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本人の意思確認#2

前回からの続きです。
まだの方はそちらを先にお読みください

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本人の意思確認#1


◆多分大丈夫


「なんだろう?急に来てって言われても・・・もう時間ないし」

不安そうな堀内さんと内藤さん。

少し確認しておくか。

「再度確認です。お母さまのお名前はなんて言いますか?」
「アヤコです」

「ちなみにお父さまはお亡くなりになられてます?」
「はい。もう10年前には他界しています」

「お祖母さんが亡くなられたのは?」
「え~っと親父が死ぬちょっと前だったかな?」

「お祖父さんは?」
「もっと前なのでもう20年くらい前かな」

「お父さんにご兄弟は?」
「親父は一人っ子でした」

よし。

「多分、私の考えが正しければ問題は解決すると思います。
説明すると長くなるので、また後日来てもらえますか?」
「え?大丈夫なんですか?」

「はい。恐らくお二人の署名押印が無いと何もできない状態なんだと思います。なのでサインを求められても『今はできないから持ち帰る』と言って突っぱねてください」
「はぁ。本当に大丈夫なんでしょうか?」
「お母さまへ二人から説得されるのを避けて、どこかのホテルに逃げたのに今さら呼び出すという事は恐らくそういう事だと思うので」
「わかりました。よくわかりませんがとりあえず行ってみます」

二人は不安そうに事務所を後にした。


◆棚ぼた案件



翌日、再度二人で来店。
用意周到なお兄さんはスマホのボイスレコーダー機能をオンにして一部始終を録音していたらしい。

「録音は万が一訴訟とかになった時に証拠になると思ったものですからw
でも金城さんが言うようにサインを断ってたら話が勝手に全部壊れましたよ。アドバイスありがとうございます。」
「とんでもないです。私は話を聞いてサインをしないでくださいと言っただけですからw」
「いえいえ。でも実家を売る話は継続するので是非金城さんにお願いしたいと思っています。弟にも話してきましたが、売却後にちゃんと弟の取り分も用意すると伝えていますし、あいつはお金が入るなら誰に売っても構わないというのが本音でしたから」

契約書を見せてもらったがスクエアエステートが提示して契約しようとした金額はかなり足元を見た破格の値段。
後々手付倍返しを求められても余裕で取りかえせるだけの金額で売る事ができるという判断だったが、スクエアとの契約は手付の倍返しもすることなく解除ができた。
その後、適正価格で知り合いの買取業者に買い取ってもらい、ちゃんとした手続きで引き渡しまで完了した。

ちなみにお母さんの痴呆症は重度のものではなく意思確認の段階で後見人などが不要だと判明。
本当にいろんな偶然が重なってきた棚ぼた案件となった。


〜〜〜エピローグ〜〜〜

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沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!