見出し画像

運用型広告の自動化により人が考えるべき仕事は広告素材とインサイトに

この記事では、獲得単価やROIをKPIとした運用型広告の運用でクリエイティブの重要性が何故より高まるのかを書きます。想定している広告媒体としてはGoogle、Facebook、Smartnews、LINE等です。

運用型広告の運用は労働集約型の仕事でもあるので、未経験者でも入りやすいです。しかし、自動化が進む中で運用者として生き残っていくためには本質的なマーケティング力を鍛えていく必要があるでしょう。

広告運用の4大要素

1.ターゲティング(例:誰に広告を表示するか?)

2.入札単価(例:広告1クリックいくらか?)

3.クリエイティブ(例:youtubeの動画広告等の広告素材)

4.ランディングページ(広告からの遷移先)

結論から言うと、各広告媒体の自動でのターゲティングや入札単価の調整機能が発展した結果、クリエイティブ制作やインサイト発見の重要性がますます高くなっています。

ターゲティングの自動化が凄い

ターゲティングとは誰に広告を表示するかというものです。ターゲティングの例としては、下記のようなものがあります。

Google等の検索ワードに連動したターゲティング(手動運用の華)

Facebook等の登録された年齢や性別に基づくターゲティング(デモグラ)

Facebook等の興味関心に基づくターゲティング

配信面指定でのターゲティング(例:Yahooトラベルに表示、小説家になろうに表示等)

リターゲティング(すでに商品ページに来たことのあるユーザーさんへの配信等)

デリターゲティング(既に商品購入済みのユーザーさんを配信対象から除外)

Broad(何も指定せず全員に配信するというターゲティング)

類似オーディエンス配信(既存顧客に類似したユーザーへの配信等が自動で出来てしまう恐ろしいターゲティング)

類似オーディエンス配信の性能が、FacebookやSmartnews等で発展した結果、ターゲティングは自動でやるのが一番強いという状況になりつつあります。これは、年齢・性別・興味関心等を主導で細かくターゲティングして配信対象を選定してく仕事の価値が低下するということです。

類似オーディエンス作成の考え方

①Facebook等の広告媒体上に既存顧客のID情報等をアップロード

②広告媒体はアップロードされたIDと自媒体で管理しているユーザーのIDを照合し、マッチしたユーザーのリスト(オーディエンス)を作る

③さらに②で作成したオーディエンスのユーザーの行動特徴と似たユーザーを抽出して類似オーディエンスを作成

例えば、アップロードしたユーザーのリストに20代のゲーム好きのユーザーが多ければ、類似オーディエンスは、アップロードされたリストには入っていない、その他の20代ゲーム好きユーザーが入るというイメージです。

これだけだと単純に思えますが、各広告媒体がそれぞれのユーザーにつけているタグ(属性)の数が多いため、人の頭で想像しにくいような切り分け方も生まれます。また、何よりも自動で類似したユーザーを出せてしまうという点が素晴らしいです。

こうして手動で自分の頭でターゲティングを試行錯誤することで差別化してきた運用者の価値は緩やかに低下していきます。

自動化に加えて、広告媒体側のベストプラクティス共有も運用者個人としての強みを薄くします。例えば、Facebook広告を一番知っているのはFacebookなので、Facebookが成功事例を公開することで、一運用者のターゲティング知識やノウハウの価値は薄まります。残るのは考える筋肉のみです。

入札単価調整も自動化が進む

もし広告運用の入札単価がクリック単価(CPC)だったら、獲得目標単価に合わせるためにCPCを調整し続ける必要があります。

例:目標獲得単価1000円、CVR(広告クリックからの獲得率)5%

この場合は、1000円*5%=50円が目標獲得単価以内で獲得するためのギリギリのCPCになります。CVRが5%ということは1CV(獲得)につき20クリックが必要なためです。

ところが入札単価についても、目標獲得単価(CPA)を設定することで自動で調整するロジックが発展してきたので、手動でCPCをチマチマ調整する需要が減りました。媒体のロジックに合わせて単価を調整することもありますが、入札の自動化により入札設定での差別化は難しくなっています。

獲得目的のクリエイティブが考えるべきこと

ターゲティングや入札の自動化が進んだため、クリエイティブの重要性がより重要になってきました。

クリエイティブの強さは二つの要素から成り立っています。

クリエイティブの強さ=①形式的要素の強さ×②心を揺さぶる力

強い広告2

形式論としては、スマホでは、動画も静止画も最初の数秒で目を引けなければすぐにスワイプされてしまう。有名芸能人が出たTVCMをそのままweb広告に持ってきても効果がイマイチなこともあります。それは、最初の数秒の重要性がTVとwebで違うからです。

形式として抑えるべき基本は、各媒体の担当者や代理店も把握している場合が多いです。

それなので、クリエイティブの中でも特に重要なのは、いかにして広告を見る人の心を揺さぶり、プロモーション対象商品へと導くかです。ここが広告運用全体の中でも最重要なポイントでしょう。話題になったとしても、顧客を獲得出来なければ広告としての役割を果たせません。

それなので、商品の利用につながるような心の揺さぶり方をする必要があります。

インサイトやユーザー心理を特定するためにはマーケターとしての力が必要になります。書籍等から顧客インサイトの考え方や事例について学ぶことで、広告のパフォーマンスを改善しやすくなります。

インサイトや訴求についての考え方は運用の4つ目の要素であるLPの改善でも必要になります。

広告素材もLPも、試行錯誤の中で数値を見て判断し改善していくものではありますが、ABテストで試すべきものが何なのかを決める過程でもマーケティング力が必要です。

広告運用者が学ぶべき5つのこと

①大枠のマーケティング理論や事例。

②各広告媒体の特徴やベストプラクティス

③広告素材のデザイン

④プロモーション対象商品の特徴

⑤消費者心理

広告訴求を考えるための推薦図書

広告運用の方法論学習のための参考書籍等

私は広告運用の仕事が好きです。自分の立てた仮説の結果が、数字で確認できるからです。しかし、自動化の進歩や、各広告媒体・代理店でのノウハウ蓄積により、個人としてターゲティングや設定面のスキルで差別化していくのは難しくなっていくと考えています。

運用型広告の経験をベースにマーケティングを俯瞰できるよう、より広い領域の知識と実践を積んでいきたいと思います。







サポートしていただけたら、もっと面白い体験を書けるように投資します!