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「『準犯罪』と化したアメリカの喫煙」の巻

 サンフランシスコのど真ん中にある、とあるバーの入口(2003年6月24日撮影)。ここは、生バンドがリクエストに応えてくれるし、1ショット2ドルそこそこだから、当時としても安い店だった。今はどうなっているのだろうか。
 さて、店の前に注目。タバコをくゆらせる男。もうこの当時カルフォルニアでは、たとえ飲み屋であっても、店内では中では喫煙できなかった。この店でかっこよくバーボンを飲みながら、タバコを吸いたくなったら外へ行くという、情けない行動を繰り返していた。日本もついにそれに追随したが、医学的に、タバコと肺がんの関係は証明されていないというのに、なぜタバコは目の敵にされるのだろう。ニューオーリンズで葉巻(実際にそこで作っている)の店に行ったことがあるが、「喫煙は犯罪ではない(Smoking is is not a crime)」というバンパーステッカーが販売されていた。確かに喫煙者は犯罪者のような扱いだ。もっとも、ニューオーリンズやラスベガスではまた少し違うのだが、特にリベラル州ではその傾向が強いし、過激である。
 当時カルフォルニアで不思議に思っていたのが、室内でのタバコにうるさいくせに、歩きタバコ、くわえタバコは不問だったことだ。もうずいぶん前になるけど、旅行案内の本に、「日本人はよく歩きタバコをするが、マナー違反だ」と書いてあったけど、実際には中で吸えないから、外で吸うのはお咎めなしだった。確かにタバコは、結局マナーの問題だと思う。副流煙の問題が云々されるが、私の父はくわえタバコで私を抱っこしていた。しかし私はそれが原因で体調を崩したことなどない(父のくわえタバコのせいでやけどはしたことがあるが)。ましてや本人の健康は、本人の責任だ。毛沢東は死ぬまでタバコを手放さなかったが、幸か不幸か長命だった。ガイドブックが批判した日本のくわえタバコは激減した。アメリカでもたぶんもうダメだろう。
 当時LAでは、日系の店の一部では、店内でタバコを吸えた。明らかに法律違反だが。そのテの店は、実は誰でも入れるのだが、「メンバーズ・クラブ」ということで、取り締まりをかいくぐっていたらしい。これも多分今はダメだろう。
 当時からタバコ会社のウェブサイトで、「タバコはこんなに体に悪い」とアピールしていたるくらいだから、喫煙者は本当に肩身が狭かった。そして今はそれにさらに拍車がかかっている。当時、マルボロが1カートン40ドルぐらいで、高いなと思っていたが、今はその倍近いだろう。だからといって肺がんは減ったのか? という検証は誰もしていないようだが、どうだろうか。
 あの頃、タバコに次ぐ不健康なものとして、ファストフード(なかんずく、マクドナルド)が槍玉に挙げられていた。そのうち、チーズバーガーをタバコ同様に見る日が来るのかもしれない。そしてあの禁酒法時代のように、マフィアからビッグマックを買う日が来るのかもしれない。杞憂ではない。「民主主義」は簡単にファシズムに変化することを、2020年のアメリカ大統領選挙や武漢肺炎禍でそのことがよくわかったではないか。

拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「米国喫煙事情」(2005年06月29日22:17付)に加筆修正した。

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