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【実話怪談】コツコツさん

私は未だに眠りにつくとき、横向きでないと、どう頑張っても眠れない。
それは、小学生高学年に遭遇、というか、正確に言うとある「音」に悩まされた為。
我が家は子供部屋の前に、縁側があり、コンクリートのたたきがある作り。

それは夏休み、突如やってきた。
ふと、目が覚めた私。元々眠りの浅いので夜中に目が覚めるのはよくあり。
ん?なんか音がする。
コツ、コツ、コツ
外のコンクリートのたたきを、ヒールの靴で歩く音が。
遠くから、コツ、コツ、コツ、と歩いてきて部屋の前で止まる。
そして、また部屋の前から音が遠ざかる。そしてまた部屋の前まで。
これが、なんと明け方近くまで続き・・・。
雨戸をあけて調べるのも怖い。誰もいないのも怖いが、何より知らない人間がいるほうがよっぽど怖い。
いつしか「コツコツさん」という名前まで付けて、「うわ~また来たよ~、うるさいよ~!」と一人悩む日々が続く。
しかし、コツコツさんは部屋の前を歩き回るだけで、特段何があるわけではない。

そんな小学生の自分が取った行動は・・・

よし!とりあえず、耳ふさいで寝よう!

でした。安易すぎる・・・。正直、解決になってない。
それからというもの、どんなに暑い日でも、耳まで布団をかぶり、耳をふさいで寝るように。

しかも、コツコツさんが来るのは夏のお盆の時期の1週間。
でもその1週間は毎晩やってくる、というのが、のちに10年近く続いたのでした。
今思えば、何故そこまで悩んでいたのに家族に相談しなかったのか謎。
一緒の部屋で寝ていた、姉や妹はコツコツさんを知っていたのか?
この横向き耳ふさぎは、成人になるまで続き、今でこそ布団はかぶらなくなったけど、横向き入眠の名残は残ってしまったのでした。

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