デザイナー就職を目指す学生へ。デザインスキル習得のためのファーストステップ
前回の記事『非デザイン専攻の学生必見!デザイナーを目指す学生の多くが就活で体験する道のり』では、デザイナーになるための具体的な就活プロセスについて説明しました。そちらの記事でも強調していますが、新卒でデザイナーになるには、学生時代からスキルを身につけ、アウトプットしていくことが欠かせません。
ですが、特にデザインの経験がない場合や、非デザイン系の学部に通っている場合、そもそもどのようにデザインスキルを身につけたら良いのかがわからないことが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デザイナー就活に向けてスキルアップしていくための具体的な取り組みをまとめました。
スキルアップのプロセスとは
そもそも、スキルアップのプロセスとはどのようなものでしょうか?
Goodpatchでは、一例として以下のような概念図を用いてスキル習熟の仕組みを捉えています。
これに沿って、デザインを学ぶ、という具体例について考えてみましょう。
最初の段階は、学ぶものについて「しる」ことです。まずはデザインについての原理原則、大まかな知識を把握する必要があります。
次に「わかる」という段階があります。ここでは、身につけた知識を自分の経験にリンクさせ、自らの言葉で説明できるような状態になる必要があります。「このアプリはHuman Interface Guidelinesにちゃんと基づいて作られているな」など、実体験をもって知識を理解する段階です。
その次の段階は「ためす」です。ここまでの理解を元に、何かしらの形で制作物をアウトプットしていくことになります。クオリティを問わず、とにかく自分の力でモノを作っていくことで、デザインについての理解をさらに深めることができます。
アウトプットのクオリティが上がってくると「できる」という段階に移行します。これまでの経験を元に、ある程度の質が担保されたアウトプットを継続的に出せる状態です。
そして最終的には「よくできる」という段階に到達します。これは、多くのアウトプットの経験を元に、質の高いアウトプットを再現性高く出せる状態です。
デザイナー就活をする学生が目指すべき段階
それでは、デザインスキルを身につけて就活に備えるためには、どのような状態を目標にすれば良いのでしょうか。
新卒のデザイナーとして求められるスキルは、企業によって大きく異なります。ハイレベルなグラフィックデザインのスキルが必須である企業もあれば、作品の完成度やレベルよりも、制作の過程や本人のポテンシャルを重視する企業もあります。しかし、デザイナーとしての採用プロセスでは、ほとんどの企業でポートフォリオの提出が必須となっています。ですので、まずは形あるアウトプットを出すことを目標にする必要があるでしょう。
最初のステップとしてのアウトプットをするためには、必ずしも「できる」「よくできる」段階に達している必要はありません。したがって、デザイナー就活をしたい学生は、最初に「しる」「わかる」「ためす」の三つの取り組みに力を入れていく必要があるといえます。
次章からは、これらの具体的な取り組みについて説明していきます。
「しる」ための具体的な取り組み例
デザインの原理原則、大まかな知識などを知る必要があります。これらのインプットをするには、本を読んだり、ウェブサイト、企業の出しているデザインガイドラインから情報を得る、といった方法があるでしょう。
Goodpatch Blogでは、デザイン全般や、UI/UXデザインについて学べるお勧めの本やサイトをまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
また、基本的な知識に加えて、実際のUIの例やトレンドをインプットすることも重要です。インスピレーションの元になるデザインリソースも定期的にチェックするようにしましょう。
例えばUIデザインの場合、このような例が参考になると思います。
「わかる」ための具体的な取り組み例
原理原則をインプットすると同時に、知識を元に新たに出会うデザインについて考えたり、自らの経験に基づいてデザインに対する理解を発信していくことも必要でしょう。
様々なサイトでトレンドとなるデザインをインプットする際、そのUIやUXではどのようなデザインの原理原則が使われているのかを考えてみたり、学んだデザインについての知見を友達に説明したり、SNSで発信したりすることで、自らの理解をさらに深めることができるでしょう。
「ためす」ための具体的な取り組み例
ある程度デザインについて学んだら、実際に手を動かしてアウトプットすることが非常に重要です。
例えば、UIデザイナーを目指したいという方にはDaily UIがおすすめです。
Daily UIは、登録すると平日にUIデザインのお題がメールで届くサービスです。お題は全部で100個あります。作ったデザインを、#DailyUI のタグ付きでTwitterやInstagramなどのSNSにシェアすることで、アウトプットの習慣化になります。また、同じタグから他の人のデザインも見ることができるので、学びになるのではないでしょうか。
また、自分の所属する学生団体やサークルのポスターやwebサイトを作ったり、自分の大学での取り組みをwebサイトにまとめることも、手軽にアウトプットの場を増やす機会となるでしょう。さらにある程度経験を積むことができれば、インターンに参加したり、フリーランスとして活動することも可能です。最近ではクラウドソーシングなどでデザインの仕事を獲得している学生も増えてきています。
このようなアウトプットがあれば、ポートフォリオを作ることができます。積極的にアウトプットし、ポートフォリオに自らのデザインをまとめていくようにしましょう。
スキルアップの取り組みの順番について
ここまで、デザインのスキルアップをするための取り組みを段階別に紹介してきましたが、もちろんこれらの段階は三つ順番にこなしていくべきものとは限りません。最初に興味のあるものを見よう見まねで作ってみるといった「ためす」という段階からデザインを始め、その後デザインについての学びを深めていく人もいるでしょう。
大事なことは、インプット、アウトプットの両方を、意識的に行き来することです。学んだことを発信したり実際にやってみたり、また実戦で学んだことを後から調べて深めるなどすることで、スキルを効率よく伸ばしていけるのではないでしょうか。
さいごに
今回の記事では、デザイナー就活に向けてのスキルアップのプロセスと、参考となるコンテンツや取り組みの例を紹介しました。
特に非デザイン専攻の学生にとって、デザイナーになるための行動を起こしていくことは簡単ではないと思いますが、この記事がその第一歩となれば嬉しいです。将来なりたいデザイナーとしての姿をイメージすることで、今の自分がとるべき行動が見えてくるのではないでしょうか。