて軽い言葉しか言わないんだ。




相手と同じ目線と立場で、同じ想いで。
一緒に頑張ろうって言ってくれる人がいなくなったのは、なんて寂しいことだろう。

客との別れ際、エレベーターの中でそう言われると
まるで私の父に
「頑張れ」って言われているみたいで。
はやく風俗でお金を稼いで足を洗いなさいって。

そんなこと絶対言われないけど。

一体誰のせいで風俗で働いてると思っていると思ってるんだ!

って、思ったこともある、正直。

皮肉。

皆が互いに互いをアドバイスをしたがりたい。
突然、過去を語り諭すことで差を付けたい。


誰も求めていないのに。



同じ目線で、同じ立場で。
一緒に手を繋いで歩く姿を夢見ています。

それが、私が本当に好きなひとなんだろう。
大事なひとなんだろう。

「さよなら」に名残惜しさを感じられるひとなんだろう。




✅本当は誰よりも自分を甘やかしたい

私は人が好きではありません。

何それ厨二病みたい。
そんなこと言う人とは一緒にいません。

願わくば
私が好きなひと達とだけ一緒にいたくて
絵に描いたような幸せな毎日を夢見ています。



夢を現実にするために私は働きます。
業界は風俗。





けれど
働けば働くほど
目が濁って、曇って、幸せの本旨が見えなくなる。
自分も他人も全員が嫌いになる。


嫌いなんだけど。

だけどね、本当は
私は私が可愛いと思っている。

それは容姿や性格が、という意味ではなくて

自分の心を守りたい一心でそう思わざるを得なくなる。

乱暴されたら部屋まで駆けつけてくれるかもしれないけど

誰も自分の心までは守ってはくれないし、味方になってくれないから。


もう誰にも私の大切な体を触らせたくない。
私には私を抱き締めてくれる別の人がいる。

え、それすらないんだけど、客来ないよ今日。

そんな日もあるけど
お仕事が入れば必然的に性的接触が待っていますから。
嫌でも、触られますから。




どちらにしても苦痛は待ち受けている、このお仕事。

私は接客中にやりがいを見出せない人間です。
人に触り触られることが嫌いです。

残念ながら性的なことは好きなひととだけ、と思っており、お客さんに「こういうことが好きなの?」と聞かれても、「本当は、叶うならば、好きなひととだけしたい。したかった」と平気で言います。

凄く良くないんだろうけど、それだけは貫きます。




本当は愛想笑いも相槌も大嫌いで
学校でも家でもずっと真顔で
今後関わることが無いのなら誰にでも嫌われてもよくて



お金を貰う立場だよと言われ始めて
笑わざるを得ず
嫌でも手を繋がざるを得ず



当然、誰にも愚痴なんて吐けない。

こう見えても女の子なもんで
汚い言葉遣いができる場所なんてどこにも無いから
とりあえず泣くしかなくて
人によっては手首に傷を付けたり、薬を飲んだり

「嫌だ」とか「辞めたい」とお店の人に言い続けて
愛想尽かされそうになって...

でもやっぱり無理だ。
働かなきゃお金は得られない。


でも本当は「嫌だ。触るな」って蹴り飛ばしたい。

でもお金の為に働く。
誰がどう見ても矛盾でしかない。
ただ毎日、その繰り返し。

でもこの業界における営業努力だからって
過激な下着を着用することが偉いって言われても
私には出来ない、無理だ。

「そうだよ。それが普通の感覚なんだよ」
って友達は励ましてくれるものの
「ありがとう」と言って出勤すればいつもの光景。

うんざりする。


見たくもない。

誰が何と言おうと


私は私が可愛い。


その言葉の意味は
風俗のお仕事における【自己防衛】です。


本当は自分が可愛いなんて思えません。
このお仕事に携わる限りは、絶対に。


✅私は親から産まれたたったひとりの子

優しすぎるのかな。

たとえ望まれなくても
親から産まれたひとりの女の子を

この子は可愛いとか可愛くないとか
太ってるとか生意気だとか頭が悪いとか

そんな目で
そんな心で

他人と並べ、吟味し、選び、当たり外れで判断し
ギャンブルのように賭けて勝敗を決める者もいて




親から生まれたたったひとりの子の容姿を【好み】とか【タイプ】で大きく区分するなんて。
自分好みの女性を見つける為に検索だって出来てしまう。


それが風俗のシステムなんだって
働いていても尚、理解も納得もできず
だから
一刻も早くこの場所から抜け出さなければと思った。



私の髪の色も胸の大きさも喋り口調も
私の大切な個性の一部なんだって!!


