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『わたしをあの日に連れてって』


わたしをあの日に連れてって

あの夏の日の
朝の光の中に

洗い立ての顔を
柔らかなタオルで拭いた
水の雫が光に溶けていった
あの朝に

石鹸の香りと
あなたの笑い声

そんな顔だっけ?
って
すっぴんの顔を
互いに笑い合った

振り返る日々よりも
未来の方がずっと長くて
永遠に思えたあの日々に

あなたはもうこの世界にいないのに

何故心は
あなたの声を覚えているのだろう?

何故心は
あの光の中に戻れるのだろう?

大きく息を吸い込むと

朝の匂いがした

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