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【8月作品の執筆記録】小説家が書籍一冊分の小説を書き上げるまで。No.4

noteでは第4弾となる執筆記録です。
 こちらは商業作家であるベニサンゴが1ヶ月かけて書籍1冊分(大体10万字くらい)の小説を執筆した記録を公開しようというシリーズ記事です。過去にも記事を書いていますので、そちらもぜひご覧ください。

作品紹介

 8月作品として執筆していたのは、貞操逆転獣人世界のヒトオス剣闘士

あらすじ

ウィリウスは世にも珍しい人間族の男奴隷剣闘士でありながら、連勝の末に晴れて解放奴隷の身分を得る。だが、自由の身となった彼が選んだのは自らの意志で再び剣を取ることだった。
屈強な獣人族の支配する帝国、女性が支配する貞操観念が逆転した異世界に、現代日本人としての記憶を持って生まれ落ちたウィリウスが出会うのは、熊獣人の若き剣闘士ウルザ、辣腕を振るう剣闘士団長の蜘蛛虫人ドミナ、そして謎のお祭り好きな獅子獣人トリクス。個性豊かな獣人女性たちと共に、彼は勇猛なる剣闘士たちとの熾烈な戦いの舞台へと身を投じる!

キーワードとしては、
・貞操逆転モノが書きたい!
・獣人が書きたい!
・古代ローマ風異世界が書きたい!
といったところ。
結果的には、どれもいい感じに書けたと思います。古代ローマ風異世界というところが、ちょっとだけ難しかったというか、書き足りない感じはしますが。

イメージイラスト

ちなみに今回はいくらかキャラクターのイメージイラストも自作しました。カラー版はカクヨムのサポーター限定記事で公開しています。モノクロ版は無料でも見れるようになっていますので、こちらでもご紹介します。

左から、トリクス(獅子獣人)、ウルザ(熊獣人)、フェレス(猫獣人)、ドミナ(蜘蛛虫人)、リニカ(蛇獣人)、ケナ(牛獣人)

真ん中最前列にフェレスがいますが、一応メインヒロインは隣のウルザです。基本的に全員体格が良くて主人公よりデカいです。そう言う世界なので。
主人公はウィリウスで、画像の中には不在です。というか描いてません。男は描けない……。

今回はAffinity Designerというアプリを使ってタイトルロゴも自作しました。ほとんどフォントの力やね。

執筆について

構想

今回はコンセプトがある程度しっかりしていたのと、かなり以前から書きたいと思いつつ構想を練っていた作品でした。
初期の構想メモはこんな感じ。

古代ローマ風異世界。獣人の帝国が版図を広げ、栄華を誇る。各地の都市では、その土地に宿る大精霊のため、剣闘が奉じられていた。女が強く、主役である世界において、珍しい男剣闘士。彼は男でありながらも屈強な剣闘士たちとの戦いに勝ち続けていた。

とりあえず、古代ローマ風貞操逆転獣人世界でヒトオスが剣闘士する話というのはシンプルに決まってました。
貞操逆転世界というジャンルはちょっとニッチかも知れないんですが、書きたいジャンルでした。一応ノクターンとかなら割とメジャーかも。
価値観の差異を比較させるために主人公は転生者という設定で。奴隷身分スタートですが、そこに落ちたきっかけをわざわざ話すのは冗長なので、奴隷解放条件である三十試合連勝の最後のシーンから始めます。相手となるのは、メインヒロインのウルザさん、といった感じで。

物語全体としては、とりあえず性差別的な視点は貞操逆転ものを描くなら必須だろうなということで。五年に一度、最強の剣闘士を決める炎龍闘祭が開催される中、保守的な元老院が男性である主人公の参加を妨害する、といった大筋を考えました。

古代ローマ風というちょっと変わった世界観に関しては、ほとんど趣味です。剣闘士競技が実際に行われていたということもありますが、個人的に古代ローマが好きで色々と本を読んでいたので。
古代ローマは侵略戦争で奴隷を集め、それを労働力として栄えた感じの帝国なので、いい感じに物語に取り込むことができました。

プロット

最終的な物語全体のプロットはこんな感じです。

 ウィリウスは男にも関わらず剣闘の舞台に立ち続ける変わり者。元々は異国から連れてこられた奴隷だったが、多くの勝利を収め解放奴隷となった後も剣闘士を続けるため、ドミナの元を訪れた。彼の実力を見定めるために開催された試合にて、相手役に抜擢されたのは熊獣人の剣闘士、ウルザだった。体格と力で圧倒的に勝るウルザだったが、対峙するウィリウスは臆することなく挑む。そして、一瞬の隙を突いた鋭い攻めによって圧倒し、勝利を収める。

