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恐竜、ゾンビ映画に関する浅い考察

 アメリカ人は恐竜とゾンビが大好きだ。これを題材にしたテレビドラマや映画はどのくらいあるのだろう。

 「ジュラシックパーク」は1990年に発行されたマイケル・クライトンのSF小説で、3年後にはスピルバーグにより映画化され、史上最高の興行収入を上げ、世界中で大ヒットする。この映画の凄いところは、恐竜が生息していた頃に琥珀の中に入ってしまった蚊の血液(こいつは恐竜の血を吸っていた)から恐竜のDNAを取り出し、遺伝子操作により現代に恐竜を再生させるという展開にあった。恐竜が今の時代に飛び出してくる映画を真面目に作るには、核実験で生まれたゴジラのように何かしら登場理由を世間に説明しなくてはならない。なんとなくありそうかなと思わせた点が勝因だった。
 当時まだ駆け出しのコンピューターグラフィックスをターミネーターと共に一気にメジャーに押し上げた映画としても歴史に名を遺す。
 あの恐竜たちの映像を見た瞬間の驚きは多くの皆さんが覚えておいでと推察する。この後続編は次々と登場しており、CGもすっかり腕を上げている。
 因みにDNAの再生に必要なDNA断片は約100万年しか持たないようで、恐竜の絶滅が約6500万年前だとすると、再生は不可能という説もある。

 ゾンビ映画は気持ちが悪いから見ないという方も多いと思う。私もその一人である。ホラー映画は「リング」を見て腰を抜かして以来、基本的に避けて通る。しかし、「ウォーキングデッド」というTVドラマの評価が異様に高くて、まさに怖い物見たさで見てみた。ホラーでもあるのだが、極地に追い込まれ絶望の淵に立った人間たちのドラマは、結局一番怖いのは人間だなと感じさせる名作であった。
 死人が生き返るという伝承はハイチにあり、既に1920年代にはアメリカに入って来た。ゾンビ映画が脚光を浴びたのは、1968年のジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト オブ ザ リビングデッド」と「ゾンビ」であった。この後ゾンビ映画は世界中で今もなお製作され続ける。
 私はゾンビは大発明であると考える。人は古代から暴力や残虐な行為を繰り返してきた。徐々に残酷なシーンや暴力は一般大衆向けのメディアでは敬遠されるようになってきた。それは動物に対しても同じである。ところがゾンビはそもそもが死体である。残虐なシーンや暴力をひとえに引き受けてくれる。見ている方の心もそれほど痛まない。仲間や家族がゾンビになってしまい、襲ってくることもあるが、それはまた心がざわつく物語を生み出す。相手がゾンビでも残酷なシーンには違いないのだが。

 かつては地球上に存在した恐竜、たぶん実存はしてないだろうゾンビ、エンターティメントは次にどんなものを出してくるか楽しみだ。

【REG's Diary   たぶれ落窪草紙   2月26日(月)】
 

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