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”微生物資材の効果が薄いと感じる”それはどうやら微生物へのマーケティングの問題。

前回に引き続き”麹菌、納豆菌、乳酸菌は最強なのか”という疑問を
足がかりに書いてゆきたいと思います。

リフォレスター実験から微生物資材、
特に植物の硬い繊維が大好きというカルスーNCRの観察を
してきているのですが、
カルス自体何の微生物を使っているかは公表されていません。
人伝てに乳酸菌が含まれていることは教えてもらいましたが、
麹菌が含まれているとわかったのは実験の過程からでした。

過去の経験でカルス以外のいわゆる土壌改良微生物については
私は全く成果が出せず、微生物を特定する手段や知識がなかったので
良いとも悪いとも評価することができません。
なので、私が話せるもの、
ここでは”麹菌、納豆菌、乳酸菌”をまとめて”麹菌”と書かせていただき、
鶏糞に含まれる微生物を”鶏糞菌”とさせていただき、
この麹菌と鶏糞菌のものすごくざっくりとした括りで
話を進めたいと思います。

微生物は何もしなければ地下深くに潜りがち

さて、リフォレスター実験でリフォレストした土や植えた植物の状態を
観察していて気づいたことを図にしてみたので、
この図を見ながら解説します。
といっても見たままなんですが。
結論から言えば、微生物は土の中で満遍なく存在するのではなく、
下に向かって移動する性質があるようなんです。

リフォレスター内の微生物の動き

”性質”というのは違うな。
リフォレスターでリフォレスト中の微生物は箱の中で
おおむね週に1回攪拌しますし、水分も余程乾燥しない限り足さないので
結果、満遍なく土の中に存在しています。(左上の図)

しかし、植物を植え、土に水やりをすると
水に引っ張られて一緒に下に流れて行きがちのようなんです。
図では右上と右下がその略図になります。

 この図の証明は、不耕起にしていた鉢の土には
米糠リカバリーで微生物がほぼいなくなっていたことでもわかります。

このことから、たと麹菌が最強でも相性のいい鶏糞菌と一緒でも
雨が降れば素直にどんどん地中深く落ちていってしまうことがわかります。

微生物が鉢の中に残るのはどういう場合か?


それが、苗植えの植物を植えた鉢では、
収穫後の米糠リカバーでもカルスを足す必要がないほどの微生物が
残っているんです。左下の図ですね。

それは、微生物が流れてしまう前に
根のおかげで下に流れずにとどまることができるようなんです。
そして、根の周りに止まった微生物は
根の周りで都度更新される根の垢のような角質っぽいものを餌にしながら
根の周りの環境を整えることに一役買うようなのです。
乳酸菌が含まれているだけあって、
まるで腸内細菌と同じようなナイスな働きです!

その結果、青枯病でも枯れ切らず、12月に入っても成長し続ける
それはそれでよくわからないことになる。
良いことではあるんですが、この12月までの奇跡にはタネがあって、
それがリフォレストした土を何度も追い足ししていたからなんですね。

土の追い足しは微生物を足すことだけが目的じゃない

リフォレスターでリフォレスト、つまり野菜くずなどで育てた土には
微生物による分解で養分が足され、
目では確認しづらくなってはいるものの
未分解の植物の繊維が多く含まれています。
また、植物を植える際には、
敷き藁の代わりに使い古しの簾を切ったものを撒いてあります。
追い足しする土は簾の上に被せるので、
土を足した時点から簾は微生物の餌として分解される植物の繊維に
役割が変わります。
足した土に含まれる微生物は水やりの際に下に流れてしまいますが、
今度は簾がストッパーとなって、流れ出てしまう期間を遅らせてくれる
というわけです。
初夏に苗を守った簾を後半では微生物の餌として活用する。
我ながら無駄のない、なかなかの戦略!

畑の微生物資材の効きが感じられないのは、
微生物への集客の戦略がうまくいってないからなのでは?

ここで、また畑作の菜花の話ですが、
仮に、微生物が雨水によって地下へ潜りがちなのだとすれば、
なぜ菜花の根や葉に乳酸菌が多く付着するのか。
そこを疑問に思われるのではないかと思います。

考えられる理由は2つ。
一つは水によって地中へ流れるといっても、
何メーターも潜るというわけではなく、
おそらく1シーズン数十センチ程度の沈み込みであること。

もう一つは、菜花の種を植える前には畑を掘り起こし、
土を攪拌して、潜った有用な乳酸菌などの微生物を
地上に引き戻しているからなのだと思います。
「ちゃんと畑を耕せよ」という、先人の教えには、
体験的に掘り起こした方が植物が良く育つという「見える結果」があり、
その裏側には、土の中の微生物を畑の表面に引き戻すという
見えない理由があったのですね。
うん、感慨深い。

では、この時、もっと微生物を増やしたいからと
微生物資材を畑に撒き、化成肥料や石灰も混ぜ込んだとして
果たしてそれは正解なのか、私は疑問に思います。

なぜなら、微生物資材を使う場合、
同時に微生物の餌となるものを入れなければ
微生物が増えることはほぼあり得ないからです。

微生物にとって化成肥料は食料ではないですから、
一緒に撒かれたとしても、意味はないんです。
むしろ、微生物的にはその畑地は砂漠となんら変わりありません。
何せ、食べものがないんですから。

時々風に吹かれて飛んでくる落ち葉や植物編を齧って
飢えをしのぎたいけど、地上に出られるわけではないので、食べられない。
それでも、雨や雪の力を借りてちょっとでも地中に埋まってくれれば
なんとかならなくもないけど、
マルチで覆われたりしたら、
そこはもう我がデスベランダにも等しい過酷な環境でしかありません。

せっかくの微生物資材も菜花の成長を待つ前に
多くが土深く沈み込むか、消えてしまうかするのは想像に難くありません。

つまり、畑に微生物を多く住まわせるためには、
微生物向けの正しいマーケティングと、
集客のための戦略が必要なのではないかと思う
のです。

ちなみに、今週はリフォレスターにどんぐりを入れましたが、
これはどんぐりを粒のまま”あく抜きする”実験の検証後に
料理して食べるために取っておいたので、冷蔵庫を圧迫するし、
縄文食の再検証実験の時間が取れそうもないので、
昨年のものはリフォレスターで微生物に食わせることにしました。
縄文の食べ方については、過去すでに一度実験、検証済みで
どんぐりクッキーとかにしなくても、
ちゃんと美味しいものができることはわかっているので、
機会があればまた今年の秋にでもやればいいやと思ったのです。

どんぐりは土づくりに有用ですし、
今回入れたどんぐりはすでに渋抜き済みなので分解も早いと思います。

そう、我が家のリフォレスターは微生物にとっては
高級ホテルで満漢全席ぐらいの甘やかしなのです。

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