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SHIMZ NEXT 事務局インタビュー「建設業の強みを生かしたグローバルな事業育成を恒常化させる取り組み」

HP:https://shimz.regacy-innovation.com/

SHIMZ NEXT 事務局

「清水建設アクセラレータープログラム」(以降、SHIMZ NEXT)を推進し、本プログラムを統括する環境エネルギー・BLC推進部長の笠井、事務局のリーダーとして同部でカーボンニュートラル・エネルギー新技術推進グループ長の加藤が語る、始動に至った経緯や目指しているビジョン、特色とは何だろうか。

2016年のロンドン、カーボンニュートラル関連のイノベーションへの注目が世界的に高まる中、コーポレート企画室駐在員事務所長として赴任した加藤。先端的な技術を扱うスタートアップが起点となってESGの視点でオープンイノベーションの事業創造を推し進める気運の高まりを感じ、競争が激化する建設業界で顧客ニーズにより早く対応していく可能性を探ることができるのではないかと考え、現地のスタートアップとのコミュニケーションに注力していった。


建築総本部 建築企画室 環境エネルギー・BLC推進部
カーボンニュートラル・エネルギー新技術推進グループ 
グループ長 加藤

加藤
3年半の在任期間中にグローバルな協業事案を創出し、この経験から新たな価値創造に自社だけで取り組む場合には、どうしても時間的な制約があるということを痛感しました。近年、建設業のお客様のニーズは多様化し、デジタル×建設、エネルギー×建設といった掛け算の提案が必要になっていると感じます。デジタルやエネルギーの先端領域の技術開発は、建設会社よりも、専門的に取り組む外部イノベーターによって先行して進められているため、顧客ニーズをタイムリーに満たすには彼らと協業するのが非常に効率的であることを実感しました。
帰国後、当社でもコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の投資枠や、豊洲スマートシティなどの共創プロジェクトが始まり、「スタートアップとの協業によって技術開発を進めていくことで、新たな展開を生み出すことができるのではないか」という考えへの確信が深まったため、今回のアクセラレータープログラムを提案するに至りました。
当社の持っている建築・土木の技術、ノウハウなどのアセットに、スターアップの先端テクノロジーやビジネスモデルを掛け合わせることで大きな価値を生み出し、当社が提供できる以上のアイデアが膨らむ可能性が大きいと考えています。


写真右
建築総本部 建築企画室 環境エネルギー・BLC推進部 
部長 笠井

笠井
手前みそですが、当社には幅広く優秀な人財が揃っており、今までの新技術開発では、まず社内の人財で進めることが多かったと思います。しかし、それでは時間を要することも多く、近年のカーボンニュートラルに向けた取り組みなど、社会ニーズの急激な変化について行けなくなって来ていると感じていました。
そのようなタイミングで、加藤から、このアクセラレータープログラムでスタートアップと協働することにより、新しい技術や事業を育てていかないかという提案を受けました。まさにこれだと(笑)。
その後、上職を含む関係者と議論をする中で、イベントとして単発で取り組むのではなく、恒常的な仕組みを構築するべきだという結論に至りました。「当社は常に、お客様に提案するための技術やノウハウを増やす活動を行っている。だからこそ、一度手掛けたものは、結果が出るまで育んでいく。」という今回のアクセラレータープログラムは、そうした恒久的な仕組みにしたいと思います。

加藤
今後アクセラレータープログラムで実証していく事業の中には、うまくいかないものも出てくると想定していますが、一連の活動から、そういったものを取捨選択するメソッドを確立したいと考えています。また、お客様や社会のニーズに応えられるようにするために、すぐ実行に移せる事業の種を、会社としていくつも持っておくべきだと考えています。


「つくろう、その先へ。~建築からの、新しい価値創造~」をビジョンに

本プログラムが目指すビジョン「つくろう、その先へ。 ~建築からの、新しい価値創造~」という言葉にはどのような思いが込められているのだろうか。

事務局 棚橋
SHIMZ NEXTのビジョンには、建設業としての当社の役割を踏まえて、保有する多様なアセットと新技術の掛け合わせから生まれるイノベーションの重要性と、そこに宿るものづくりのワクワク感に共感してくれるパートナーと共に事業化へ取り組んでいきたいという気持ちを表現しました。
「つくろう、その先へ。」という言葉には未来へ向かって進んでいくイメージと、外部イノベーターの方々と共に多様化するお客様と社会のニーズに応えていきたいという想いを込めました。


刻々と変化する社会ニーズに応えるための7つのテーマ

本プログラムでは、お客様と社会のニーズに恒常的に応えていくために、「建設・まちづくり」「レジリエンス」「環境・エネルギー」というカテゴリーをもとに、以下の7つのテーマで募集が行われる。

