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宅地建物取引士試験合格までの道のり㊵
第4部 その他① 宅地建物取引に関係する税
§不動産に関係する税の種類と概要
不動産取引における税金として、国税と地方税がありそれぞれ支払わなければならない税金がある。下記
①不動産取得時にかかる税金
国税→登録免許税・印紙税
地方税→不動産取得税
②不動産保有にかかる税金
国税→なし
地方税→固定資産税・都市計画税
③不動産売却にかかる税金
国税→所得税(譲渡所得)
地方税→なし
以上となる。
§課税をするのは誰?
国税は国が課税徴収をするのに対し、地方税は都道府県や市町村が課税徴収をする。しかし、地方税でも税金の種類によって変わる。下記
・不動産取得税→都道府県
・固定資産税、都市計画税→市町村
となる。
§税金のとらえ方
税金のとらえ方として、
・課税標準 × 税率 =税額
という考え方になり
①課税標準を下げる場合→課税標準の特例
②税率を下げる→軽減税率
③税額を下げる→税額控除
と記される。
その2 不動産取得税の概要
§不動産取得税って何?
先ほど触れたとおり、不動産を取得するにあたり課税される税金である。取得とは新築購入や土地の購入など。※不動産取得税は取得時の1回だけ課税徴収される。
§課税をするのは誰?
こちらも先ほど触れたとおり、不動産取得時に税金を支払わなければならない相手は取得した不動産が所在する都道府県になる。※住んでいる場所ではなく取得した場所の都道府県になる。また海外の不動産は税金はかからない。
§課税条件の詳細事項
基本は不動産取得時に課税となります。不動産を売買・交換・贈与・新築・改築により有償・無償問わず取得した場合が対象となる。※改築は改築により家屋の評価額が高く場合に増加分課税対象となる。
また戸建て分譲にあることですが、新築後6か月を経過しても購入者がなく譲渡がされない場合には、所有者(ハウスメーカーなど)が取得者として不動産取得税を支払わなければならない。
§非課税対象
不動産取得税が課税されない場合があり、その条件として
①不動産取得者が国や地方公共団体である場合
②相続や法人合併により不動産取得をした場合
以上が、非課税対象となる。
§不動産取得税の課税標準
不動産取得税の算定をするにあたり、課税標準となる指標としては固定資産課税台帳の登録価格(固定資産税評価額)が課税標準となる。※売買価格ではない
評価額は特別の事情(地目の変換や市町村の統廃合など)がない限り基準年度の3年度分の価格は据え置きとなる。
固定資産課税台帳は納税者や賃借人などがから請求があった場合には、台帳の一定事項の証明書を市町村は交付しなければならない。
§不動産取得税の算定
不動産取得税の算定方法は先の通り
・固定資産税評価額 × 税率 = 不動産取得税
となる。税率は
・土地、建物→3% ・住宅以外の建物→4%
となる。
§免税条件
不動産取得税の課税標準額が一定の額を下回った場合には免税となる。下記
・土地→10万円未満
・建物(新築・増改築)→1戸につき23万円未満
・建物(中古住宅など)→1戸につき12万未満
以上の場合には免税となる。
§納税の方法
不動産取得税は納税通知書が届き納付する普通徴収となる。※通知書は納期限の10日前までに納税者へ交付しなければならない。
§課税標準の特例
令和3年3月末までに新築・中古住宅を取得した場合には、課税標準の特例が受けられる。内容として
①住宅の課税標準の特例
(新築)課税標準より1200万円の控除
要件として
→床面積50㎡~240㎡(賃貸は40㎡~240㎡)
→自己住居・賃貸住宅どちらでも適用
(中古住宅)課税標準より控除額を控除
→控除額は最大1200万円(築年数により異なる)
要件として
→床面積50㎡~240㎡
→自己住居のみ適用
②宅地の課税標準の特例
課税標準の2分の1を控除
以上となる。
その3 固定資産税の概要
§固定資産税って何?
固定資産税とは固定資産を所有していることに税金がかかる。固定資産とは不動産や償却資産(事業用機械など)などが該当する。※取得翌年度から所有している限り毎年課税となる。
§課税をするのは誰?
