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Eveさんの新曲「冒険録」のMVで制作した3D、BG紹介。

23年8月に公開されたEveさんの新曲「冒険録」のMVにて、「墓場の星」のコンセプトモデル、3Dステージ、BG作成を担当させていただきました。
最初のサビ付近で登場する場所ですね。

監督は擬態するメタのお二人です。



制作したものと、制作過程をいくつか紹介します。
掲載許可はいただいております。

「墓場の星」BG

まずは完成形から紹介します。

全て撮影処理前のものです。
3Dモデルを素材にして配置、それをPhotoshopでレタッチして仕上げました。
宇宙空は素材をいただけたのでそれを元に作っています。

ちなみにこの惑星は元々海底だった場所が干上がって露出している、という設定です。

「墓場の星」3Dモデル

blenderを使用しています。
この3Dモデルを素材にしてBGカットを作りました。

テクスチャは主に「Extreme Pbr Nexus」を使ってます。
僕の中では定番になりつつありますね。


遠景の処理はCGMAFIAさんのモデルを参考にさせていただきました。https://twitter.com/regiomu2/status/1590209515513065472

「墓場の星」の環境は月と同じなのでリアルに考えるとこんな風に遠景が霞んだりせず、陰影も今よりもっと濃くなるはずです。
なんですが、その辺りはパッと見の分かりやすさとイメージ優先ということになりました。

僕の作ったこのモデルを元に涌井嶺さんが3DCGパートを作ってくれました。

このシーンに限らず、どのような作業工程や監督たちとのやり取りを経て出来上がっていくかを間近で見られたのは勉強になりました。

特にアズマさんのコンポジット作業はすごかったですね。

担当カットがどんどん良くなっていく様子が見れて最高でした。
ありがとうございました。


「墓場の星」初期コンセプトモデル

巨大な卵など

初期に提出したイメージ案の一部です。
依頼があった段階ではコンテの絵や参考イラストはあったものの、美術ボードに相当するものは無かったのでそれを作るところから始めました。
最終的に3Dで納品するのは決まっていたのでコンセプトアートの段階から3Dで作り始めました。その方が作業時間の短縮になります。

監督との打ち合わせで出た要素を一旦全部盛り込んでます。
なので今見ると結構ゴチャゴチャしてますね。

最初は巨大生物の巣、という設定だったので卵がありました。
巣作りに周囲の岩や他の生物の骨を使っていて、中心には捕食された生物の骨が散乱してます。
遠景の石柱は柱状節理をイメージしてました(ラフにしても雑過ぎますが)。

ここからドンドン要素を整理していって最終的な完成形になりました。


巨大生物の初期案

ラフ案その1
ラフ案その2

遠景に見える巨大生物も初期案では2パターンありました。

その1はベーシックなクジラ的生物の骨格をしてます。
その2は甲殻類の要素を盛り込んだ複雑な形になっています。

最終的にはこの2パターンの要素を整理しつつ混ぜ合わせた形に落ち着きました。

最終形!


質感について

骨や地面の質感は監督と通話しながら調整していきました。
骨質感の変移は以下の通りです。

初期の質感
これに決定!

最後の方はかなり細かい数値の調整になっています。
こういったことの積み重ねで完成に近づきます。

紹介は以上となります。
ご覧いただきありがとうございました。


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以前公開したblenderの記事はこちら


「旅はに」の背景美術についての記事はこちら。


小学校で色々話した記事はこちら。