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【映画感想】「シンクロナイズドモンスター」は怪獣映画にあらず【ネタバレ無し】

YouTubeの紹介動画で見て以来ずっと気になっていた「シンクロナイズドモンスター」
ふと思い出したときにAmazonプライムビデオで検索すると、なんとラインナップされてるじゃないか!
気になった映画が定額(気分的には無料)でいつでも見れるなんてホント、良い時代になったなーと思います。
この映画、見終わった時の私自身の評価はあまり良くなかったものの、レビューや解説を見てみるとどうも私の見方が間違っていたということがわかったので、正しい見方と感想を書いていこうと思う。

・予告から期待される作品内容

まずは見てほしい紹介動画がこれ。

まあ流石にタイトルにもなっているのでネタバレにならないと思うので言っちゃうが、この作品はある女性とある怪獣の動きがシンクロするというのが題材だ。
実際この題材はとてもキャッチーで、私もこの設定に惹かれてずっと見たかった。
この設定と予告でもある怪獣のファンシーな動きは日本の怪獣映画では絶対ありえない。
日本の怪獣といえば、近年公開された「シン・ゴジラ」や往年の名作「ガメラ」であっても、出てくる怪獣は必ず畏怖の対象として描かれる。
多少人間と心を通わすことはあっても、ピースしたりはしない。
なのでこの「人間と怪獣の動きがシンクロする」というのは、怪獣映画が根付かなかった(そもそも無かった)海外だからできた発想だと思った。
だからこそ私は、その設定を生かしてどんな怪獣映画を見せてくれるのだろう!と終始期待して鑑賞した。
が、これが大きな間違いだった。

・原題「COLOSSAL」

この映画、実は原題を「COLOSSAL」という。
意味は[巨大な、ものすごく大きな]であり、日本とは違いタイトルでモンスターとシンクロする部分をプッシュしていない。
なので日本人はまずこの入口で間違えてしまう。
日本人は邦題と予告からどうしても「この映画は人間と怪獣がシンクロすることがキーなんだ!」ということを念頭に置いて鑑賞してしまう。
だがぶっちゃけいうとシンクロするという要素はこの映画においてそこまで重要な要素ではない。
もちろん設定としては優秀で多くの人を惹きつけるが、そこだけに注目していてはこの映画がどういう映画なのかを理解することは多分不可能だ。
原題に「COLOSSAL(巨大な、ものすごく大きな)」とあるように、一体何が巨大なのかを考えることが1つのヒントとも言える。

・これは「人間と現代社会」を比喩混じりで描いた作品だ!

そう実はこの映画、怪獣なんてオマケ程度の要素でしかなく、実際に重要なのは登場する人間たちと現代社会なのだ。
もう怪獣なんてほんとにオマケ。ぶっちゃけ無くてもいいレベル。
こう書かれると、いかに人間と怪獣のシンクロありきの物語として見ることが間違いかわかるだろう。
あまり詳しくは書けないが、主人公の女性と第2の主人公の地元の友達の生い立ちや現状をしっかり理解しながら鑑賞すると、一体何が「COLOSSAL」なのかがなんとなくわかってくる。
また怪獣も内容に対して重要じゃないにしろ、現代社会のメタファーとして描かれているという解釈もある。
私はこの2つを軽視して鑑賞したがために、「何これ?????」状態で映画が終わってしまった。
実際Amazonのレビューでもしっかり物語と監督の意図を理解したひとは☆5の絶賛、怪獣映画として見てしまったひとは☆1の酷評となっている。
おそらくこれがネタバレにならない範囲で哲学的に評価してあるレビューだと思う。(前情報無しで映画を見たい人は拡大非推奨)

つまりこの映画の正しい見方は、怪獣と人間がシンクロするいう要素をきっぱり忘れて、月9のドラマを見るくらいの気持ちで見はじめるということだ。

・総評

私が思うにこの映画、思いついた設定(人間と怪獣のシンクロ)と伝えたいメッセージ(人間ドラマや現代社会)がうまく噛み合ってないからこんなちぐはぐな映画になったんじゃないだろうか。
すごい設定思いついた!でもアン・ハザゥエイを使う以上人間ドラマにも力を入れたいなぁ・・・せや!っていう感じで。
設定とメッセージ、両方悪くないのに、それらが相反するテーマだったがために結果は賛否両論に・・・。
正直レビューをみて見方を変えたあとでも、私の読解力だとなかなか☆5をつけるまでは理解できないだろう。
哲学や現代社会への風刺が好きな人にとっては、あれこれ解釈したり考察できる良い映画に仕上がっているともいえる、色んな意味で記憶に残る1作だった。

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