『ドラゴンクエストXI』据置機版のキャラクターモーションに驚く

2017年に『ドラゴンクエスト』の型の堅持を選択した『XI』。
その型の表現は稀なものに見える

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『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』は2017年7月19日にPS4とニンテンドー3DSで発売された。

発売当時、自分は3DS版を購入し、ほぼ3年かかってエンディングに到達した。ちょうどその頃PS4以外の据置ハード(Switch、PC、XBOX)でもドラクエXIがリリースされはじめ、据置機版にも興味を持っていた自分は、配信されていた体験版をダウンロードした。

ゲームをプレイする前から据置機版のほうが映像が美麗であることは私もわかっていたが、実際にプレイしてみると映像の美麗さ以上に、デフォルメされた動きや表情を、リアリティのある映像との狭間でどのよう表現すべきかという部分に気を配って作られたのだなと感心した。
PS4は据置型、3DSは携帯型ゲーム機で、グラフィック描画をはじめとした性能差が大きい。それゆえ両ハードで開発メーカーが異なり、フィールドのスケール感やキャラクター等身も違う。物語展開を除けば遊んだ感覚は別物のゲームといっていい。

自分が最も印象的だったのは、両機種版のキャラクターモーションの違いだ。
3DS版は、3Dポリゴンでグラフィックを描画する「3Dモード」と、ドット絵で表現される「2Dモード」の2種類を切り替えることができる。どちらも鳥山明氏のキャラクターデザインをゲーム用にデフォルメしたもので、過去のシリーズを知っているプレイヤーであればすんなりと受け入れられる表現手法だ。自分自身、見ていて違和感を抱くことはなかった。
3Dモードは2Dモードに比べてキャラクターの表情や動きが豊富で、カメラワークの変化で映像を見せる。ゲームらしく大きな身振りやわかりやすい表情の変化でキャラクターが物語る。

一方の据置機版は鳥山明氏の描いたキャラクターたちを忠実に再現しながら、リアリティのあるディティールが加わり、より細やかな動きを見せられるようになった。
それでもドラクエXIのキャラクターたちはゲームの都合に伴った演技を行う。彼らはメッセージウインドウとともに生きている。滑らかなモーションとカメラワークで表示されるイベントも、ひとたびテキストが表示されるとプレイヤーがボタンを押すまで、固定されたポーズで会話は停止する。テキスト送りの待機中に体の揺れや息遣いのモーションを取り入れて不自然さを減らすゲームが多いなか、ドラクエXIはそうした表現すら最小限に留めている。

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自分が3DS版で気に留めなかった、大振りで分かりやすい、いわば「ゲーム的なモーション」を据置機版は意図して取り入れている。ドラクエがドラクエであるために作りこまれた保守的な表現は、結果として2017年の大型タイトルのなかでも珍しい映像表現となったのだ。


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