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『Project:;COLD』未解明の謎と考察

こんにちは、リー猫と申します。

先日、SNSミステリー作品『Project:;COLD(以下、P:;C)』の紹介記事を書かせていただきました。
いきなり見出しの画像とタイトルが矛盾していますが、無事に事件が解決されハッピーエンドを迎えた本作には、残された謎や未回収の伏線が多くあり、今後それらも明らかになるのではと、私は続編を心待ちにしています。

そこで今回は、残されている謎のおさらいを兼ねて、情報整理と個人的な考察を綴っていきたいと思います。

※本記事にはP:;Cのネタバレが含まれます。あらかじめP:;Cのストーリーをある程度把握いただいてからお読みください。ご存知でない方は、まず下記の紹介記事をご参照ください。
※完結後にP:;Cを知った方や途中参加の方にも理解しやすいよう、用語解説や顛末も記載しております。


1.Project:;COLDの世界観

P:;Cの世界は、私たちと同じ現代社会となっています。
登場人物の都まんじゅうメンバーが通う高校は架空の「六泉ヶ丘高校」という学校ですが、舞台となる神奈川県平塚市の八幡宮や湘南平といった観光名所は、実際の風景とともに登場します。

一方で、物語の中にはオカルトやSFの要素も数多く含まれています。
例えば、物語の発端となる「血の人形事件」は、6人の大学生が熊の人形を形代として自らの血を注ぎかけるという儀式を行い、その後『崇拝するシラノへ、我が右手を捧げる』などと書かれた紙を持って自殺するという不気味な事件でした。

また、都まんじゅうのメンバー全滅後に登場した本作の主人公は、100年後の未来から現代へアクセスしてきたイオリ・ハートフィールドであり、姉のハズキと共に「過去を変える」という方法で事件を解決へ導きます。

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上:犠牲者が持っていたシラノの紙
下:イオリたちの時代(2120年)

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ここで、まずはP:;C case.613で使われた未来の技術による事件の解決方法をおさらいします。

<未来の技術および用語>
・パストハッキング
未来から過去のネットワークに侵入する技術
過去のTwitterへ投稿したり、YouTubeに動画を配信することができるが、運用には三つの問題点がある
①狙った日時へピンポイントでアクセスできない
②膨大なエネルギーを必要とする
③遡れるのはちょうど100年前までに限られる
・歴史の修正力
パストハッキングの影響は、大きな時間の力によって1〜2週間で人々の記憶から消えてしまう
稀に、消えない人もいる
・銀の弾丸
わずかな時間だが、パストハッキングの影響を受けた人の記憶から消されないよう、定着させることが出来るアイテム

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<事件の解決方法>
事件の発端は、星野理也が両親の離婚により離れ離れになってしまった弟を虐待から守るため、母親の再婚相手を誤って殺害してしまった事。
本当は文化祭の日に虐待の件を佐久間ヒカリへ相談したかったが、ヒカリのスマホの電池切れで連絡が取れず、相談できないまま事件が起きてしまった。
イオリは、二人が文化祭の日に相談できていれば、理也が殺人を犯す事もないと考え、文化祭ステージのプロジェクターへパストハッキングおよび銀の弾丸を使用。
公開前の「ずっと真夜中でいいのに。」のMVを流して騒ぎを起こし、理也とヒカリを体育館で会わせる事に成功した。
これにより、理也が母親の再婚相手を殺してしまうことも無くなり、都まんじゅうが事件に巻き込まれるきっかけを消す事に繋がった。

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また、P:;Cではいわゆる「世界線」の考え方が採用されており、都まんじゅうの事件解決前は『ts42』、解決後は『ts51』と表されています。(時空=time spaceの略?)
パストハッキングで過去の出来事を改変した事により、都まんじゅうが誰も死なないts51の世界線へ移行したものと考えられます。

この世界線の考え方パストハッキング歴史の修正力を、以降の考察材料といたします。


2.シラノとは何者か?

「血の人形事件」「血の人形・再来事件」に共通して登場するのが『崇拝するシラノへ、我が〇〇を捧げる』と書かれた紙です。
このシラノという人物(?)について、物語中で多くは語られませんでしたが、最後の謎解きにて「shiranoneiko」なるアカウントが発見された事により、その存在が確認されました。

では、シラノとは何者なのでしょうか?
イオリとハズキの配信ではこのような会話が行われています。

1/24配信
(シラノの紙を見ながら)
イオリ「当時の犠牲者が、全く同じものを持っていたんだ」
ハズキ「へぇ〜、しかしまたこんな形でこの名を目にするなんてね」

1/31配信
(動画の終了直前)
ハズキ「みんな疑問に思ってると思うんだけど、説明しないの?あの紙に書かれてるシラノの事」
イオリ「やめてくれ、この事件はそれでなくてもややこしいんだ。余計にこんがらがるから、その話はしないって決めてる」

また、イオリの最後の配信終了後には、こんなメッセージが映し出されました。

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Report case.613

The hacker tried to eliminate Shirano from existing in a world line where they have recovered from the ordeal of case 558.
However the mission was unsuccessful but the preservation of the alliance leader's bloodline was a success. 

