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本人の意思確認#1

こんにちは!
株式会社REGATEの金城です。

本日はとあるお客様からのややこしいご相談。

いつもnoteで登場する案件は人間に難ありなんですが、今回は案件にも難ありというか・・・やはり登場人物に難がある話です。

とある業者さんの一昔前にひと悶着あった案件ですが、もう当人たちも忘れているだろうからそろそろnoteにしてみますw

と言いつつも架空のお話なのでいつものようにお楽しみください。

ではど〜ぞ〜


◆人助け?


トゥルルー・トゥルルー・トゥルルー・・・・

「はい!株式会社REGATEの金城です!」
「あの〜すみません。堀内と申します。少しご相談をしたいのですがよろしいでしょうか?」
「はい!どういった御用件でしょうか?」



「うちの母を助けて欲しいんです」


・・・へ?助ける?


「はい、なんか昨日のお昼過ぎから連絡が取れなくなって・・・」

あの〜うちは不動産屋でして、警察ではないんだけどな〜・・・
でもなんだろう?ドロドロの空気がプンプンする。めちゃくちゃ楽しそうwww
不動産屋としての探求心(好奇心)が止まらない。


「はい。どういった状況でしょうか?弊社がお手伝いできることなら」

「ありがとうございます。母から私と兄に“実家を売ってほしいから調べてくれ”と相談を受けていたんですが、そこで査定をしにきた不動産屋さんが母親を言いくるめて強引に契約を済ませたみたいなんです。」

・・・。




話が早すぎてよく理解できない。
査定をしてたら契約しちゃった?ワンルーム屋じゃあるまいし、査定したその日に契約をするなんてできるの?
でも契約しちゃったんでしょ?

「実家は〇〇市の△□にあって、素人目にもかなりの好立地だと思います。仏壇のある古屋があるんですけど、これまでにもたくさんの不動産屋さんに売ってくれって訪問されていたんです」

〇〇市△□。。。沖縄の中でも最高の一等地だ。強引な輩が食いつくのもわからなくない。

「査定を依頼した翌日の朝に母と弟と不動産屋さんの担当が面会して、母が”その金額なら売ってもいいかも”って言ったら『すぐに契約書を持ってきます』って言って、夕方にそこの社長と一緒に押しかけてきたんです。」

ほほう・・・なかなかいいスピード感で仕事をする同業者だな。
かなり破格の値段だったんだろう。

「そして、私が『まだ売るとは決めていないので』って一旦帰したんですね。兄とも相談しないといけないし。」

うん、まあ、ありがちだ。
その日ですぐに売買契約までいくケースはなかなかないもんな

「そしたらその不動産屋さんがその日、私が帰ったあとに21時くらいに弟を連れて再度訪問してきたらしくて、そのまま契約書にサインをさせたらしいんです」

おぉ。なかなか気合入っている営業だなw
夕方に社長同席でドタキャンされて思いっきり詰められたんかな?なんか目に浮かぶ・・・

「そしてそのまま手付金も渡されて、『これで契約成立なので後日司法書士と面談』って言われて・・・」

ほぉ〜。なかなかのスピード感。と強引さ。見習うべきところはある。
感心感心。。。。

というかその状態で俺は出る幕ないじゃん・・・w
自宅で契約しているし、契約成立しちゃってるし・・・



◆民事不介入



「この事を昨日の朝に聞かされてびっくりしてて・・・不動産の契約ってこんなに強引に進めていいんですか?まだ相談していただけなので契約を取り消してくださいって言ったら『では手付金の倍返しですね。800万円払えますか?』って言われちゃって、、、、クーリングオフとかできないんでしょうか?」


う〜ん。売主が宅建業者であればね。。。売主さんはお母さんだしクーリングオフは難しいかな。
と言うか弟さんも同席していて親族の同席の上で契約を行いましたからって言われかねない・・・


「あと、昨日のお昼過ぎから母が施設から居なくなっていて、聞いてみたら施設の人は『弟さんが一週間の外出許可を取って出ていきました』って。」


え?え?
なんかいきなり急展開www
施設???

