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【読書感想文】三千円の使い方 著:原田ひ香

あらすじ

「三千円の使い方で人生が決まるのよ」
祖母から教わった言葉の意味を、
美帆は生きる中で身をもって知る。

幸せに生きていくためには、
三千円程度の金額ですら、
どのように使うのか、
自らの目的を軸に判断することが必要だと。

美帆、姉の真帆、母の智子、祖母の琴子。
御厨家の女性たちは、
人生の節目やピンチに際して、
お金の使い方と向き合っていく。

三千円をどう使おうか

三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく

P9

例えば、ティーポット一つ買うにしても、
持ち合わせで手軽に買うか。
お金を貯めて、良いものを買い、
大切に使うことで、長期的に見て得をするか。

良い悪いは無いが、
その一点のみでも、人生が垣間見える。

たかが三千円、されど三千円。
金額が大きくなれども、
お金ではなく物であっても、
恐らく、手にした対象をどう扱うか。
その向き合い方は、
どんな対象でも大差が無い。

今使えるお金、今後したい事、
それを使って何をしたいか、
他に方法は無いのか。など、
一つの買い物でも、
我々には考える余地がたくさんある。

三千円の使い方も、人生の肝要な一部だ。

人生に費用対効果は無い

下記は、結婚をすること、子供を作ること、
人生の複雑な局面で、費用対効果を気に留め、
損得ばかり考える男性へ、
美帆の祖母、琴子が戒めた言葉。

「人生は理不尽なもの。でも理不尽なことがなかったら、何のための節約なの? 経済なの? 節約って、生きることを受け入れたうえですることよ。費用対効果なんてない、ってことを受け入れてからの節約なのよ。じゃなかったら、私たちみたいな年寄りは死んだ方がいいってことね」

P203

費用対効果ばかりを考えたら、何もできない。
もちろん、お金の管理においては、重要な言葉。
しかし、人生においてはあまり役に立たない。

そもそも、費用対効果の良い人生とは何かを明確に定義して、
人生通してそれをやり通せた人間などいないだろう。

どんな人生も盤石ではなく、
真っ当に生きても素寒貧になることだってある。

他人に期待するよりも、
自分が納得できる生き方をしていく。

そのためには人生の費用対効果ではなく、
日々の買い物において費用対効果を考慮し、
備えておくことが必要だ。

節約は夢の手助け

お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になってはいけない。

P337

あくまでも、節約は手段。目的は別にある。

老後の為でもいい。結婚の為でもいい。
何か大きな目標の為でもいい。

確認の幸福を追求する過程として、
お金の使い方を考える、という手段がある。

しかし、辛い時、迷うとき、隣の芝生が青くなる時もあるだろう。

自分は何に追われていたのだろう。漠然と子供のために「一千万ためたい」と思ってるけど、それでいいのだろうか。今の生活をもっと楽しむ、という人生やお金の使い方もあるはずだ。 ──(中略)── 大きなお金を使うことは、ほとんど最初から諦めている。そんな生活でいいのだろうか。

P142

他人は他人、自分は自分と心の底から割り切ることは
往々にして困難なこと。

対処法としては、家計簿をつける事である。
大事なのは、お金を書くことだけではない。
今月いくら入ってきて、いくら出ていくのか。
そして、自分はいくら使うことができるのか。
予定を立て、何が必要か考えることができれば、
いたずらに不安になったりはしない。

もし、一か月に8万貯めることができれば、
一年で100万である。
塵は意外と早く積もるが、
気に留めないと散るのも早い。

如何なる時も、自分に矢印を向けよう。

ではまた。


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