Binary City
iori heartfield

case.613の報告書と思われる上記の文章を翻訳すると、

「ハッカーは、事件558の試練から立ち直った世界線にシラノが存在することを排除しようとしました。しかし、任務は失敗しましたが、同盟リーダーの血統の維持は成功しました」

となります。

この文章に関する考察は後述するとして、ここまでのシラノに関する手掛かりから推察されるのは、シラノは未来でも既知の存在であること、そしてイオリの所属するbinarycityとは敵対関係(少なくとも味方ではない)であることが分かります。

また、イマオカ・オカルト倶楽部の「血の人形事件について」およびメンバーズサロン内の「血の人形の儀式に関する新事実」には以下のような情報が有ります。

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「彼女は本当に存在した」
「シラノの存在は、奇妙な力に消された」

1987年のオカルトサークルのメンバーはシラノの存在を認識しており、その復活のために血の人形の儀式を行なったものと考えられています。
しかし、その存在は奇妙な力によって消されてしまいます。
私は、この奇妙な力とは歴史の修正力ではないかと考えています。

報告書にあった「case 558」とは1987年の血の人形事件を表し、「試練から立ち直った」とはbinarycityの活動により歴史の修正力が働き、1987年時点のシラノの存在が消えたことを表すと考えます。

しかし、その世界線からシラノの存在を排除する任務には失敗した。
その結果が、最後の謎解きで発見された「shiranoneiko」のアカウントであると考えます。
シラノネイコは「全てはここから始まる」というメッセージを残しており、そのままの意味で捉えるならば「全てのシラノの始まりがこのアカウントである」と考えるのが自然ではないでしょうか。

また、1987年のオカルトサークルが入手した古い書物にシラノの事が書かれていたとするならば、次の2つの可能性が考えられます。

①シラノは何世代にもわたり実際の人物として存在している
②未来からパストハッキングにより過去へ情報を送った

①と考えた場合「シラノの存在は消された」「シラノの存在を排除しようとした」という表現に少し違和感を覚えます。
特に、未来の組織であるbinarycityが情報操作のみで実在の人物を殺したりするとは考えにくいです。
よって、②の可能性が有力であると考えます。

Twitterアカウントの作成も未来からのパストハッキングで行う事が可能であり、作中では実際に「@binarycity_i」というアカウントが作成された事例があります。

シラノもパストハッキングを行っているとした場合、binarycityの技術では、遡れるのはちょうど100年前までとされています。
シラノが1987年にその存在を示すためには、100年よりさらに過去まで遡れる技術を持っていない限り不可能です。
しかし、パストハッキングは当初1日遡るのが限界だったものを、ハズキの技術力によって100年まで伸ばしたと説明されており、技術が進めばさらに過去まで遡る事も可能となるのではないでしょうか。

また、シラノの目的については今作では何も語られていませんが「血の人形・再来事件」を主導したのは、都まんじゅうのメンバー・綾城奈々乃が所属する「劇団あかぐま」であり、この劇団は事件解決後も活動していると考えられます。

イオリ達のいる未来では、彼らの活動を妨害する存在も仄めかされており、ともすればその組織が劇団あかぐまと関連している可能性もあります。

この劇団は、シラノ復活の儀式ともいえる「血の人形・再来事件」を進めている事から、シラノと何らかの繋がりがあると考えられ、続編以降の展開で何かしらの事件を起こす可能性も充分に有り得ます。

【シラノに関する個人的考察まとめ】
・2021年に発見された「shiranoneiko」のアカウントが全ての始まり
・シラノの目的は不明だが、今後劇団あかぐまを利用して何かを起こす可能性も
・シラノは100年以上の遡行が可能なパストハッキングにより過去へ存在を示している?