固定資産税を課税するのは、不動産が所在している市町村である。
§納税
固定資産税の納税は1月1日現在、その不動産の所有者が1年分負担することになる。※質権が設定されている場合には質権者、100年以上の地上権設定がある場合には地上権者が納税義務者となる。
§税率
固定資産税の標準税率は1.4%となる。※必ずこの税率ではなく、あくまで基準なので各市町村により異なる場合がある。
§免税条件
課税標準が一定の価格を下回った場合には免税対象となる。下記
・土地→30万円未満
・建物→20万円未満
§課税標準の特例
住宅用地に課税標準の特例が存在します。内容として
①小規模住宅用地(200㎡未満)→評価額の6分の1
②一般の住宅用地(200㎡超)
→200㎡までは評価額の6分の1
→200㎡を超えた部分は評価額の3分の1
§税額控除
新築住宅では税額控除が認められている。内容として
(新築)
・床面積50㎡~280㎡(賃貸40㎡~280㎡)の場合
→3年度分もしくは5年度分(中高層耐火建築物の場合)、120㎡までの部分について税額から2分の1減額される。
§納税方法
不動産取得税同様に普通徴収となる。※市街化区域では固定資産税にあわせて都市計画税も徴収される。
その4 所得税(譲渡所得)
§所得税(譲渡所得)って何?
所得税とは様々、10種類が存在する税金であり基本的には収入があると発生する税金である。
宅建の場合には所得税は不動産譲渡による所得を所得税(譲渡所得)を指します。
譲渡所得 = 不動産売却額 ー 不動産仕入額 ー 譲渡に関わる費用
となる。
§譲渡所得の特例
譲渡所得の特例には課税標準・税率・税額の3種類に各存在する。下記
・課税標準
①3000万円控除
→居住用財産の譲渡所得の特別控除
②5000万控除
→収容交換等の場合の5000万円特別控除
③特定の買換え特例
→特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
④課税の繰延べ
→収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
⑤買換え等の譲渡損失の損益通算
→居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑥特定の譲渡損失の損益通算
→特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
・税率
⑦居住用財産の軽減税率
→居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
⑧優良住宅地の軽減税率
→優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例
・税額
⑨住宅ローン控除
→住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
以上が一覧となる。
§3000万円控除の適用要件
3000万円控除が適用される要件とは、下記
①居住用財産である※居住しなくなって3年目の年末までに譲渡できること
②親族等への譲渡ではない
③3年に1度だけ※3000万円控除以外に、買換え特例も適用されていないこと
3000万円控除は所有期間に制限なく適用がされる。
§5000万円控除の適用要件
①個人資産が収用交換によって譲渡
②公共事業の施行者から申し出があった日から6か月以内に譲渡
③譲渡金額が5000万円の範囲内で控除
5000万円譲渡は所有期間の制限なく適用される。
§買換え特例の適用要件
既存不動産を売り、新しく不動産を取得した場合における特例である。
売却益より購入費が高い場合には課税されない。
売却益より購入費が安い場合には差額が課税される。
適用要件として
譲渡資産が
①所有期間10年超
②居住期間10年超
③親族等への譲渡でない
④居住しなくなって3年目の年末までに譲渡
⑤譲渡による対価の額が1億円以下
買換資産が
①居住用床面積50㎡以上
②敷地面積が500㎡以下
③譲渡した年の前年1月1日から翌年12月31日に取得
§特例の重複適用
特例には組み合わせによってどちらも適用となる場合がある。下記
・3000万円控除または5000万円控除
→居住用財産の軽減税率と重複可能
・5000万円控除または譲渡損失の損益通算・繰越控除
→住宅ローン控除と重複可能
§譲渡所得の税率と特例
譲渡所得の税率は不動産の所有期間により変わる。
・所有期間が5年以内→短期譲渡所得として30%課税
・所有期間が5年超→長期譲渡所得として15%課税
※居住用財産の軽減税率の特例は所有期間10年超に適用
※優良住宅地の軽減税率の特例は所有期間5年超に適用
その5 印紙税の概要
§印紙税って何?