ていうかさっきからお母さんいいように操られすぎじゃない?
あと同席している弟は何の役にも立っていないやないかwww

情報が渋滞していて全体の把握がwww



「堀内さん。少し待ってください。ご実家での契約じゃないんですか?施設ってお母さんが入っている施設?あと、弟さんってどんな人なんですか?」

「あ、説明不足でしたね、すみません。母は少し痴呆の症状が出てきていて数年前から施設に入所していて、その施設は老人介護の施設です。今のところ要介護の判定が無いのですぐに外泊許可が出たんだと思います。
あと、今回の不動産屋さんの事を母が気に入っちゃって、その人の言うことを全部真に受けてしまう感じでした。コントロールされているというか・・・弟は借金があってお金に困っているので母に実家を売らせて、そのお金を目当てに動いているんだと思うんです。」


施設。痴呆。反対する家族。売りたい弟。買いたい不動産屋。追い込まれている営業マン。。。。
なるほど。何かが見えてきた気がする。

でも21時過ぎに施設に行って強引に契約とかできるのか?
あと、契約後に行方をくらませるとかやる事がえぐくない?www


「堀内さん。おそらくですけど、弟さんは完全にあっちの味方ですね。あと、現状ではクーリングオフは不可能だと思います。また、解除する場合は向こうに言われているように手付け解除になる可能性は高いです。
ただ、お母さんが痴呆気味ということなので、引き渡し前の司法書士の本人確認で引っかかって契約の無効を主張できるかもしれません。お母さんの痴呆症の状態にもよりますが。。。」

「そうなんですか。警察にも朝から母がいないって通報したのに弟が一緒なんでしょ?って言われて。弟が一緒にいるなら誘拐とかには当たらないって言われて。。。弟は携帯で連絡が取れるんですが、どこにいるかは教えてくれないんです」

警察??ww
もうどんどん新しい情報が溢れてくるなw

でも、警察は、、、まあそうだよな。拉致ったのが弟で母親も素直に同行したなら事件性が無いしな・・・弟が連絡取れちゃっているから拉致監禁の恐れもないし民事不介入というとこか。
にしても弟も電話に出るけど居場所を教えないとかやるな〜。いっそ電話も出ないとかなら捜索願いが出せるのに。
この様子だと母親に電話口を代わってって言われたら素直に対応しているんだろうな。
これもこの不動産屋が裏で操っているのかもな〜。なかなかヤバい橋を渡る人たちだなw

これはマジで司法書士の良心にかけるしかないかも。。。
でもここまで強引にやる奴らが依頼する司法書士だし、ちゃんとした本人確認とかやらない可能性が高いか。

「堀内さん。とりあえず現況を聞く限りでは売買をひっくり返すのはちょっと難しいかもしれないと言うのが本音です。違法性があるのかとか、いろんな情報がありすぎるので整理しないと何とも言い難いです・・・
お母さんの状態とか登記簿とかも見ないとなんとも言えませんけど・・・」

「そうなんですか・・・一度金城さんにご相談したいと思っていたので、急ですが今からお伺いしてもよろしいでしょうか?」

お?今日は時間があるし大歓迎です♪
なんか面白そうだしwww

「はい!今日は時間が空いていますので大丈夫ですよ!」



◆本人の意思確認



カランコロ〜ン♪
エントランスのドアが開き、二名の男女が立っている。

「突然すみません。先ほどお電話した堀内です。あ、こちらは兄です」
「内藤です。よろしくお願いします」

堀内さんは結婚して姓が変わったらしい。
旧姓はお兄さんと同じ内藤とのこと(当たり前かw)

礼儀正しいご兄妹という印象。
仕草を見てると頭がきれて仕事が出来そうなお兄さんだ。

お兄さんはハキハキと喋る好印象なエリートという感じ。
「すみません。急に来ちゃって。金城さんのことは前からHPとかを読んでて一度お会いしたかったんですw
それで妹にまずは相談するなら金城さんにって話してたんですね。
こんなややこしい相談じゃなくて普通にお会いしたかったですがw」

