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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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2022年4月の記事一覧

現代短歌 《アネモネが言う》

現代短歌 《アネモネが言う》

太陽を求めてのびる茎の先派手に咲いてもため息ばかり

お前たち皆きれいだよ摘み取ったりしないからそこから出るなよ

寒い頃小さな球根だった君僕は何か変わっただろうか

青いアネモネが言う風の音は遠くから君の声連れてくると

白いアネモネが言うそれは悲しい結末を遂げる見届けろと

赤いアネモネが言う消えない情熱を持てばいつか叶うからと

黒猫の手招き拘りでできた箱庭気付かれぬよう覗く

あなたは持っ

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現代短歌 《何度も洗い流す》

現代短歌 《何度も洗い流す》

同じにおいがしてドキリと胸が高鳴るその時にはもう遅くて

わかるその線に宿る同じベクトルの力ぶち撒けてみせてよ

箱の中あなたの魅力入ってる誰も開けないで開けないでくれ

季節はずれ流れる音楽が透き通って消えていく今日が終わる

さらりとした筆跡その汗を見せないけれど浮かび上がる光

自分の手の中世界にたった一つどうだいいだろういいだろう

君の横顔がなかなか飲み込めなくてガムシロとミルクを混ぜる

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