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あなたも日本人になれる!~はじめに

 平成27年11月13日、パリで起こった同時多発テロは世界を震撼させた。テロリストの中にはシリア難民に混じって入国した者もあり、率先して移民を受け入れてきた欧州諸国に動揺が走った。実際、欧州各国では、それぞれの文化になじめない、というか、馴染もうとしないムスリム移民や支那人移民が溢れ、軋轢を起こしているというニュースは、すでに報じられて久しい。
 日本政府も、これまで積極的な移民の受け入れを模索してきたが、にわかにそれを躊躇する動きが見えている。
 平成27年11月9日付の『産経新聞』はこのように報じている。
 「菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、経済規模の維持、拡大に向けた移民の受け入れ政策に関し「諸外国でもさまざまな難しい経験を得ているので、慎重であるべきだ」と述べた。
 菅氏は、従来の政府方針について「経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ中長期的な外国人材の受け入れあり方について検討する」と改めて説明し、慎重に議論を進めていく考えを示した。
 河野太郎規制改革担当相が7日に移民受け入れに関する議論を開始すべきだとの認識を示したことに対しては「河野氏の発言だ」と述べ、個人の見解だと強調した。」
 菅官房長官(当時)のこの発言の数日後に大規模テロがあったことは非常に示唆的である。欧州でシリア移民の問題が物議を醸している最中に、受け入れを前提とした議論を開始すべきだと述べた河野国務相の発言は、余りにも軽率だ。これまで、「移民」の受け入れを前提とした緩和政策が行われてきたことを殆どの国民は知らないだろう。その見直しをさえ議論すべきなのに、嵐の中に不用意に雨戸を開けばどのようになるかを考えねばならない。
 日本が直接的にテロの標的になることは勿論だが、日本を拠点にしたテロ活動が行われるようになれば、それは日米、日欧関係を複雑にするだけでなく、イスラム国をダシにして国内の善良なムスリムを弾圧している中国にも、日本へ圧力をかける口実を与えることになりかねない。
 筆者は日本を十年以上離れていたが、帰国して思うことは、街中に外国人が増えたということである。観光客もそうだが、コンビニで、弁当屋の厨房で働く外国人が増えていることに驚く。彼らの殆どは、合法滞在の外国人だ。日本政府は単純労働者にビザを発給していないが、学生ビザであっても、週28時間以内という条件付きで、アルバイトに従事することが認められている。その為である。
 さらに今後問題になりそうなのは、偽装難民である。日本政府は原則として難民の受け入れをしていない。これは、批判もあるが現時点では賢明な施策だ。ところが、民主党政権の時代に、難民申請をした外国人に就労許可を出すという愚策が取り入れられた。その結果、留学生崩れが、ブローカーや悪徳弁護士と結託して難民申請をするケースが増えているらしい。どう考えても不可能なケース(そもそも、まともにパスポートを発給され、留学ビザがあるのに、難民になれるわけがない)であっても、門前払いというわけには行かず、相応の時間がかかる。その間、「難民」は就労許可を使って合法的に仕事をする。そして、審査が却下されたら…。そこから先を考えていなかった民主党政権の大きな失態である。
 移民の受け入れをどうするのか、このあたりでまじめに考える時が来ているのではないか。労働力不足を補うということで、受け入れるにしても、なし崩しが危険極まりないことは言うまでもない。
 また、外国人参政権についても、民団や創価学会が蠢いており、民主党は結党時から基本政策にそれを掲げている。
 鳩山由起夫民主党政権ができたとき、アメリカに住んでいた筆者は、日本国籍離脱を本気で考え始めた。日本人であることは誇りに思いつつも、日本国民であることを恥じるのであれば、潔く日系米国人になろうかと筆者は思ったのだった(2020年アメリカ大統領選挙の明白な不正によって誕生したと思われる民主党政権を見れば、結果的に思いとどまったのは正解だったと思うが)。
 永住権を持つ異邦人として、米国市民権を得るか否かということをつらつら考えていた時、幾度となく、祖国・日本における在日外国人や外国人参政権などの問題が頭をよぎった。
 外国人参政権については、それを推進したがっていた鳩山政権時代に、財務副大臣だった野田佳彦前首相が、明白に自分の考えを述べている。
 
 「(野田氏は)『選挙権がほしいのだったら、帰化すればいい』と発言した。…自らの立場については、「明確に反対だ。外国人が、帰化の手続きを簡略にできるようにすればいい。
(2010年1月30日付『朝日新聞』電子版。原文数字はアラビア数字)
 