お兄さんは私のnoteとかHPのコラムとかを読んでいるらしい。それで今回の件をきっかけに妹さんに私を紹介したという事か。
嬉しいじゃないか。

「いえいえ、あんな変なの読んでくれて有難うございますw」

HPのコラムとかを読んでいてもらえていると知るだけで不思議と親近感が湧く。できるだけ力になってあげないとな♪






「あと、Twitterも見ています」

あ・・・やっぱり距離を置かないといけないかも・・・
お兄さんのその笑顔が『お前の恥ずかしいところも見ているんだぜwww』という牽制球に見えてきた・・・

一瞬で警戒感マックスになった私をよそにお兄さんは話を進める。

「早速本題ですが現況でわかる範囲で状況をおさらいさせていただきます」

朝の電話で堀内さんから聞いた内容を紙に書き出しながら時系列をまとめていく。


一通り整理してみたがやっぱり契約解除は難しそうだ。
関係ないが私のTwitterへの警戒感もまだ解けない。。。

「やっぱり難しいですか。でも痴呆の親から無理やりもらったサインって有効なんでしょうか?夜の21時に押し掛けるとか非常識じゃないですか?」
「ええ、でもここは本人の意思確認次第としか言えません。痴呆症の症状がどの程度のものかを判断するんですが、司法書士の面談でご本人が正常な判断をしているとみなされるかどうかにかかっていると思います。
悪い業者や悪い司法書士だと重度の障害を持っていたとしても『本人の意思確認ができた』っていって無理やり進めることもありますけど・・・あと、21時に施設に押し掛けた契約が有効かどうかについても、お母さんと弟さんが自ら招き入れたという事であれば有効になる可能性が高いんです。」

うちがいつも使う司法書士事務所だったら絶対に本人の意思確認で引っかかるはずだけど、今回の買い手の業者が連れてくるような司法書士だとマジでどっちに転ぶかわからんw

「あ、ちなみにその不動産屋さんってどちらの業者さんです?」
「すみません。横文字で覚えてないですね。名刺もらっていない?」

お兄さんに促されて名刺を探す堀内さん。

「あ。ありました。営業の人の分と社長さんの分」


堀内さんが名刺を差し出す。

スクエアエステート株式会社。

この営業女性やんw
もう後から出てくる追加情報多すぎwww

てっきりイケイケのテカテカのオラオラのおっさんが出てくると思っていたのにな、イケイケのテカテカのオラオラ女性かもしれんけどwww

スクエアさんか。
昔は勢いがあって離島とかにも支店を急拡大していたけど、最近は一気に萎んだ印象だったな。
昔は良かったけど社内の統制が取れてなくて、なんか営業マンがどんどん辞めちゃったって聞くし。
まあ不動産屋さんあるあるだよね。人が辞めたせいでおかしくなるのは・・・


でも正直なところ今の状態で私がしゃしゃり出る幕はない。
あくまでもお母さんの物件をお母さんが契約して手付金も貰っちゃっているし。少し強引ではあるけど、これをひっくり返すのは結構至難の業かも。

できるとしたら手付けの倍返しをしてその損失分以上に高く売ってあげることくらいかな。

それもスクエアに所有権移転をされちゃうと使えなくなるか。。。
意思能力のない契約としての錯誤無効なら第三者にも対抗できた気もするが。。。
う〜ん。なんとかして力になりたいけどな・・・

何かのヒントが無いかお兄さんが持ってきてくれた登記簿謄本を見てみる。

平成10年 相続
名義人 内藤文子

所有権移転を妨げる抵当権や仮登記なし。
こんな時に限ってきれいな乙区。。。

「お母さんのお名前は?」
「内藤アヤコって言います」

・・・う~ん。
せめて抵当権とかが付いていたら抹消準備とかを手間取らせて時間稼ぎができたかもしれないのに。。。

身内とか遠い従兄弟とか言って同席して話を聞きながらいちゃもん付けることもできるけど、弟さんがあっちに付いているからその嘘もつけないし・・・

やっぱり司法書士の良心にかけるしか無いのか・・・


そんなことをしていたら堀内さんに着信。
「弟からだ・・・」

目線で出るように促す。

「はい。もしもし。」


「え?え?本人確認?私とお兄ちゃんと?うん。うん。あ、ちょっと待ってね。すぐに折り返すから」


「なんか本人確認のために一緒に来いって。私もお兄ちゃんも」


???
なんでお母さんの意思確認に子供達も???


ん?

あ、もしかして・・・・


今回も長くなったので続きは次回。
では〜


次回予告
Twitterはどこまで見られたのか?
裏垢までバレちゃっているか?
大逆転はあるのか?

こうご期待♪

↓次回
本人の意思確認#2


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!