シャニマス短歌連作「物語と選択」

アイドルマスターシャイニーカラーズが6周年なので短歌を詠みました。28首あります。


ありがとう飛び立つためにゆっくりとひらく翼を信じてくれて


新しい信号の鮮やかな青 駆け出すように名前を呼んだ


永遠に光ってるから太陽は夜になっても誰かを照らす


鐘の音で始めてくれた愛として響かせている終わらない夢


油絵は雨に溶けないそれぞれに違う未来を選択しても


花を置く 魔法をくれた人がいて素敵な家に住んでいるんだ


月になり青い光を受け取ったいまなら見せられるクレーター


きみの編む世界にきみはいてくれて知らない歌も歌えてしまう


受け取った名刺は変身アイテムでムゲンに広がりはじめる一話


綺羅星に名前を呼ばれて振り返る きみにゆかりのある呼び方で


届かない光でドアをノックする伸ばされた手を掴めるように


芍薬に薔薇の香りを覚えれば蕾の中にある朧月


乾杯は互いに支え合うために缶コーヒーとカクテルグラス


これからも移ろっていく満ち欠けに同じ星座でいてくれるきみ


ランタンの明かりで照らせない部屋にやさしい明日が差しますように


炎とハリネズミ、大人じゃ選ばないようなリボンで特別にして


窮屈な雪を溶かせば海になり気泡は星を目指して踊る


絶対に見破られない(でもいつか解ける)魔法で世界を変える


散り散りの夢を貼り合わせて進むその手をあたたかく握れたら


それじゃないあれをやろうよ表にも裏にもならず飛んでいく駒


透明な水に溶けない瀝青のもう取り返しのつかない変化


教室の砂漠に落ちた針 糸を通すみたいに見つけてくれた


使わない色はいらない永遠にはじけ続ける明るい絵の具


取説に書いてなかった花束の受け取り方を隣から読む


ビニールの重みで痺れている指を想う あなたの手を取りながら


ひび割れた瓶から漏れる水滴を有象無象の薔薇に与える


何もない夜に今すぐ会いに来て 見えない人混みをかき分けて


飛び込んだ軌跡が虹になっていく羽ばたくように軽やかな筆

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