 「選挙権がほしかったら帰化すればいい」。これは正論だ。常識ある外国人もそう思っている。しかし、「帰化の手続きを簡略にできるようにすればいい」というのは、非常に甘い認識だ。仮にも一国の総理を務めた人の発言とは思えない。言葉は悪いが、味噌も糞も一緒に日本国籍を与えてよいのか、というのが筆者の考えだ。
 これは断じて差別などではない。
 帰化というのは、本人の希望で申請され、それを受理し、審査する側の国家に裁量権があるのは当然のことだ。テロリストに国籍をやるのは愚かなことだとは誰でもわかる。しかし、帰化手続きの安易な簡略化は、それを簡単にしてしまうのだ。そもそも日本は、直接的にスパイを防止するための法律さえないのだ。
 実際北朝鮮は、特殊工作員・辛光洙を密かに我が国に入国させていた。そして身寄りのなかった原敕晁さんを拉致して、辛は原さんになりすまし、日本の旅券を不正取得した。さらには在日朝鮮人の女性を利用し、彼女の家をアジトにして上層部からの指令を受け、工作活動に従事していた。この辛光洙が韓国に拘束されていたとき、菅直人元首相や、福島瑞穂社民党党首などは、愚かにも韓国政府に対して、辛の釈放を要求する嘆願に署名していたというのだから、あきれてものが言えない。
 もしも帰化が簡単にできるようになれば、北朝鮮は拉致をせずとも、工作員を日本に潜入させることが可能になるのだ。
 テロリストや工作員といった、物理的な犯罪者の問題だけではない。日本国籍を正面から取得して、言わば「思想テロリスト」「思想工作員」となった、帰化人が蠢き始めている。
 関西圏の保守層に大人気を博している『たかじんのそこまで言って委員会』(大阪・読売テレビ系)。数年前の放送で、金美齢女史や石平氏ら、日本人になった元外国人に混じって、張景子という人が登場したのを見た。中共の朝鮮族出身で、元北京放送のアナウンサー。情報鎖国の中では比較的正しい情報に接することができたはずの彼女だが、放送では中共の国定史観に基づく反日偽史を語り、周囲を辟易とさせた、そして、他のパネラーから「ではなぜ日本人になったのか」と問われると「便利だから」と嘯いた。
 学校現場には、日本に帰化した元在日コリアンの社会科教師がいる。もちろん、帰化人も国籍は日本なのだから、どんなに歪んだ思想を持っていても、教育委員会が試験に通してしまえば、教壇に立つことを誰も止められない。そういう教師のひとりが筆者の勤務した学校で、教職員向けの同和教育の研修会に招かれたことがあった。筆者は年休を使って堂々とその研修をサボったのだが、懇意にしていた当時の教頭によれば、その場でこの教師は、今や祖国になったはずの日本をこき下ろし、心ある参加者は非常に不愉快な気分になったという。「あんたはおらんでよかったで」。翌日教頭は私を呼び止め、眉をひそめてそう言った。このような教師が今も、教室で生徒に反日をアジっているのだろう。
 帰化を簡単にすれば、このような「思想テロリスト」が日本に合法的に滞在した上で、意識的に反日宣伝を行い、日本は「多民族国家」だ、少数民族に権利をなどと、詭弁を弄するようになるのは火を見るよりも明らかだ。沖縄県の現況を見ればいい。内地で食いあぐねた職業左翼が沖縄に渡り、地元左翼メディアや中共の工作員と間違いかねないような大学教授らとつるんで、これが県民の声だと称して反日プロパガンダを流している。挙げ句の果てには沖縄県民が少数民族であるかのような歪んだ視点を持ち出して、圧倒的多数派である本当の県民の声をかき消している。「思想テロリスト」は日本人を差別する反日日本人とつるんで、それをどんどん増殖させいくという訳だ。
 沖縄でさえそうなのだ。帰化行政を誤れば、それは外国人参政権と同じように、日本を崩壊に導く手段として用いられることは間違いない。外国人に参政権を与えることは、明らかに憲法違反であり、国民の拒絶反応もある。だが、国籍を付与することは憲法違反ではない。さらには、法改正なしで、行政の裁量だけでゆるゆるになってしまう恐ろしさがある。
 筆者は、どの民族に属していても、日本を愛する人が、日本に憧れて、日本に帰化することをとどめようとは思わない。私も同じ日本を愛する日本人だからだ。大戦末期、なぜ朝鮮人の若者が特攻隊に志願したのか。パラオの原住民の少年が、なぜ義勇軍に参加したのか。それは、誤解を恐れずに書けば、みんな、日本人になりたかったからではないか。今、もしも日本を愛する人々が日本国民になるならば、「八紘一宇」や「五族協和」といった、かつての我が国が理想として掲げていたことが、現代において実現するのだと筆者は思っている。日本の経済力、技術力、そして、欧米との良好な関係を土台とすれば、特ア抜きで、インドやトルコまで含めた親日国をつなぐ大東亜共栄圏だって可能だ。
 だから、日本を蛇蝎のごとく忌み嫌う輩に、日本国民としての恩恵を簡単に授ける必要などない。グローバリゼーションの時代だからこそ、そういう人間を簡単に帰化させないような方策を、考えなければならないはずだ。
 繰り返す。味噌と糞を一緒に日本国民にするのは、行政の怠慢であり、安全保障上由々しき問題なのだ。
 それでは、移民で成り立つ国、アメリカは、どうなのだろうか。
 原住民以外はみんな移民であるこの国は、200年余の歴史の中で、建国世代のイギリスなどからの移民が中心になって支配層を築いてきた。彼らを典型的なアメリカ人と見るかどうかには異論があるとは思うが、所謂WASPがその直系の子孫だということになる。しかし、その後も移民は増え続け、カトリック系や、黒人、三流市民と考えられていたアジア系やヒスパニックも大きな発言力を持つようになった。そして今も、アメリカに移民を希望する人は後を絶たない。
 日本人のような、民族としての概念が比較的はっきりしている国ではないアメリカでは、アメリカ人=米国市民になるために、何を要件としているのか。そしてそれは、日本の今後の帰化行政に、何かヒントにならないだろうか。
 本稿は、現代日本の移民、定住、帰化行政の問題点を指摘すると共に、アメリカの市民権獲得に必要な手続きを分析しながら、日本の帰化手続きを健全な方向で強化するための方策を提案することを目的としている。読者の皆さんが、今後確実に決断を迫られるであろう、外国人参政権や移民受け入れ、帰化の簡素化問題を考える際の参考になれば幸いである。

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