印紙税は契約書や領収書の課税文書の作成者に課される税金である。収入印紙を貼り付けて納税する。※代理人が作成した場合には代理人が納税義務者となり、2名以上の作成者の場合には連携して納税しなければならない。
§課税文書と非課税文書
印紙税がかかる課税文書とそうでない非課税文書の詳細として
・課税文書
→土地の賃貸借契約書
→売買・交換契約書
→贈与契約書
→予約契約書
→金銭の受取書(5万円以上、敷金など)
・非課税文書
→建物の賃貸借契約書
→委任状
→抵当権設定契約書
→使用貸借契約書
→営業に関しない金銭の受取書
※仮契約書にも印紙税が課される
以上となる。
§印紙税の課税標準
印紙税の課税標準にはその文書に記載してある金額が課税標準となる。下記
①売買契約書→売買代金が課税標準
②交換契約書
双方の金額が記載→高いほうが課税標準
交換差金のみ記載→交換差金が課税標準
③贈与契約書→課税標準なし(印紙代200円のみ)
④契約金額を増額する契約書→増額分が課税標準
⑤契約金額を減額する契約書→課税標準なし(印紙代200円のみ)
※1つの契約書が譲渡契約と請負契約の両方に該当する場合には、原則総額が課税標準となるが、区分できる場合には高いほうが課税標準となる。
§印紙税の納付方法
収入印紙を文書に貼り、本人や代理人・使用人の署名や消印により納付となる。
§印紙税の納付を忘れてしまった場合
印紙税を納付しなかった場合、条件により過怠税率が異なる。
①印紙を貼っていなかった
→印紙税額の実質3倍(未納+追加2倍)
②消印をしなかった
→消印をしていない未納分のみ
§印紙税の非課税
印紙税の非課税対象として、国・地方公共団体が作成した文書は非課税となる。
その6 登録免許税の概要
§登録免許税って何?
登記(権利)を受ける際に必要となる税金である。※表示登記は課税なし
§登録免許税の納税義務者
納税義務者は登記を受けるものである。不動産売買において所有権移転登記の場合には売主と買主が連帯して納付となる。
§登録免許税の課税標準
売買などの場合には、売買価格ではなく評価額が課税標準となる。抵当権設定登記は債権額が課税標準となる。※課税標準が1000円未満の場合には、1000円となる。
§登録免許税の税率
登録免許税の税率は所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記などの登記の種類よって税率が変わってくる。
§登録免許税の軽減税率
登録免許税には軽減税率があり、その適用要件として
①床面積が50㎡以上であること
②自己の居住用とすること
③新築取得後1年以内に登記を受けること
となり。
所有権保存登記→新築のみ適用
所有権移転登記→売買・競落のみ適用
抵当権設定登記→適用なし
以上となる。
§登録免許税の納付方法
基本は現金納付であるが、3万円以下の場合には印紙による納付もOKである。
その7 贈与税の概要
§贈与税って何?
贈与によりもらった者に対して課税される税金である。受取人が法人の場合には法人税、受取人が個人の場合には所得税となる。
§課税方法の選択
納税義務者が2種類の課税方法から選択できる。
①暦年課税
→1年間に贈与を受けた合計金額 ー 基礎控除110万円 が課税標準
②相続時精算課税
→2500万までの贈与額が非課税、2500万円を超えた部分から20%課税
※相続時に贈与と相続を合算した額に10~55%で課税される
§非課税と特例の適用要件
贈与税の非課税要件と特例の適用要件として
贈与税の非課税要件
・住宅取得等資金の贈与を
・直系尊属(父母・祖父母等)から
・20歳以上の子、孫へ
・2000万円以下の金額を受けた場合
・非課税額が800万円(家屋の種類や契約締結日により異なる)と
・基礎控除110万の併用ができて
・床面積50㎡~240㎡(2分の1が居住用)の条件で
非課税対象となる。
相続時精算課税の特例
・住宅取得等資金の贈与を
・父母、祖父母から
・20歳以上の子、孫へ
・金額の制限なく受け取った場合
・特別控除額2500万円と
・基礎控除110万円との併用NGで
・床面積50㎡以上(2分の1が居住用)
が特例要件となる。
※家屋の増改築、既存住宅の取得にも適用
※新築に伴う、用地取得も適用となる
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