好みに選ばれる為に生きてる訳じゃないんだって。


と働いていて
徐々に風俗業界のシステムが理解できてきたら

自分が置かれた状況に納得が出来なくなった。
そこでまた
「だってそういう仕事なんだもん。」のお決まりワード。


これじゃどうにもこうにも、誰にも相談できないね。


✅「貴女がいちばん可愛い」と言いたい

だからやっぱり

私にも将来、女の子の子供がいたら
そうでなくても大事なお友達でも
風俗なんて絶対やるもんじゃないよ!
って言っちゃいます、どうしても。

お金が必要なら
出稼ぎに行って必要な分だけ稼いで来いと言うだろう。



知らない人に顔も名前も覚えられぬまま
貴女自身が幸せになるために
札束だけ握って帰ってこい
と言うだろう。

けれどその前に
私は

他の誰でも無く
「貴女がいちばん可愛い」と言うだろう。

可愛い。
可愛くて仕方がない。

容姿、愛嬌、賢さ、エ ロさ、そんなもので
貴女自身の価値を勝手に決めるひとは人間ではない。
貴女や、私と同じ土俵に立つ人ではない。

身体に傷が付いていても、誰よりも可愛い。
上手く人と話せなくても誰よりも可愛い。

不器用でも
無愛想でも
潔癖症で他人に触るのが苦手でも
泣きながら接客したって
相手と目が合わなくても全然良いんだよ。


そんな貴女が誰よりも正しくて、可愛い。

業界のシステム上
勝手に優劣を付けられるだけ。


ずっと働いてきて
辞めたいと思った理由は

身体の劣化でも
金銭感覚の矯正でもない。

身体を売ることが悪いとは思わない。

問題はそこじゃない。





心が傷んでしまうから。
気持ちの痛みは体の不調に間違いなく影響します。


それを「スレた子」「メンヘラ」と言うひとがいます。
未経験の人を「新品」と好むひとがいます。

でもそんな「新鮮な商品」を限界まで痛め付けたのは
まだ何も知らない人の無垢な心を奪ったのは

一体誰なのでしょうか。



自分が嫌いになるくらいなら
一期一会のお客さんに傷付けられ、泣くくらいなら
仕事を辞めろ」と他人は言うけれど

この業界で働かざるを得ないひとに対しての
失礼極まりない言葉であります。

私は無限に続く性の苦痛を少しでも和らげるために
目標金額を達成した。
出稼ぎもお店の移り変わりもたくさん繰り返して
とにかくお金を稼ぐことがいちばん早いから。

綺麗事は言わない、稼いだもん勝ち。
今は本名を名乗らない別の自分なんだから。


私も貴女も
自分自身が幸せになることがいちばん大事。



このお仕事に携わった以上
本来なら
【やってみたら意外と慣れるし、素晴らしい仕事ですよ】
と言わなければならないのかもしれないが


言えない。


ただ違う言い方はできてしまう。
どんな世界なの?と聞かれたとしたら、私は

【風俗は、人生の学び場ですよ】

と言うだろう。

良い意味でも悪い意味でも。
いろんな事実を知っている、知ってしまっている。
私が生涯で知らなくて良かったことさえ、実際目にしたのだから全部事実だ。


そんなひとの目は本当に綺麗で、何よりも美しい宝だ。


私はそう思う。






私は【自分の正義】を優先して
目標を達成するまで、このお仕事を続けていきます。

一緒に頑張りましょう。
私は私を諦めない。

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