3.binarycityと都まんじゅう

case.613において、融解班へ協力を求めてきたイオリですが、当初は都まんじゅうの未解決事件を解明し、彼女たちを全員助ける事が目的だと説明していました。
しかし、最後の報告書を見る限り目的はそれだけではなかったようです。

「ハッカーは、事件558の試練から立ち直った世界線にシラノが存在することを排除しようとしました。しかし、任務は失敗しましたが、同盟リーダーの血統の維持は成功しました」

メッセージ内に「同盟リーダーの血統」というフレーズがあり、イオリが配信した最後の動画内には次のような場面があります。

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「インサージェントアライアンスリーダー佐久間智弘」

インサージェントが「反乱」、アライアンスが「同盟」なので、同盟リーダーとはこの「佐久間智弘」である事は間違いないと思われます。
佐久間ヒカリと同じ佐久間姓である事から、都まんじゅうを救う事が結果として血統の維持に繋がるため、イオリ達binarycityは「血の人形・再来事件」の解明に乗り出したと考えられます。

ここで疑問に思ったのが、佐久間ヒカリが死亡した状態の未来に佐久間智弘が存在しないのであれば、そもそもイオリ達の組織が発足しないのではないか?という事です。
これに対して、私はこう推測します。

case.613以外の事件を解決した事により佐久間智弘が消えてしまった

B:;Cでは、case.613の他にcase.611とcase.558の存在が明らかにされています。
case.558は前述のとおり1987年の「血の人形事件」と考えますが、case.611はVKET5内で展開された全く別の事件です。
case.611の概要については下記の動画にて丁寧にまとめられていますのでご参照ください。

このcase.611にて救出の対象となったのが「北澤千春」という少女です。
「血の人形事件」の犠牲者に「北澤ほのか」という人物がいる事から、二人は親族ではないかと考察されていました。
また、血の人形事件には「星野光」という犠牲者もいて、当初は星野理也の親族であるという考察もありました。

これらの考察が正しかった場合、binarycityはシラノにまつわる犠牲者及びその親族を救うために、未解決事件を解明していると考えるべきではないでしょうか。
しかし、その過程で佐久間智弘が消える原因=佐久間ヒカリが死亡する世界線へ移行してしまった
そう考えると、シラノの排除は後回しにしてでも、佐久間ヒカリをはじめ都まんじゅうのメンバーを救う事に注力したイオリ達の行動は納得ができます。

佐久間智弘が存在しなくなった瞬間にbinarycity自体が存在しない世界線へ移行することも考えられますが、case.613のパストハッキングで都まんじゅうを救った際には未来での大きな変動が確認できなかったため、未来はある程度安定しているのか、未来へ影響が出るまでにある程度の猶予期間があるものと考えます

binarycityが反乱同盟と表現されていることから、未来の世界では実権を握る別な組織が存在すると考えられます。
シラノはその組織の重要人物であり、それを排除する事は反乱の成功に直結するのではないでしょうか。

【binarycityに関する個人的考察まとめ】
・シラノにまつわる犠牲者を救う活動をしている
・その過程で佐久間ヒカリが死ぬ世界線へ移行
・リーダー佐久間智弘を復活させるため都まんじゅうの救出に乗り出す
・最終目的は反乱の成功
・敵対組織の重要人物シラノを排除したい

4.続編について

前向きに検討されているP:;Cの続編ですが、総監督の藤澤さんはインタビュー記事の中でこのように話されています。

"今回と同じような立て付けで、「都まんじゅう」のみんなも出てくる物語にできたらいいですね"

『ドラクエ』堀井雄二から受け継いだゲームデザイナーの血筋と物語体験 ― 同時に1万人が参加したミステリーARG『Project:;COLD』の舞台裏
より

佐久間ヒカリが佐久間智弘の親族であるとして、彼女の今後の人生でbinarycity発足に繋がる出来事があるのかも知れません。
また、星野理也をはじめその他のメンバーがbinarycityへ関わる可能性も考えられます。

そして、シラノネイコのアカウントが「全てはここから始まる」というメッセージを残している事から、このアカウントを利用した物語の展開もありそうです。

さらに、都まんじゅうは全員生存させる事ができましたが、彼女達を手にかけた「劇団あかぐま」は存続していると思われ、おそらく2020年の血の人形の儀式は完遂されています。

なので、都まんじゅうが登場するのであれば、binarycity結成に関するストーリーとなるのではないかと推測します。
その上で、シラノ復活の儀式を行う劇団あかぐまが結成されないようにするのであれば、1987年の血の人形事件を防ぐ必要が出てきますが、もしかしたらシラノネイコのアカウント開設を阻止する事が、血の人形にまつわる全ての事件解決に繋がるのかも知れません。
(シラノネイコのアカウントを削除すれば良いので演出も簡単にできるのではないかと……)

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あれこれと書きましたが、P:;C進行中の私の考察はことごとく外れていましたので、本記事の考察においても同様だと思っています。
ですが、P:;Cにはこれだけの謎が残されており、まだまだ考察の余地があるという事が少しでも伝わり、続編公開時の予備知識として役に立てば嬉しい限りです。

残された謎がどこまで解明されるのかは分かりませんが、今後もあれこれと考察しながら続編を心待ちにしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




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