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ICFに適応した腰痛評価ツールって今までありました?(フィールドテスト編)

前回の記事で腰痛の評価ツールの開発についてお話し致しました。
今回は、”フィールドテスト編”ということで、そのツールが実際に使えるかというところで論文が書かれています。

2021年5月3日に公開されたデンマーク発の論文です。

はじめに
まず、腰痛は複雑な症状です。したがって、腰痛患者の評価と管理における心身・社会的に包括された患者中心のアプローチが推奨されます。包括的で患者中心のアプローチを促進するには、患者と医療専門家の両方の視点を得ることが必要であり、専門医視点での評価(ClinRO)と患者視点での評価(PRO)のツールを使用して解釈されることがよくあります。

PROは患者の視点を反映しているため、患者中心の医療を推進する上で重要な役割を果たす可能性がありますが、腰痛患者間の相談に直接使用されることはほとんどありません。一般的に使用される腰痛固有のPROツールには制限があり、腰痛患者にとって重要である環境要因に対応していません。

患者の完全かつ総合的な評価を得るために、心身・社会的な患者中心のアプローチをサポートできる、腰痛評価ツールが開発されました(前回の記事参考)。

目的
(1)PRO-LBPとClinRO-LBPの包括性と受容性を評価すること
(2)3か月後の腰痛評価ツールの運用が可能か評価することでした。

方法
適切に評価ツールを使用するために、以下の三つのステップが設けられました。

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指示→評価ツールを使ったコンサルタント(トライアウト)→フォローアップ会議

①Instruction(指示)
著者ら(2人)が評価実施者に説明を行いました。(1)リハビリテーションのフレームワークとして使用される心身・社会的なICFアプローチ、(2)腰痛評価ツールの背後にあるエビデンス、(3)患者中心のケアと個々の患者ケアのためのPRO評価、について。

②Tryout(評価ツールを使用した運用)
脊椎センターのクリニックに通う外来患者を対象に実施されました。全体的なテストは5か月続きました。

③Follow-up meeting(フォローアップ会議)
腰痛評価ツールの妥当性と使いやすさを評価するために、3か月後に医療専門家とのフィードバック会議が開催されました。

結果:
PRO-LBPとClinRO-LBPの包括性と受容性 ※LBP=腰痛

152人の患者のうち、95%(95%CI:90; 98)がPRO-LBPを包括的であると感じ、59%(95%CI:50; 66)が「非常に簡単」または「簡単に」完了できると感じました。平均完了時間は28分でした。ICFとの関連では、41の固有のICFカテゴリに正常にリンクされ、123との意味のある関連を示しました。55人の患者のうち33人は、痛みの項目がPRO-LBPの重要な部分でした。

結論
PRO-LBPとClinRO-LBPは、患者と医療専門家の観点から、包括的に腰痛を評価できることがわかりました。また、これらの評価ツールは、日常の臨床診療で使用するために患者と医療専門家に受け入れられることがわかりました。さらに、それは医療専門家が心身・社会的に患者中心のアプローチを可能としました。3か月後の実施の程度の低下は、医療専門家の促進と訓練への継続的な注意が、日常の臨床診療への新しい手順の実施を促進および維持するために重要であることを示しています。

まとめると・・・
患者目線の評価(PRO-LBP)と専門家目線(ClinRO-LBP)は包括的に腰痛患者さんを評価できますよって話でした。日常のクリニック診療でも評価出来るとのことです。ただ、3ヶ月のフォローアップでは少し評価漏れが目立つみたいですね。ICFに基づいた評価項目との関連も多くて、良い評価ツール見たいですね。

引用文献:
Charlotte Ibsen. et al: Assessment of functioning and disability in patients with low back pain – the low back pain assessment tool. Part 2: field-testing. Disability and rehabilitation. 2021

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ライター:Nobu
理学療法士:7年目。回復期病院から急性期病院での臨床を経験。
取得資格:循環認定理学療法士、呼吸療法認定士、糖尿病療養指導士

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