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男性の長期育休は「すごい」?
人事マネージャーをしていた自身が、1年間の育休を取得するにあたり、多くの人から、「すごいですね!」という反応をいただきました。
また、育休中の私が、初対面の方に自己紹介した際にも、「すごいですね!」の反応が多く返ってきます。
そのほぼすべてが、悪意なく。
この「すごい」。いったい何が「すごい」のか。
実は、私自身、「すごい」の意味がよくわからず、少しモヤモヤしながら、うまく反応できずにいます。
今回は、この「すごい」について考察します。
「すごい」の意味
「すごい」を辞書で引くと、「ぞっとするほど恐ろしい」とか、「 ぞっとするほど素晴らしい」という、ちょっと寒気を覚える表現。いい意味でも、悪い意味でも、とにかく、通常とかけ離れた状態である様子。
ただ、日本語の「すごい」の使われ方はとても多様で、自身の生活を振り返っても、「すごい」と口にしない(耳にしない)日はないくらいありふれた表現であることは確か。その都度、「ぞっとしてる」感じはしない(笑)。
シソーラスを調べても多様さがわかるけれど、私が「男性育休」というテーマについて受けた反応の多くは、とても好意的に感じたことからも、「非常によい」とか、率直な「驚き」の表現としての「すごい」だったと受け取ってよさそうだ。
「すごい」の中身
それでは、いったい、何が、通常とは異なり、非常によくて、驚きなのか。男性育休そのものに対する個人的な評価として「非常によい」と判断されていることは、好意的な印象からよくわかる。けれど、たとえば、次にあげるように、「非常によい」と判断する理由や根拠は様々だ。
男性が育児に主体的に参加する意志・覚悟が「非常によい/驚き」
男性の育休を応援する妻の姿勢が「非常によい/驚き」
男性育休を認める上司・職場メンバーの態度が「非常によい/驚き」
男性が育休のために仕事を調整していることが「非常によい/驚き」
男性育休を推進する人事制度が「非常によい/驚き」
男性が育休を取っても家計が大丈夫なことが「非常によい/驚き」
こうやって列挙してみると、大きな疑問が。
これらのことが「非常によい/驚き」と評価される背景は、これらのことが、通常=世間の当たり前から、逸脱し、乖離しているということ。少なくとも、「すごい」を好意的に発していただいている方々の認識する社会では、これらが当たり前ではない事実。
そして、もう一点。上記の各項目の「男性」を「女性」に、「妻」を「夫」に変えても、おそらくこれらの主張は通じない。「そんなの当たり前だろ」という反応が返ってくるに違いない。これほどに、育児や育休にかかわる「男性性」と「女性性」の社会認識は、明確に分かれていることを目の当たりする。
「すごい」に反応しよう!
ともあれ、日本社会の現実は未だ、男性育休は「すごい」。男性育休=男性が育児に専念することは、当たり前ではない。ただし、この当たり前に挑戦し、「すごい」を変えようとする団体や個人の方は、どんどん増えてきている。私も微力ながら、自身の育休経験を踏まえてその力となりたい。
先日、「すごい」への反応に困るというtweetをしたところ、みずしぃさん(@mizucy_koko)から、次のリプをいただいた。
「すごい」は、「素敵ですね!」の気持ちのあらわれではないでしょうか😊
— みずしぃ@JBHD社長秘書 (@mizucy_koko) March 5, 2022
子育ての時間はあっという間。ぜひ楽しんでくださいね✨
「すごい」は「素敵」。自身の行動や決断、そして、自身を取り巻く人々が「素敵」と言われると、にんまりする。
だから、「何がすごいのか」と考える前に、「ありがとうございます!私は男性育休の当たり前を作りたい!」と伝えよう。
そして、私も率先して「素敵ですね!」と反応しよう!
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