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『ごめんね、アンデルセン』

マッチを擦って火が灯っている間だけ夢が叶う

ってイヤ

大嫌いマッチ売りの少女


何故おばあちゃんは

あの子を生かすことが出来ずに

天国に連れていったの?

っていつも思って嫌だった子供の頃


王子の命を絶つことが出来ずに泡になって消える

なんてイヤ

大嫌い人魚姫


何故王子は真実に気づかずに

別の人を選んだの?

って嫌だった子供の頃


踏みつけられても蹴られても

笑って美しく死んでいけというのか

何のために?


出来損ないと言われ

誰にも振り向かれることのない毎日だったずっと


だけど


教わらなくても心は叫んでた子供の頃


わたしは生まれた

この世界に

幸せになるために

生まれたんだ


ねぇ、そうでしょう?


笑われてからかわれて

駄目なレッテル貼られるためなんかじゃない


悔しかった哀しかった寂しかった辛かった


振り向かれたかった抱きしめられたかった愛されたかった認められたかった


だから

大きな夢を追ったんだ

小さな身体と心で


でも不器用で弱虫

開けられなかった扉を

登れなかった崖を


やればやるほど傷ついて

何者にもなれず

気づけば

出来損ないのままの大人

歳をとって

朽ちていく身体と心


あぁ!

それでも、

それでもイヤなものは嫌


美しい悲劇なんて語りたくないわたしは

自分にも

他の誰にだって


みっともなくても無様でも

わたしは必ず手に入れる

地べたを這いずり回って逝く日まで


生まれて来たよろこびを

わたしがわたしであったよろこびを

それが啓示と信じてる


だからごめんね、アンデルセン

わたしは生きるね、これからも

このオンボロの生にしがみついて


2016年 創作

#ドラマチック詩

#エール詩

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