 晴れてドミナの剣闘士団へと加入したウィリウス。しかし、そこは女ばかりのむさ苦しいところだった。ローマに似た大都市での暮らしに戸惑いながらも、ウィリウスは着実に戦績を積み重ねていく。
 そして、剣闘士の間で最も栄誉ある戦いと呼ばれる“炎龍闘祭”のトーナメントが始まる。剣闘の本来の役割である祖霊への奉納、その最たるものが炎龍闘祭である。ウィリウスもまた、その舞台に立つため試合に奮うが、その影で陰謀が巡らされていた。

 神聖な儀式に男が出ること叶わず。それが都市を牛耳る元老院の意見であった。徐々に妨害が始まるなか、ウルザたちがそれに激怒する。
 だが、元老院の圧力は凄まじく、ウィリウスはついに大怪我を負って欠場を余儀なくされる。しかし、栄えある“炎龍闘祭”の当日、彼は現れる。立ち入りを禁じようとする元老院だったが、皇帝がそれを阻止する。
 まだ傷が残るなか、ウィリウスは連戦連勝。ついに決勝へと至る。対峙するのはウルザ。試合が始まる。
 熱気は最高潮に達する。血と汗のほとばしる激闘。試合を制したのはウィリウス。だが、その直後に彼は昏倒してしまう。そこで炎龍が祝福を与え、傷を癒す。

 とはいえ、今回も大筋は事前に考えつつも細部に関してはライブ感で乗り切っていました。作中だと奴隷市場のシーンなんかは、考えてなかったですね。あとは序盤の鶏唐揚げ。グルメものにする気持ちはなかったのであれ以降そういうシーンは出てません。

執筆

今回もあまり書き溜めはできず、前日までに書いて出すといった形でした。後半はそれも怪しくなってきて、定期更新できなくなってましたが、一応その日のうちには更新していたのでセーフということで……。

毎日更新する上で大事なのは、多少遅れたことをそこまで気にしないことです。自分が好きで書いているものなので、怒られる謂れもありません。プレッシャーになると余計に書けなくなりますからね。

8月1日から初日三日間は3話更新、その後は1日1話で、9月1日に完結しました。若干おしりがはみ出てますが、まあシームレスに9月作品へ案内できたと考えればいいと思います。

全部で38話、占めて121,027文字(サブタイトル含む)なので、ちょうど書籍一冊分くらいになりました。我ながらちょうどいい分量に収まったかなと。

一応、これは第一章ということで、今後に展開していくこともできるようにはなってます。炎龍闘祭が五龍祭の一つで、あと四つは同じ規模の祭りがある設定なので。古代ローマでも剣闘以外にも戦車競技や模擬海戦なんかの娯楽はありますし。

感想

書き上げた感想としては、やっと書けたという思いがあります。ずっと温めてたアイディアだったので。

あんまりアイディアを温めすぎて腐らせるのももったいないと、一念発起して書き始めることができて良かったです。これも、何月作品として1ヶ月1作ペースで継続して作品を作り、閉じるという行為に慣れてきた成果かな、と考えています。

完結を待って読んでくださる読者さんも多く、いわゆる完結ブーストというものも実感しています。感想で続きを熱望する声も多くて、嬉しい限りです。書籍化してシリーズ化したいね!!!!!!

ともあれ、ウィリウスたちの物語はひとまず一旦落ち着いたということで。

読者の皆様の多大なる応援にお礼申し上げます。

次回作

九月に入ったということで、すでに九月作品が動き出しています。
今度は王道異世界ファンタジー!

飯マズパーティ冒険譚〜勇者なのに料理番やらされてます〜

魔王を倒すため旅を続ける勇者一行。エルフ族の天才魔術師、獣人族の格闘家、清純なる聖職者。頼もしくも一癖ある彼女たちを率いるのは、伝説の聖剣に選ばれし勇者の青年(飲食店アルバイト経験あり)。全員が高い技量を誇るパーティの唯一の弱点、それは女性陣の生活能力、特に料理スキルが壊滅的であることだった。魔術師は全てを焼却し、格闘家は全てを粉砕し、聖職者は虚無を生み出す。これは、己の胃炎とQoLのため、しかたなく聖剣を包丁代わりに料理をする勇者の苦難の物語。

こちらも自作のイメージイラストをちょこちょこ描いています。

滅魔の聖剣ファティアちゃん

ぜひ勇者一行の冒険にお付き合いくださいませ!

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