加藤
協業において提供できるアセットは、当社が保有し、賃貸運営を行っている不動産などが挙げられます。具体的には、当社の組織が部門横断的につくり上げた豊洲スマートスマートシティの一部や、2023年秋にオープン予定の潮見イノベーションセンターなどあり、その他にも、全国で800カ所以上稼働している施工中の現場や、218年の歴史のなかで培ってきた顧客網などが実証の場として検討できます。
笠井
テーマは7つ提示していますが、違うテーマに応募しても全く構いません。最終的に当初の構想とは違ったものができあがってもいいと考えています。


グローバルな視点を持ち、単発で終わらせない事業創出の仕組みを検討

他とは異なる、応募者に打ち出したい協業メリットとは何か。

加藤
SHIMZ NEXTでは、海外の先端技術を取り込めるような仕組みをつくっていきたいと思っています。私は、海外の技術開発は日本国内の5年先を行っていると感じており、海外のイノベーターを取り込むことが、厳しい環境下にある建設業界での競争を打ち破るカギになると考えています。
2023年2月末に東京国際フォーラムで開催される「City-Tech.Tokyo」への共同出展もメリットの一つです。
また、当社が持つCVCの投資枠の活用や共同事業の検討など、実証を単発で終わらせないさまざまな共創関係を築いていける可能性があります。

事務局 棚橋
また、事務局のメンバーが所属する部署も多岐に渡っているため、さまざまな視点から事業が検討できると考えています。意欲のあるメンバーが部門を問わず連携し、全社の知見を元に一つの事業を成功へと導いていく体制を整えることで、社内外での動きを活発化させていきたいと考えています。


スタートアップと共にゼネコンの枠にとらわれない事業を創出、スピード感を持って育成する活動を目指す

SHIMZ NEXTでは、メンバーが部門を横断して関わっている。それぞれの担当分野から見た、外部との協業に対する期待感や意識しているポイントは何だろうか。

写真左端から
営業総本部 街づくり推進室 プロジェクト営業部1部 黒川
営業総本部 街づくり推進室 プロジェクト営業部2部 室屋
投資開発本部 プロジェクト推進一部 栩木
投資開発本部 プロジェクト推進一部 荻原
スマートシティ推進室 次世代都市モデル開発部 大村

室屋
私は「街づくり推進室」という部署で、お客様へまちづくりに関するご提案をしているのですが、お客様と接する中で、ニーズや当社に期待されている提案内容が変わってきているのを感じています。変化のスピードは日に日に加速しており、当社だけで対応するのは難しいため、外部のイノベーターの力をお借りして、スピーディに対応していきたいです。

黒川
営業総本部の「街づくり推進室」に所属しています。スタートアップ企業などと共同でまちづくりの提案をさせていただくことはありますが、どうしても個別提案にとどまってしまい、連携を継続できていない現状があります。本プログラムでは企業の枠を取り払い、今までにない価値を一緒に生み出せる自由な発想を持った外部イノベーターと、一つのチームとして継続的に取り組みたいです。

大村
豊洲スマートシティの推進と全国展開を担当する中で、いくつかのベンチャー企業の方々とやり取りしていますが、自分たちの組織のみでは議論が狭まってしまうのが課題となっています。今回はさまざまな部署、事業部から集まったチームを組んでいます。部門横断的なつながりによって広い視野で意見を交わす場に外部イノベーターの方々も加わることで、積極的にこれまでにない提案をしていきたいと考えています。
また、スマートシティではエネルギーや交通、防災、観光など多岐にわたる分野を扱っています。今回の取り組みは、ジャンルの垣根を越えて課題を解決するポテンシャルがあると考えていますので、ハードとソフトの両面でアイデアを募集できればと思っています。

荻原
私は不動産開発の部署に所属していますが、コロナ禍の影響で世の中の働き方が大きく変わっている中で、オフィスや物流施設などの賃貸物件に求められるスペックも急激に変化していると感じています。それらのニーズにスピード感を持って的確に対応するため、スタートアップ企業の方々と協業して知見を取り込むことで、リーシング(※)への訴求力を高めていければと考えています。
※リーシング:商業用不動産の賃貸を支援する業務。賃貸借取引の仲介やマーケティング、テナント構成や賃貸条件の設計・調整など、収益性を確保するためのサービスを含む。

栩木
投資開発本部では賃貸事業を手掛けています。入居いただいているテナント様に喜ばれるサービスや技術の提案だけでなく、賃貸物件を管理運営しているグループ会社にも新しい風を吹き込んでいける意気込みのある方々と共に不動産分野でのDXに取り組んでいきたいです。
社外の方々との新しい取り組みは、イノベーションを目指す当社にとって必要なことだと思います。さまざまな技術を持ち、マインドの高い方々と出会えるのを期待しています。

ぜひ、皆さまのアイデアあふれるご応募をお待ちしています。

HP:https://shimz.regacy-innovation.com/
説明会申し込み:https://shimz-next.peatix.com 

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